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合計16カ月の育休を取得して、いま父として思う事
2022年8月に第2子が産まれ、約10カ月の育休を頂いていまして、2023年6月1日。復職します。
長女(2020年)の時は約6カ月育休を頂きました。
合計16カ月の育休を取得して、今、思う事や考えた事をまとめてみたので、良ければお付き合いくださいませ。
そもそもなんで16カ月も育休を取ったのか?2人の天国の子たち
合計16カ月の育休を取得しましたが、そもそも、なんで長期間育休を取ろうと思ったのか?そこからお話ししたいと思います。
結論から申し上げると「不妊治療」と「流産で会えなかった2人の子」のお陰です。※少しナーバスな話なので、お気を悪くされる可能性のある方はここで離脱して頂けますと幸いです
我々は、妻38歳、私32歳、の時に自然妊娠し、その後、6週目で心拍が確認できず流産しました。全く想定していなかったのでかなりショックを受け、2人で号泣したのを今でも鮮明に覚えています。
その後、妻の年齢も考えて早々に不妊治療を開始し、妻40歳の時に2回目の妊娠をしたのですが、結果、7週目あたりで流産となりました。
その時、思いました「あぁ、子どもが出来るという事は奇跡なんだな」と。
2人で生きていく人生も、それはそれで全然楽しいので、全く問題は無いのですが・・・。
もしも、本当にもしも子どもを授かることが出来たのなら、自分の人生をかけてその子を育てよう、そう強く心に誓いました。
そして、不妊治療期間が3年を経過した頃。。。
妊娠判定を頂き、魔の12週(流産の8割が12週以内)を乗り越え、無事十月十日を経てなんとか長女に出会う事が出来ました。
天国に行ってしまった2人の子がいたからこそ、長期育休を取ろうと思ったし、生まれてくる子に最大限愛情と労力を注ごうと心底思えたんです。
何度も涙を流し、決して楽な道ではなかったなと振り返って思います。ですが、その遠回りがあったからこそ、今の自分がある。人生に意味のないことは起きないということですね。
これが、私の16カ月育休を取得した背景です。
過酷な育児が7割、宝物のような思い出が3割
いま、合計16カ月の育休を振り返って一番に思うこと。それは「育児は過酷である」ということです。
え?いきなり辛い話?と、思われるかもしれませんが、これが私の等身大の感覚です。
確かに、16カ月の育休の中で宝物のような思い出はたくさんありますが、キラキラした側面だけじゃない、というのが現実だと個人的には思います。
睡眠不足、気が抜けない命を育てるプレッシャー、抱っこ他による肉体的疲労…振り返ると、ボロボロになりながらの16か月間でした苦笑たまに「夫婦2人で育休だし、余裕でしょ?」とか言われることがあります。
即答します、2人でもめちゃくちゃ大変です.
何がそんなに大変なのか、ざっと、1日のタイムスケジュールを書き出してみました。良ければご覧下さい。
5:00 起床。弟君にミルク、掃除、洗濯、朝ご飯用意、保育園準備…
7:00 長女の朝ご飯を保育園準備、送り(1日の多忙コアタイムの1回目)
9:30 弟君を抱っこ紐で抱えながら(慢性的な肩腰疲労)買い物、スーパー薬局
11:00 帰宅、弟君ミルク、オムツ替え、寝かしつけした後、昼ご飯準備
12:00 昼ご飯 ※弟君がが起きてきたら、昼ご飯は秒で流し込む
13:30 昼ご飯片付け、弟君の面倒を見ながら家の掃除など
15:00 弟君ミルク寝かしつけ(3時間おきに発生)
16:00 夜ご飯、お風呂準備
16:30 長女お迎え~公園
18:00 帰宅し、お風呂~夕飯~絵本~寝かしつけ(多忙コアタイム2回目)
21:00 寝かしつけ後、作り置きの料理(少し晩酌)
23:00 就寝
「育児は過酷」これが私の第一に思う感想です
過酷な育児を父はほぼやらず「母親」がやる前提の空気に違和感
育児の「過酷さ」と「宝物のような思い出」を体感した16か月間。それと同時にもう1つ、猛烈に思ったことがあります。
それは「母親が育児するのが当たり前」になっている点です。
と言うのも、父親として長期育休を取得し当事者として育児をしていると「異様な違和感」を感じる事が多々ありました。
例えば、先日、とある知育教室で、私が弟君をあやしていると・・・先生に「慣れてるわね」と言われました。
え、自分の子をあやしていて「慣れてる」ってどういう事ですか?私が、他人の子をあやして「子どもの扱いに慣れてるわね」だったら意味はわかりますが、、、自分の子どもですよね?苦笑
母親があやしていても絶対に言われない言葉。
これは、父=育児をしない(育児は母がするもの)が前提になっているんだと思います。
