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人気の楽器をゆずった娘。理由を聞いたら想像の3倍たくましかった

「今日、ちょっといい話がありまして…」みたいな顔で、園の先生に呼び止められました。
娘が、発表会で使う予定だった楽器を代えてくれたそうなんです。どういうことかというと、人気の楽器に子どもたちが集中しすぎてしまって、ある別の楽器が「担当ひとりだけ」になってしまったらしく。そこで娘が自分から「じゃあ、わたしそっちやるよ」と代わってくれたとのこと。
先生は「優しいねってすごく思いました」と言ってくださいました
私もその場では、ああそうなんだ…人のことを考えられるようになったんだなぁ…成長したなぁ…なんて、ちょっと目頭がじんわり。もう親としては「うちの子、ついに全体が見えるようになったのね…!」みたいな気持ちでウルウルです。
で、帰宅後に本人に聞いてみたんです。
「なんで楽器、代えてあげたの?」って。
そしたら娘、即答。
「だってさ、たぶんジャンケンになるでしょ?」
……ん?
「ジャンケンになると思ったから、先にやめたの」
さらにくわしく聞くと、こういうことらしいんです
やりたい子が多い楽器は、最終的にジャンケンになる。自分はジャンケンがそんなに強くない。ジャンケンで負けるのがイヤ。だったら、誰もやりたがらない楽器のほうがいい。
「ジャンケンで負けるぐらいなら、違う楽器やるほうがいいもん」
って、ものすごく冷静な顔で言われました。
……や、やさしさじゃなかったー!!
私が勝手に「譲れるやさしさ…!器の大きさ…!」みたいに感動してたら、本人の本音は「例えジャンケンでも負けたくない」という徹底したリスク管理でした。つよい。
つまり娘にとっては、「やりたい楽器をあきらめる < ジャンケンで負ける」なんです。価値基準そこなんだ。母びっくり。

違う角度で見てみたら、いつもと違う発見もありました
よく考えたらこれ、すごいことでもあるなと思って。自分の中で「これだけはイヤ」という線引きがちゃんとあるってことだし、状況を見て「たぶんこうなる」を読んで、先に動けてるんですよね。
大人でもなかなかできないやつ。
私が「みんなのために譲ったのかな?優しいね」と思っていたところに、娘の答えは「いやそれより、わたしジャンケンで負けたくないから」。
なんかもう、潔くて笑ってしまいました。
優しさって、いつも「キレイな理由」だけじゃないのかもしれないな、とも思いました。
「自分のペースを守りたい」「自分のイヤを避けたい」っていう気持ちも、娘らしさだし、娘のちゃんとした判断。結果的に、ひとりだった楽器には娘が入り、全体のバランスは整い、先生も助かり、娘はジャンケンを回避して満足。
ものすごく平和な最適解がそこにありました。大人が「いい話ですね」って思ってる裏側で、子どもは子どもで「いかに自分がイヤじゃない形に着地させるか」という知恵をちゃんと回してるんだなぁ、と。
というわけで本日の学び。
うちの娘、知恵を働かせる交渉タイプでした。笑
そして母は、今日もまたひとつ、勝手に感動して勝手にオチでひっくり返るのでした。


























