公開 :
【裁判員裁判制度】~最高裁判所から届いた手紙で人生観が変わった話~

【裁判員裁判】
この制度名を聞いたことのある方は多いと思います。が、実際にどのような制度なのか知っている方は少ないのではないかと思います。さらに言えば、この制度で裁判員に選ばれ裁判官と共に法廷に立ったことのある方、となるとほとんどの方が経験したことはないだろうし、そもそも興味のない方がほとんどだと思います。
私もその一人でした。
でも裁判とは程遠いはずの産後すぐの時期、今から4年前の11月に最高裁判所から届いた一通の封書が私の人生観を大きく揺るがせました。
18歳以上で選挙権を有する方であれば、どなたでも選ばれる可能性があるこの制度。なのになかなか経験者の声を聴くことも少なく、ましてや産後すぐの普通の主婦が選ばれてしまったら、一体どうなるのか?
縁のない方が多い話題だとは思いますが、本当にある日突然、通知がくるので今の時期は特に要注意ですよ。
私が最高裁判所から封書を受け取った日
私が最高裁判所から最初の封書を受け取ったのは、2021年11月。ちょうど今頃の時期でした。クリーム色の厚い封書で【最高裁判所】の文字が目に入った時には目の前が歪みました(笑)
訴えられること、何かしたかな?と思い慌てて封書を開けると『裁判員候補者名簿に名前が載りました』というお便りと共に、裁判員裁判の制度について記載された資料が同封されており、非常にビックリしたことを覚えています。
私の名前が名簿に載っていた期間は2022年の1月~12月までの一年間でした。その期間中は自分が裁判員名簿に載っていることは公に口外してはならず、期間が過ぎた後には口外しても良いとのことだったので、今こうしてブログに書くのはセーフです。そこは安心して読み進めていただきたいです。
そして候補者名簿に載ったからといって全ての方が裁判所に出向かなければならないのかと言えば、そういう訳でもありません。むしろ裁判所に出向かない方の方が圧倒的に多く、裁判官と共に公判に立ち会う選ばれ方は、まさかの『くじ』もし裁判員に選ばれたら、その時にまた裁判所から通知がくるとのことでした。
まずしたこと
この通知を受け取った時点で、間もなく下の子の産後半年が経つ頃でした。私がまず考えたのは、子どもたちのこと。
長男はこの時5歳、年中でした。幼稚園と児童発達支援事業所を利用していたため長男の預け先はなんとか確保ができるかもしれない。
けれど長女は生後5ヶ月。生後3ヶ月で病気をして約2週間入院していて5歳までは経過観察となっており、病院への定期的な通院が必要なこと、また離乳食開始前で完全母乳で育てていました。そんな長女の預け先をどうするのか、そこが一番ネックになりました…
夫はまだ裁判員として裁判に出なきゃいけない訳じゃないんだし、選ばれる可能性も低そうだから大丈夫じゃない?なんて呑気なことを言っていましたが、私は2022年の間中に裁判所に出向いて公判に立ち会わなければならない気がしてきました…何故なら今までの人生『くじ運』が本当に悪かったから。くじで決まるなら、絶対当たるだろうなと思いました。
とにかく長女の預け先を探すために区内の保育園で一時預かりをしてくれるところを片っ端から探しましたが、丁度新型コロナウイルスの感染拡大の時期でほとんどの保育園が新規の受け入れはしていませんでした…ましてや当時は無職で働いていない専業主婦、しかも緊急性がないのに一時保育で受け入れてくれる園はなく、唯一近所に一か所あった認可外保育園の見学には行きましたが、新型コロナウイルスの感染状況によっては使いたい時に受け入れができる保証はありませんと言われ、保活の想像以上の難しさと新型コロナウイルスの被害状況に絶望しました。
ついに呼出状が届く
年が明け、2022年の夏。やはりという言葉が正しいのかはわかりませんが、裁判所より選任手続期日のお知らせが届きました。いわゆる『呼出状』と言われるもので、いよいよ裁判所に出向かなければならなくなりました。正当な理由なくこの通知を無視していると、10万円以下の過料に処せられることがあるそうなので、絶対に無視はしない方がいいです!!