他にも・・・「ママチャリ」はパパの私も半分は乗りますし、童謡の「あめふり」の歌詞で「あめあめふれふれ♪母さんが~じゃのめでお迎え~♪」とあるけど、お迎えは父さんも行きます(爆)
こんな感じで、母親に育児が偏っている歪んた社会環境に非常に違和感を覚える日々でしたが、同時に「なんでなんだろう?」と素朴に疑問を持ちました
男性の育休制度は世界トップクラスなのに日本の男性は育児をしない理由
育児女性偏重社会に気付き、なぜ、こんなに男性が育児をしないんだろう?と考えた時。「もしかしたら制度が悪いのかな?」と日本の制度や世界的な男性の育児事情を調べてみたんです。
すると「男性の育休取得可能期間」や「育休期間にもらえる給付金の額」に関して、日本は圧倒的に世界トップクラスの男性育休制度保有国でした
え、じゃあ、なんで日本は男性が育児をしないんだろう?色々と調べていくうちに、私が辿り着いた結論はこれです「日本は異常に男女格差が激しい国だから」
男は外で働いて、女は家を守る、みたいな50年以上前の感覚が未だに残っている国なんですよね、日本は。
ジェンダーギャップ指数というのをご存じでしょうか?各国の男女格差を指数化したもので、毎年ランキング化されてるんですね。
※企業の経営層の女性比率や、政治家の女性比率はどの程度か、といった指標で数値化されます
日本は、116位/146か国中(2022年世界経済フォーラム・ジェンダーギャップ指数より)です。
日本の男性の育休取得率は約13%、男女格差の低い北欧の例えばスウェーデンでは80%以上の男性が育休を取得します。「男女格差」という視点においては日本は最後進国で、誤解を恐れず言えば、オワってますね。。。
こんな女性育児偏重社会を変えたいと思ったきっかけは「娘」でした
日本が育児環境含め男女格差で「相当ダメな国なんだなー」と気付いた後に、ふと思ったんです。
あれ?待てよ、うちの娘、将来、こんな環境で育児するの?娘が、こんな劣悪で偏った環境で育児をすると考えた時、ゾッとしました。
なので、30年後くらいまでに、この育児女性偏重社会を変えるしかない、と、強く心に誓ったんです。
ただ、とは言っても、私は普通のサラリーマンなので、影響力もなければ社会を変える力もないただの一般人です。
自分に何ができるんだろう?と、考えて、まずは自分の育休経験をレポート化して同僚に発表したり、奥さんが妊娠中の後輩に育休の提案をしてみるところから始めました。
そして、今、この執筆させて頂いているブログの機会を頂くことが出来たんです。
ブログの方向性は「男性の育児アクションに繋がるような内容」にしました。
「保育園連絡カードを父が書く」とか「父子帰省のメリット」とか、そんな内容です。冗談ではなく本気で、娘のために日本を変えたいと思っています。
「男性が当事者として育児をするのが当たり前の社会」これが私の夢です。
「社会を変えたい」と、大きなこと言っている割には小さい一歩だという事は自覚していますし、周りからは鼻で笑われるようなアクションかもしれません。でも、小さくてもアクションするという事が大事だと私は強く信じています。
なので、他人に笑われても、やり続ける。これが私の生きる道です。
育休を取って本当に良かったのは2人で育児出来たこと「孤育て」の現実
周りに育休を勧めるようになり、良かったことをいくつも話すのですが、私の良かったことの一つに「妻と2人で育児できたこと」があります。
え、2人で育児って当たり前だよね?と思われると思います。ですが、現代の日本社会の育児の現実は違うんです。
とある調査によると、言葉の通じない赤ちゃんと1日中2人で過ごし「孤独を感じたことがある」という方は5割以上になるとのこと。
つまり、父親が仕事で全く育児をしないので、母親が孤独を感じてしまうという事なんです。
「子育ては孤育て」という言葉が生まれる程、日本は母親が独りで育児をする環境が当たり前になってしまっている現実。
悲しいですよね。
最近は、SNSの普及により、同じ月齢のママさんパパさんが繋がりあう時代(#2020年4月生まれ、などのハッシュタグで検索して繋がる)なので、昔より「孤独」は回避できているようにも思います。
が、いくらSNS上で孤独を回避できるようになったとしても、「孤独」の根本の原因は「父親が育児をしない」である以上、抜本的な解決にはならないと考えます。
男性が育児をするようになると色々と社会が良くなると思う3つのこと
私は当事者として育児がすることが出来て、一個人として本当に良かったと思っています。ただ、一個人だけじゃなくて、男性が育児をするようになると、色々と社会が良くなると思うんです。
例えば、1つ目に思うのは「出生率」です。
日本の出生率は「1.30」(2021年総務省)。
人口を維持するのは2.07が必要と言われているので当たり前ですが、人口減少に歯止めが利かない状況です。この「1.30」って、皆さん、どう思います?
