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気づいてた?薬局でもらう粉薬が数枚別になっている納得の理由と時間がかかるワケ

薬局薬剤師のkaorinmarinです。薬局で子ども用に粉薬をもらったことのある保護者の方も多いのではないでしょうか。実はこの粉薬、注意して見てみると、繋がっているお薬の中に数枚だけ別になっているものがあることにお気づきでしょうか? 数枚だけ別にされて、輪ゴムやクリップで一緒にとめてあることもあるかもしれません。
一見、ただ外れているように見えるこの数枚のお薬は、実は意図的に外されているのです。そこにはきちんとした理由があります。そして、この手間こそが、薬局での受け渡しに時間がかかる理由の1つにもなっているのです。
そもそもどうして子どものお薬は時間がかかるの?
「子どものお薬って時間がかかるな」と感じたことはありませんか?
それもそのはず、子どものお薬はシロップや粉薬が多く、大人のお薬のように棚から錠剤を取るだけで済むわけではありません。
粉薬では1種類ごとに重さを量って専用の機械にかけて袋詰めしたり、シロップではメスシリンダーでこれまた1種類ごとに量を量って容器に移し替えます。この作業だけでもかなりの時間がかかります。
加えて、子どものお薬は体重に応じて量が決まっていることが多く、処方せんに記載されている量が体重に対して適正かどうかを確認する工程も必要になります。これもまた、時間がかかる理由の1つです。
万が一、適正量よりも少なすぎる場合は効果が期待できず、逆に多すぎる場合は副作用発現のリスクがあります。この場合は医師に問い合わせをする必要があります(疑義照会)。この工程が加わるとさらに時間がかかってしまいます。

お薬を作ったら、それで終わりじゃない
体重に対する量も適正、お薬も調剤完了。ではすぐにお渡しできるかというと、そうではありません。最後に「最終監査」と呼ばれる、出来上がったお薬が本当に処方せん通りに作られているかどうかのチェックを行います。
これは子ども用に限らずですが、特に粉薬の場合は「1日あたりの量」「1回あたりの量」が正しく袋詰めされているか、全体量は問題ないかを確認する工程が加わります。このとき、繋がっている粉薬から「1日量」や「1回量」を切り離し、はかりで重さを量って確認するのです。

まとめ
このように多くの工程を経て、ようやくお薬をお渡しできる状態になります。粉薬数枚が外されている理由には、きちんとした根拠と安全性への配慮があるのです。
※薬局薬剤師としての実際の経験を元に記載しています
子どものお薬に時間がかかる理由、ご理解いただけましたでしょうか。今度薬局で粉薬をもらうときには、数枚だけ別になっているものがないか、ぜひ見てみてくださいね。