くじ運のなさは誰よりも身をもって知っている私。『やっぱりな』という気持ちだったので、候補者名簿に名前が載ったと通知が来た時よりは冷静に受け入れられました。
また呼出状が来るまでの間に自分なりに裁判員裁判制度を調べてみましたが、経験する前はやってみたいと考えていた方が約40%だったのに、経験してみると良い体験だったと感じた方が97%いたというデータを見かけました。
そこまで多くの方が経験してみて良かった、という裁判員。候補者名簿に載ったと知った時には絶望に近い気持ちでしたが、だんだんと『滅多に出来ない経験だし、やってみてもいいかも?』という前向きな気持ちが芽生えてきました。
大ピンチ!1歳の預け先が、ない…
とはいえ問題なのは1歳になった長女の預け先。
呼出状と共に育児中の方向けの案内も同封されており、案内されていたところに連絡してみるとまた違う部署に回され、最終的には新型コロナウイルスの感染流行もあり通常時の体制とは異なる保育施設が多いため、自分で預け先を探さねばならず、片っ端から区内の一時預かりをしてくださる保育施設を探しましたが、どこも受け入れはしていただけず…一度見学に行った認可外保育園にも娘を預けたいことを相談しました。親身になって話を聞いてくださったのですが、新型コロナウイルスのため受け入れは難しいとのことで、保育施設は全滅。交通機関を使って別の区の施設を探すことも考えましたが、夫が医療職で当時は医療の逼迫もかなり進んでいたこと、夫の実家は本州、私の実家も両親共にフルタイムで仕事をしていたこと、長女の預け先がどうしても見つからずに長女も同行して公判に挑もうかとも考えましたが、それも現実的ではなく、本当に困り果てた末に相談用のコールセンターに連絡して現状の相談をしました。
担当してくださった方が本当に丁寧で優しい方で、こちらの事情を汲んでくださり、同封されていた質問票に辞退する具体的な理由を記入して返送すれば、今回は免除に該当するかもしれないので質問票を必ず返送してくださいと言われました。
様々な事情を抱えながら生活されている方も多くいると思うので、理由によっては辞退が認められないケースもあるようですが、今回の私の場合は辞退が認められ裁判所に出向くことなく、候補者名簿に記載されていた期間は終了となりました。
候補者名簿に載った方へ
あれから4年が経ち、長男は9歳、長女は4歳になりました。新型コロナウイルスの感染は一時期よりは落ち着き、長男は小学校、長女は現在幼稚園に通うようになりました。
そんな今、もし手元に呼出状が届いたら戸惑いながらも裁判所に出向き、裁判長からの質問に答え、6人いる裁判員の一人として公判に参加していたかもしれません。
今回の出来事から、普段ニュースで耳にする事件の裁判の話や判決の話がなんとなく他人事ではなく、自分のこととして置き換えて考えるようになったり、以前よりもニュースを見るようになったり裁判所が全く無縁のものとは思わなくなりました。もちろんお世話にならないのが一番いいとは思いますし、難しい話はわかりませんが、興味の幅が広がったように感じています。
最高裁判所から候補者名簿に載ったと通知が来る方は本当に僅かですが、います。4年前の私がそうでした。
戸惑いや不安、心配、恐怖、色々な感情が渦巻いているとは思いますが、まずは落ち着いて。そして返信しなければならない書類に、落ち着いて嘘偽りなく答えてください。
呼出状が届いても相談できる連絡先もあるので、大丈夫。個別に対応してくださいます。返信しなければならないものをそのまま無視してしまうことが一番よくないので、資料を一つずつ落ち着いて確認してくださいね。
期間中は第三者への口外ができないのでなんとなく不安な気持ちでいっぱいになるかもしれませんが、呼出状が届く可能性はかなり低そうなのでとにかくまずは落ち着いてくださいね。(呼出状を受け取った私が言うのもおかしな話ですが…)
長女の預け先さえ見つかれば、裁判所に出向いて公判に参加してみたかったです!


























