インフルエンザなのに「タミフルやイナビルなど」が処方されない納得の理由とは？【調剤薬局の舞台裏】

インフルエンザ大流行中です！

インフルエンザ絶賛流行中ですよね。
薬局で薬剤師をしているのですが、連日、「急患です！」「急患です！」とお大騒ぎ。またかと思うくらいやはりインフルエンザの処方内容。どうかうつりませんようにとお願いしながらお薬をお渡しする日々。

インフルエンザの処方内容は大きく分けて2通りあります。
1、明らかにインフルエンザと分かる「抗インフルエンザ薬（タミフル、イナビル、ゾフルーザ、リレンザ（ほとんどで見かけない）」が含まれる処方。
2、一般的な風邪薬の処方。解熱剤、痰切り、咳止めなど。

インフルエンザなのに抗インフルエンザが処方されないわけは？

ではなぜインフルエンザなのに、抗インフルエンザ薬が処方されないでしょうか？
これは抗インフルエンザ薬の特徴にあります。

インフルエンザウィルスは発症後48時間以内に増殖のピークを迎えます。抗インフルエンザ薬はインフルエンザを倒すというよりインフルエンザウィルスの排出、増殖を抑えるお薬です。そのため、発症後（発熱後）48時間以内に投与しないと最大限の効果が期待できません。病院にかかった時点で発症から3日くらい経っていると、処方されない場合もあります。
また、昨今の医薬品供給不足の問題もあります。抗インフルエンザ薬も例にもれずに、爆発的に感染が流行っている現在品薄状態になっています、本当に必要な患者さんにのみ処方する動きも高まっています。

以上の理由により、風邪薬だけの処方といってもインフルエンザかもしれないので、薬剤師は十分に注意しなければならないのです。処方せんにはインフルエンザの検査をしてもその結果を記載する必要はありません。インフルエンザかどうかは患者さんからの申し出がないと分からないのです。

主な「抗インフルエンザ薬」のご紹介

主な抗インフルエンザ薬には「タミフル」「イナビル」「リレンザ」「ゾフルーザ」があります。
これらについて簡単にご紹介します。
【薬剤名】
・剤型
・投与回数・日数
・その他、特徴など
【タミフル】
・内服薬（カプセル（唯一ジェネリックあり、錠剤）・粉）
・1日2回　5日間
【イナビル】
・吸入薬
・1日1回　　1日間
・苦い。しっかり吸入できることが望ましい。1回で終わりなので楽。
【リレンザ】
・吸入薬
・1日2回　5日間
・専用デバイスが必要。
【ゾフルーザ】
・内服薬
・1日1回　1日間
・1回なので楽だが、その分失敗できない。錠剤が飲めない年齢や吐き気などがある場合は不向き。

子どもがインフルエンザにかかったときは見守りを！

過去にタミフルを服用した子どもが異常行動を起こしたと騒がれた時期がありました。そのため子どもにはタミフルの処方が控えられた時期もありました。現在この件についてはタミフルのせいなのか、そもそものインフルエンザのせいなのかはっきり分かっていません。
そのため、タミフルの服用有無に関わらず、子どもがインフルエンザにかかっている期間は子どもの十分な見守りをお願いしたいと思います。