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小豆と小倉は別物⁈ 今さら知った新事実

あずきには邪気払いがあるのをご存知ですか?
6月16日が和菓子の日。
由来は平安時代に仁明天皇が神前に菓子をお供えして厄払いをしたのが、848年6月16日であることからだそうです。
明治時代までは和菓子を食べて“健康と招福”を願った風習があったそうで、和菓子好きな私としては毎日が和菓子の日でいいとさえ思います。
和菓子が食べたいが為に、中高6年間茶道部を続けた位ですから(笑)
“つぶあん派”?“こしあん派”?
あんこに関しては“つぶあん派”か“こしあん派”かの【つぶこし論争】が巻き起こりますが、私個人的には“こしあん派”。
元々茶道をやっていて練り切り菓子が好きなんです。練り切りのあの手の込んだ感が繊細で好きです。あとは粒が歯に挟まらないから(笑)
夫は和菓子は“こしあん派”、アイスは“つぶあん派”だそう。そういう分け方もおもしろいですよね。

【製法】で分けられるあんこの種類
⚫︎こしあん
煮た小豆をざるなどで皮を取り除きながら押しつぶし、布などでこしたあと砂糖を入れて練り上げたあんこ
⚫︎つぶあん
できるだけ粒をのこしたまま炊き、砂糖を加えて練り上げたあんこ
⚫︎つぶしあん
つぶあんの粒を潰して炊き上げたあんこ
⚫︎小倉あん
こしあんに蜜などで甘くした大納言(だいなごん)を混ぜたあんこ
ちなみに…小倉あんの小倉は、京都の小倉山のこと。
小倉山は京都の盆地を形成する東山、北山、西山の中でも、西山、つまり西側の山々の一部です。わかりやすいのは京都の有名観光地、嵐山の近くという点で、嵐山から有名な「竹林の小径」を抜けて少し北に行ったところにある小倉池を南端に北に延びる高さ約300mの山です。

そもそも【大納言】って何なの?
【大納言】とは…
あずきの中で特に大粒な特定の品種群は「大納言」と呼ばれ、
流通・加工上、普通のあずき品種とは区別されています。
その名前の由来は、この品種群のあずきは、大粒なだけではなく、煮たときに皮が破れにくい特徴を持ち、いわゆる「腹切れ」が生じにくいことから、切腹の習慣がない公卿の官位である「大納言」と名付けられたと言われています。
なお、円筒あるいは俵のような豆の形が大納言が被った烏帽子に似ているためという説もあります。
(公益財団法人日本豆類協会 ホームページより引用)
つぶあんは元々「甘くない」食べ物だった⁈
つぶあんが生まれたのは、今から1400年ほど前の飛鳥時代。僧侶たちが肉を食べない代わりに「煮た小豆」を食べたのがつぶあんの始まりです。
初のつぶあんには砂糖が入っておらず、ごはんのおかずとして食べられていました。
元々は甘くないおかずだったつぶあんですが、それに砂糖を加えて、お菓子とした甘いつぶあん”が平安時代の京都で誕生しました。
作り出したのは、天皇御用達のお菓子屋さんで働いていた「和三郎」という人物。
平安時代には天皇に地域の名産品を献上する習わしがあり、和三郎は「甘いつぶあんを献上品にしよう」と思い立ちます。
しかし、小豆は煮ているうちに豆がつぶれてしまって見た目が悪く、味も不十分であることに悩んでいました。
そんなときに和三郎が手に入れたのは、普通の小豆より一回りも二回りも大きな小豆。弘法大師こと空海が唐(時の中国)から持ち帰ったものでした。
普通の小豆は煮ると皮が破けてしまいますが、大きな小豆は"煮ても皮が破れにくい”という特徴があり、見栄えや食感の良いおいしいつぶあんを作ることができました。
さらに、"煮ても皮が破れない”という特徴は、切腹を連想させないため、切腹の習慣がない公家の役職名である「大納言」にちなんで「大納言小豆」と命名されました。
和三郎は、地元・京都にある小倉山の近くで大納言を栽培。大納言から作った甘いつぶあんを「小倉あん」と名付け、天皇へ献上します。
ということで、つぶあんは普通の小豆から作られ、小倉あんは小倉山の近くで栽培された大納言小豆から作られていたという「豆の違い」に、それぞれの違いはあったのですね。
小倉あんの原料は元々、大納言小豆でした。
しかし江戸時代になると、大納言小豆は高価だったことから普通の小豆で作った「こしあん」に少しだけ大納言小豆の甘みを混ぜたものを、小倉あんとして出す和菓子屋さんが現れるようになります。
普通のこしあん+大納言小豆=小倉あん
そして今もその名残で、"普通のこしあんに少し大納言小豆を混ぜたもの"が小倉あんと呼んばれているそうです。
つぶあんと小倉あんの違いは、その生い立ちと使われている豆の違いにありました。2つのあんの違いに、このような歴史があったとは驚きです!
(TBSテレビ この差って何ですか?トピックス参考)
【原材料】で分けられるあんこの種類
「白あん」「黒あん」、すこし変わりダネとしては「うぐいすあん」「ずんだあん」「芋・栗あん」
⚫︎白あんとは
大豆や白いんげんや白小豆から作られる一種のあんこ
⚫︎黒あんとは
黒あんは一般的に小豆から作られる。
(サイトにより「黒あん」とする場合と「赤あん」とする場合があり)
⚫︎赤あん
赤いんげん豆と言った、赤い色をした豆を使ったあん
(黒あんと区別する為こちらの素材を赤いんげんと表示)
⚫︎変わりダネあん:「うぐいすあん」「ずんだあん」「芋・栗あん」
・うぐいすあん
鮮やかな緑色が特徴的の「青エンドウ(いわゆるスイートピー)」から作られたあん
・ずんだあん
枝豆を原料に作られたあん
・芋・栗あん
あんこの原料は主に豆ですが、これは芋や栗を使ったあん

あんこは黒いのになぜお赤飯は赤いのか?
『同じように火を通した小豆からできているはずなのに、お赤飯は何で赤いのか?』って考えたことありませんか?
調べていくと…
小豆を煮ると、煮汁が赤く色づき、その煮汁をもち米に吸収させて蒸すので、お米が小豆色に染まります。
種皮に含まれる色素はアントシアン。アルカリや鉄鍋で煮ると黒ずみ、酸や空気に触れると赤みを増すそうです。
(『日本大百科全書』小学館 参考)
お赤飯には、ポリフェノールなど小豆が持つ体に嬉しい成分が溶け込んでいます。
煮汁をもち米にしっかりと吸収させて作るお赤飯は、小豆の栄養分をあますところなく摂ることできる食べ方といえますね。
あんこ検定受験しました
“つぶあん”と“つぶしあん”が別であるのを知るとともに、
“小倉あん”は単なるあんこの別目でしょ?程度の認識だった私は、驚き満載でした。
最後までお読み頂いた皆さんも、小豆の知識が増え、次あんこやお赤飯を食べる時には誰かに蘊蓄を語りたくなったんじゃありませんか?
次あんこを食べる時には、きっとより味わい深くなることでしょう。