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自分から「この映画が観たい」と言った息子。その選択に、母は驚きました

先日、ちょっとした出来事がありました。それは、小学3年生の息子が人生で初めて、自分から「この映画が観たい」と言った日のことです。
自分から初めて観たい!と言った映画は…
これまで映画館に行くといえば、「これ観る?」「どっちがいい?」と、こちらが候補を出して、その中から選ぶのが当たり前でした。それがある日、CMを見てぽつりと「ねえ、この映画、観に行きたい」と言ったのです。
正直、その瞬間は“え?本当にこの子が選んだの?”と驚きました。なんで…なぜその映画を選んだのか。
息子が選んだのは、あの大人気ディズニー映画でもなく、友達の間で話題になっているアニメ映画でもなく、『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』(※戦争を題材にした作品)でした。戦争を題材にした、決して楽しい内容ではない作品です。
理由を聞くと、とてもシンプルな答えが返ってきました。「勉強で、戦争のことを習ったから」。それだけ。でも、その一言に、私は胸をぎゅっと掴まれたような気持ちになりました。
小学3年生なりに考えた「知りたい」という気持ち。
戦争の授業といえば、年表を覚えたり、写真を見たり、「昔こんなことがありました」と説明を受けることがほとんどです。正直、難しいし、怖いし、「よく分からない」で終わってしまう子も多いのではないかと思います。
それなのに息子は、「もっと知りたい」「ちゃんと見てみたい」と思ったのです。娯楽としての映画ではなく、学びを深めるために映画を選ぶなんて。親の私が驚いてしまうほどでした。さっそく、その週の学校がお休みの日に親子で観に行きました。

映画を観終わったあとの、忘れられない一言
映画が終わり、外に出たあと、「どうだった?」と聞くと、息子は少し考えてからこう言いました。「戦争のことが、よく知れてよかった」。
派手な感想でも、感情的な言葉でもありません。でも、「怖かった」「つらかった」ではなく、「知れてよかった」。この言葉に、胸がいっぱいになりました。
たくさんある映画の中から、大切なものを選んだ息子。
同じ映画館には、ワクワクするようなポスターがたくさん貼ってありました。録画して何度も観ている大好きなディズニー作品の最新作。きっとそちらの方がお話としては楽しかったはずです。それでも息子は、自分の中で「今、必要だ」と感じたものを選びました。それはきっと、大人でも簡単にできることではありません。
子どもは、親が思っている以上に考えている。
今回の出来事で、強く感じたことがあります。子どもは、ただ遊んで、笑っているだけの存在じゃない。ちゃんと考えて、ちゃんと感じて、ちゃんと「自分で選ぶ力」を育てている。それを信じて、そっと見守ることの大切さを、息子から教えてもらった気がします。
この日のことは、きっと忘れません。
「初めて自分から観たいと言った映画」「その理由が、戦争を学んだからだったこと」「観終わったあとに言った、あの一言」。どれも、母として一生忘れたくない出来事になりました。
これから先、また違う映画を選ぶ日が来ると思います。でもきっとこの日が、息子が「自分の意思で世界を知ろうとした最初の一歩」だったんじゃないかな。そんなふうに思っています。
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