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【小学校教諭目線】ひらがなが読めずに入学すると、どうなるか知りたい?
小学校教諭をしていた頃、1年生担任経験が多い私でした。入学したての子どもたちのひらがなを読むことのできるレベルには、かなりの開きがありました。入学前説明会では「自分の名前は読めるようにしておいてください」というものの、いざ授業になると、音読をスラスラできる子やたどたどしい子。プリントの問題を目でさっと読む子やゆっくり読み上げて読む子など大きな違いがあるものです。
今回の記事では、私が実際にわが子に対してどう取り組んだのかという内容をお届けします。
わが子には、入学前に文字を読ませておこう!と思いました。しかし、
私の子どもは、「幼稚園の頃からさぞかし多くの本を読んでいたのか」というと、それはそれは全く文字が読めない(読もうとしない)子どもでした。
文字を読ませようとすると、ものすごい勢いで癇癪を起こすので、「家の空気が悪くなるくらいなら読まなくてもいいか。学校生活が始まればきっと読めるようになる」と思い、読ませないことにしました。
他の学習は取り組むのに、文字に対してだけは激しい拒否反応を起こすので「学習障害かもしれない?療育に相談に行った方がいいかもしれない?」と密かに思っていたほどです。
しかし、絵本の読み聞かせは大好きでしたし、長い時間お話を聴くことや話の内容を細かく理解することはできていたので、毎晩の読み聞かせは続けていました。
いつまでも読めない…?差は開いていく…?
1年生になってからも、あまり読めません。上手な子はよどみなくスラスラと文章を読みますが、我が子はとてもたどたどしく、間違い読みをすることもあります。しかし、とりあえず「私が気にしないでいよう」と決めました。気にしないでいると、次は年中の4歳が何もしていないのに、文字が読めるようになってきました。(この子は1年生の教材で読めるようになったらしい!)
1年生の夏休みになっても読み方のたどたどしさはあいかわらずです。絵本など文章が少なめだとしても間違い読みをしたり…。1年生の夏休みの課題図書すらあやしい…(一緒に読みました)。しかし、目安として、「10分で読める名作 1年生」(株式会社学研プラス)など目安の本は、そばに置いておくようにしました。「かいけつゾロリ」(ポプラ社)も2冊書いました。
1年生の3学期になった頃、1年生の夏休みの課題図書をスラスラと音読できるように読めるようになってきました。コロナ休校で、本を向かう時間が増えたようです。時間がたっぷりあるので、妹や弟に音読したり、そこらにある本を手当たり次第、黙読したりするようになりました。この頃、ブックオフやメルカリでたくさん図鑑や本を購入したものです。
この子は歴史トランプに興味をもっていたので、伝記を買ってみると、これが大当たり。どんどん読むのです。同じ野口英世さんの物語にしても、いろいろな書き方があるので、楽しむようになりました。
2年生になってからは宿題の音読も毎日先生がサインをくださるので、張り合いがあり、すすんで読むようになりました。
なぜ幼稚園時期にひらがなが読めなかったのでしょうか?
今では…私が伝記を買ってくると、すぐにひたすら集中して読みふけっています。いろいろな本を読んでは、本の内容を私に説明することでアウトプットしています。
もう幼稚園の頃のように文字に関して癇癪は起こさなくなったので、「幼稚園の頃はなんでひらがなを読むのがイヤだったの?」とそっと聞いてみました。そうすると、「幼稚園の頃は、文字を読むのがめんどうだったの」という言葉が返ってきて、とても面白く感じました。本人もきっと忘れてしまうような今しか聞けない言葉だろうと思います。
興味がない子どもに、もし無理やり学習をやっていても私の労力は疲弊するだろうし、本人に身につく時間もかかります。
(苦手意識も植え付けられるかもしれません…)
本人の意欲関心が高まる時期を見極めた方が周りも本人も楽ですし、能力も急上昇できます。子どもが読みたくなる時期を待っていてよかったなと今、思います。
※私の表現する「読書好きで結果オーライ」という意味は、「本人にとって苦手とならず、好きなことが1つ増えてよかった」ということを表しています。
つまり、「幼稚園時期に文字を読めなくても大丈夫!」(ただし、文字に対しての興味関心を広げる「環境」は整えておく) なのです。以下に私が取り組んだ「環境」についてまとめておきます。
【まとめ】文字習得のために今やること・やらないこと
【文字習得のために「幼稚園時期」にやったこと】
◯ひらがなのなぞり、線のなぞり
◯図形描写
◯絵本の読み聞かせ
◯お話の記憶の問題
◯文字と一緒にイラストを描いてあげること
◯幼稚園の道具や家でのポスターなどにできるだけ文字を書いて、触れる機会や環境を増やしていたこと
◯ 気まぐれで読んだ時に「すごい!読めるようになったね!」「スラスラと読むスピードが速くなったね!」とめちゃくちゃ褒めること
【「幼稚園時期」に困ったこと】
◯学習に取り組むときは聴き取る問題となるのでつきっきりの時間を確保すること
【文字習得のために「1年生時期」にやったこと】
◯宿題の教科書の音読(たまに一緒に)
◯「幼稚園のときよりホントに読めるようになったね!」と過去の本人と比べてほめる
◯「10分で読める名作1年生」「7歳くらいにおすすめ」と表記している本を目安として家においておく
◯私が目の前で雑誌(政治経済系、写真が多いもの)を読み、雑誌に興味をもったら「そこに詳しく書いてあるよ」と伝える
◯本人が興味をもちそうなことを把握しておくことで読みやすい本をすすめる
◯学校からのプリントに「どんなことが書いているの?」と尋ねる
【困ったこと】
◯「問題がわからない!」と叫ぶので、「ゆっくり声に出して読んでごらん」と何度も言わなくてはいけない(笑)
【「幼稚園〜小学校」を通じてやらなかったこと】
◯文字を無理やり読ませること
◯人と比較すること
◯本人の興味関心を止める
◯バランスよくまんべんなく勉強させる(偏っていてOK!好きなことは伸ばして自信にする!)
[おまけ]大好きな伝記ですが、最初は2年生版のみ買っていましたが、どんどん読み進めるので、1年生、3〜6年生版も購入しました。「上の学年の内容を読ませることってどう?」ということも次回以降の記事でふれさせていただきます。