「フェムケア」「フェムテック」って何?助産師が教える、パパにも知ってほしい「女性のカラダ」のこと

「フェムケア」「フェムテック」って何?助産師が教える、パパにも知ってほしい「女性のカラダ」のこと

“フェムケア”“フェムテック”という言葉を知っていますか?女性は毎月の生理や妊娠、出産、更年期などのイベントと共に体調の変化が起こります。ママの身体や心の変化を知り、正しいケアの方法を知ることで、家族の日々の幸福度をアップさせていきましょう!
助産師の石嶺みきさんによる最新“フェムケア”のコラムがスタートします。

パパにも知ってほしい!フェムケア・フェムテック

女性には毎月生理があり、妊娠や出産、更年期などのイベントと共に体調の変化が起こります。それらの中で家事や育児、仕事とのバランスを取ることの難しさから、体調の不良に悩まされる方も多くいらっしゃいます。

ここ日本においては、働く女性は年々増えており、今や共働き世帯が約7割と、この20年間で1.5倍にまで増加しています(※1)。しかし、男女格差の現状はどうなっているかというと、日本のジェンダーギャップ(男女格差)指数は世界146カ国中で118位、G7先進7か国中でも最下位と散々たる状況なのです(※2)。「男だから」、「女だから」と性別で決めつけるのではなく、一人ひとりの個性を大切にする、ジェンダー平等を進める動きが国際的になりつつあるなかで、残念ながらわが国は大きく遅れをとっています。

そんな中、世界的に女性の積極的な社会進出を強力にサポートするツールとして、「フェムケア」・「フェムテック」が今、注目されているのです。

※1 男女共同参画白書、令和4年度版
※2 世界経済フォーラム(WEF)、2024年版

フェムケアとは?

フェムケアとは、女性のデリケートゾーン(具体的には、膣口・尿道口・肛門まわり)を特別な洗浄剤や技法、テクノロジーなどを駆使して意識的にセルフケアすることをいいます。

①腟まわりのかゆみ、ムレ、におい、乾燥、②頻尿、尿漏れ、③性交時痛、④膀胱炎、カンジダ性膣炎などの感染症、など多くの女性がデリケートゾーンに悩みを抱えています。しかし、気楽に人と相談することも出来ないために我慢してしまったり、年齢だから仕方ないと諦めてしまったりしているのが現実です。

でも諦めないでほしいのです。正しいフェムケアを身につけると、これらの不快な症状が緩和され、パートナーとの大切な時間や日常の仕事、暮らしをより快適なものに変えることができるからです。

フェムテックとは?

Female × Technologyから作られた造語で、女性の健康を支えるなんらかの商品やサービスのことを指します。「テック」という言葉から、AI(人工知能)やアプリなどの技術を想像してしまいますが、現在はそういった技術が使われていなくても、女性の健康を支えるものはすべてフェムテックと呼ばれています。

例えば生理周期を管理するためのアプリや、最近急増しているデリケートゾーン専用のソープ、オイル、クリーム、吸水性ショーツなどです(技術的要素が少ない商品やサービスは、フェムケアとして区別されることもあります)。

なぜフェムケアが必要なの?

これまでの日本においては、生理や更年期など女性特有の健康の話題は「恥ずかしい」、「我慢するもの」として、公に話すことはタブー視されてきました。

女性ホルモンは排卵をコントロールし、生理周期や妊娠に関わっているホルモンで、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類がありますが、このうち特に女性の美しさや健康と関わりが深いのは「エストロゲン」です。エストロゲンは一生のうちにわずかティースプーン1杯ほどしか分泌されないといわれるくらい微量なホルモンで、そのわずかな量によって女性の身体や心がうまくバランスを取っています。

エストロゲンには腟への血流を増加させる作用や膣粘膜のコラーゲンを産生する作用、腟内を酸性に保つ作用などがありますが、その分泌量は20代後半がピークで、35歳を過ぎると徐々に低下していき、更年期になると激減して、やがて閉経に至ります。

自身に合ったケアで、日々の幸福度をアップ!パパも、ママの身体のことを知りましょう

ご自身に合ったフェムケアやフェムテックアイテムを取り入れることによって、エストロゲンの低下に伴う女性特有の身体や心の不調に対して代替的に補完していきましょう。生理や出産、更年期を肯定的に捉えられるようになると、きっと日々の幸福度も上がるはずですよ。

また、男性も生理の知識を持つことで、パートナーや娘への配慮ができるようになり、より良好な関係性を築くことができます。生理中、「体調はどう?」「無理しないでね」などさりげなく気遣う声がけがあるとうれしいですね。女性の気持ちに寄り添いサポートを申し出たり、思いやりを持って接してください。

パパにもぜひ、知識のアップデートをしていただいて、ご家族で過ごす時間をより豊かなものにしてみませんか。

次回は、「最新の生理用品」について、お伝えします

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担当カテゴリー

子どもの健康・発達

助産師・看護師・栄養士 石嶺みき

助産師、看護師、栄養士。ミキズハウス助産院院長。株式会社FM BIRD所属。不妊治療中に献身的に励ましてくれた助産師に強い憧れを抱き、出産後に看護学校に進学。助産師専攻科を経て助産師資格を取得。卒業後は大学病院産婦人科外来・病棟に勤務し多くの出産に立ち会う。
その後、保健センター勤務に転じ、産後のメンタルサポートや妊娠SOS相談窓口、新生児訪問、乳幼児健康診査なども行う中で、フェムケア教育の普及活動を思い立ち独立。一般の方だけでなく、看護学校の教員や助産師、看護師などを対象とした講習会などを開講。現在は“全ての世代に、泌尿生殖器ケアを通して幸せになってもらいたい”という信念のもと、「フェムケア」「おちんちんケア(オムケア)」「思春期性教育」をはじめとする講演を広く行うなど、積極的に活動中。
「ぞうちんとぱんつのくに」原作・監修(2024年、KADOKAWA)

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