私には「1人目ワンオペで死にそうなのに2人目とか無理」という数字に見えました。
とある調査によると、「夫の家事育児参画時間」と「第二子以降の出生率」は正の相関関係にあるようです。当たり前ですよね。男性が育児をするようになれば、出生率改善のきっかけになるのでは?と考えた時、社会にとっても意味のあることだなと思います。
2つ目に「女性労働力離れ防止」です
とある調査によると、8割以上の女性が出産後も働き続けたいと考えているにも関わらず、3割程度の女性が退職しているそうです。経済損失を換算すると1.2兆円になるらしく、日本の労働力課題だと思います。そして、何より、16か月間育休で育児に専念して思ったのは「育児ができる女性はとても優秀な方」だということ。
育児は、同時に色んな事を処理しなければならないマルチタスクで、かつ、突発的な対応力が求められる業務だと思います。これを大きな問題なく期限内に仕上げて、それをやり切る力、そして何年も持続する継続力、ビジネスパーソンとして非常に優秀なのではないでしょうか?
とある先輩が「女性の社会進出」ではなく、「男性の家庭進出」が先だと言ってました。その通りですね。男性が育児をするようになれば、少しでもこの優秀な女性労働力を社会に戻すことができる、と、個人的には強く思います
3つ目は、企業のためにもなる、という事です。
男性社員が1人抜けることで、そのカバーをする社員たちは、抜ける社員のナレッジスキルを共有されることになり、スキルアップに繋がると考えます。自分の体験的にも、代わりにやってもらう人のために自分の仕事をマニュアル化したり、自身のパフォーマンスを別の人で再現できる、というのは企業にとって価値のあることだと思います。
また、近年の就活学生男子の8割は育休を取得したいと考えており、そもそもの企業価値向上に寄与するファクトなのではないでしょうか?男性育休取得率が高いという事実は、会社を取り巻くステークホルダーへのレピュテーションUPに繋がる、と個人的には考えます。
ハンガリーの少子化対策が凄いらしい「育休3年&4人産んだら所得税0円」
男性が育児をすると少子化対策に繋がる、という話のついでに余談的にご共有なのですが、ハンガリーの少子化対策が凄いのをご存じでしょうか?
■ハンガリーの少子化対策
政策1:有給育児休暇が3年
政策2:4人産んだら所得税0円
政策3:子ども3人以上の家庭には新車購入費用補助
政策4:第3子出産でローン返済免除(約350万)
政策5:子ども3人以上いる家庭の不動産購入補助
政策6:学生ローンの返済免除
政策7:体外受精費用の全額補助
凄い本気度ですよね。それに比べて日本は・・・苦笑
奥さん妊娠中のプレパパさんに長期育休を提案したい
もしも、このブログを読んで下さっている方の中に、奥さんが妊娠中のプレパパさんがいたら、是非長期育休を提案したいです。
絶対に素晴らしいものだから。
一方で「あなたみたいに気軽に取れないよ」「周りでそんな長期育休取っている人見たことない」など、環境的に無理、という話をされることがあります。
日本の男性の育休取得率は13%なので、当然そうですよね。
私自身も「6ヶ月育休を取りたい」と初めて上司に言った時は、どんな仕事よりも緊張しました。。。
ただ「環境的に絶対無理」という方に対しての私からはこのような提案をします。
確かに、過去に社内でそんな長期で育休を取る男性がいなかったら、物凄く厳しいと思います。でも、だからこそ、踏み出すことに価値があるのではないでしょうか?
誰も踏み入れたことのない未開の地に、最初の誰かが一歩踏み出したからこそ、続く人が現れ、やがて道となる。あなたが、もし、その一歩を踏み出せば、未来の育休を取得したい後輩男性社員の道になるのだと思います。
つまりは、あなたのその一歩は、あなたの会社を変えるという事です。会社を変えるという事は、社会を変える事に繋がります。
あなたの家庭がHAPPYになるだけじゃない。会社が変わり、日本社会が変わる。そんな、日本社会を変える一歩を踏み出してみませんか?
こんな話を私はさせて頂いています。
私には約30年後くらいに成し遂げたい夢があります。
私には、夢があります。
それは、約30年後位に娘がもしも結婚をして子供授かることが出来て、日本で子育てをする、となった時に義理の息子からこんなことを言われたいという夢です。
義息子「あ、育休ですか?ぼく、1年取りますよ」
義息子「お父さんも“当時の割には”たくさん育休取られたって聞きました」
義息子「ただ、令和生まれの男性の80%以上が育休を取る時代ですよ、この前、スウェーデン抜いたって報道で言ってました」
こんな時代がきていて欲しい。
それが今の私の夢です。
さいごに
だいぶ長々と書いてしまいました。。。ここまでお読み頂けた希少な方、本当に感謝申し上げます。
合計16カ月の育休期間に本気で育児と向き合い、一番大切なものは何なのかを気付かされました。
仕事大好きで、社会人の大半を仕事に費やしてきました。
今でも会社に後悔はありません。ですが、当時の自分のままなら死ぬ時に何も残っていなかったような気がします。
育児をすることで、家族の大切さは勿論そうですが。日頃の何気ない日常の有難さに気付かされました。
「家族4人健康で笑顔で暮らせていれば、他に何もいらない」
育休は、僕の心を豊かにしてくれて、人として大切なことを教えてくれました。
これから、子どもが生まれるプレパパなど特に何かのきっかけになってくれればなと願っています。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!