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先天性心疾患持ちがママになった話
8月10日はハートの日♪
心臓の健康について考えよう!
という日だそうです。
実は、私、生まれたときから心臓病持ちです
手術をしているので厳密には持ち「でした」が正しいのかもしれませんが
病名は「心室中隔欠損症」、
Ventricular(心室)
Septal (中隔の)
Defect(欠損)
略してVSDです。
心臓の中には心房が2つ、心室が2つ、合わせて4つのお部屋があり
身体から戻ってきた血液は右心房→右心室→肺と巡り、
肺から戻ってきた血液は左心房→左心室→身体とぐるぐる回っているわけなのですが
そのうち右心室・左心室の間にある壁(中隔)に穴が開いているというもの。
心雑音があることが特徴で、ドックンドックンと通常音がする心音が
VSDの場合、ザーッザーッと聞こえます。
芸能人やスポーツ選手でもこの心疾患を持っていましたと公表されている方も時々みかけます。
100人に1人の割合でこのVSDを持って生まれてくる赤ちゃんがいるそうなので
昔VSDでしたとか、お子さんがVSDですというお父さんお母さんもいるかもしれないなーと思い、
今回このお話をお伝えすることにしました。
心室中隔欠損は、その穴が大きければ生まれてすぐに手術をして穴をふさぐ処置をしますが
チアノーゼや呼吸困難などがなければ経過観察、
穴が小さければ成長とともにふさがることも多いようで、
小学生になるころには治っていたということも少なくないそうです。
大きくなっても穴が自然閉鎖せずそのまま開きっぱなしというケースもあります。
ハイ、私です!
気を付けなければいけないことは
穴が小さければ生活上特に制限はなく
体育などもみんなと一緒に授業を受けていましたが
唯一をつけなければいけないことは、歯医者です。
VSDに限らず、多くの先天性心疾患の場合
沢山出血を伴う処置をする場合に心内膜炎を起こすケースがあるそうです。
心臓病がある場合傷口からはいった最近が心臓に付着し繁殖する場合があるので
抜歯などの際には事前に抗生物質を服用する必要があります。
(アメリカ在住の際には抜歯だけではなく歯の定期検診のみでも抗生物質を服用するよう歯科医から指示がありました)
そういうこともあってか母は私の口内環境にすごく気を使って育ててくれまして
現在でも虫歯ゼロで過ごすことができています。
ありがとう、お母さん!
大動脈弁閉鎖不全がセットになると要注意
私の場合、穴が開いていたのが「大動脈弁」という大きな弁の近くで
この弁は身体に血液を送りだす役割を担っているのですが
小さな穴が開いていることで血液が逆流し
成長とともに大動脈弁がひっぱられて閉じなくなっていたのです。
この「心室中隔欠損&大動脈弁閉鎖不全」のセット、
日本人を含むアジア人に多い症状だそうです。
というわけで15歳の時に穴をふさぐ手術を受けました。
もう20年前の手術事情なので今とは異なる部分もあるかもしれませんが
手術の少し前に検査入院をし、カテーテル検査を受けました。
脚の付け根あたりからチューブを入れて心臓の状態を診るという検査なのですが
当時15歳だった私は意識のある状態でこの検査を受けたので
途中で手術室の雰囲気や見えないところで何かされている感触というのが怖くなってしまい
検査を受けながらめそめそ静か~~に泣いていたのを覚えています(笑)
その数週間後に手術を受けました。
人工心肺に繋ぐ手術なのでこちらはさすがに全身麻酔だったので
目が覚めたら集中治療室にいました。
最初は体を起こすのも大変でしたが
尿管を抜いてもらい、おかゆが通常のごはんに戻っていき
3週間後には退院することができました。
退院後、太ったと勘違いして危険な目に
退院後1週間ほど経ったころ
どうも身体が重く感じる、太ったのかな?と体重を測ってみたところ、
1週間で5~6㎏急増している。
こんなに急に増えたー!!動いてないからだー!!と
意識して歩いたり腹筋したりしていましたがどうも息が苦しい。
やっぱり手術したばかりだからまだ苦しくなっちゃうのかなー
でも太りたくないな~なんて考えていた思春期の私。
術後検診で再度手術をした病院に行きレントゲンを撮ったところ
心臓が3倍くらいまで肥大していることがわかりました。
これは心膜切開後症候群といいまして
心嚢水(しんのうすい)と呼ばれる水が心臓の周りに溜まってしまうことです。
その場で車いすに乗せられ、動かないように指示されました。
急に増えた体重は全部心臓周りの水と全身のむくみが原因だったようです。
最終的に元の体重+7㎏くらいは増えていた記憶。
ほうっておいたら危なかったよ~!と言われ
太ったと思い込んで勝手に運動量増やしたのはまずかったなと大反省しました。
結局心臓周りの水は別途手術などの必要はなく
アスピリンと利尿剤(水分を外に出すために)を服用することで徐々に減っていき
1か月ちょっとで退院することができました。
それから3年ほど経過し
手術をして完治していた大動脈弁がまた閉鎖しなくなっていきました。
治療をしなくてはいけないほどの閉鎖不全ではないようですが
微妙に閉じ切れてはいないようなので
結局現在に至るまで、年に1回のフォロー検診は続いています。
妊娠出産、先天性心疾患の場合はどうしたら?
術後約15年が経ち、妊娠をしました。
最初にかかった婦人科で先天性心疾患の手術をし
現在フォロー検診中であることを伝えると
それだと小さい産院は止めた方がいい、受け入れてもらえない場合もあるかも、
手術を受けた病院に紹介状を書くのでそちらで産んだ方が良いとアドバイスを受けました。
正直、現在特に何も制限ないのに大げさな…と思ってしまった自分もいるのですが
妊娠中というのは胎児がいること、胎盤があることなど
いつもとは違う身体になっていることで体内の血液量が増え
心臓にも少なからず負担がかかっているそうなんです。
そのため、心疾患のある人は念のため気を付けてほしい、とのことだったので
手術を受けた(現在フォロー検診を受けている)病院での出産を決めました。
妊娠中に私自身の心エコー検査も受け、特に異常はないと太鼓判を押してもらい
遺伝するものではないけれど、ついでに診ておきますね~と
胎児の心エコーを診てもらい異常がないことを確認、安心して出産に臨みました。
産前には抗生物質の点滴を受け、いざ出産、
産後は病室に心臓の担当医の先生が来て下さり、念のため診察をしてもらいました。
この安心感はやはり、手術&検診を受けている病院での出産だったからこそ。
産後5年!今でも元気です
その後下の子も生まれ、二児の母となった私。
相変わらず1年に1回の検診はありますが、今でも元気に過ごしています。
VSDは穴の大きさや穴の位置で症状や対応、合併症が変わってくるものとはいえ
母になった今、
子供がもし心疾患だったら?と悩んだり、不安になったりする親の気持ちもわかるようになり
こんな風に過ごしているよ~という例の一つとして
読んでいただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
Have a nice day!