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黒川鞄工房のランドセルを試着したら、手作りのランドセルに魅了された

黒川鞄工房のランドセルを6歳&4歳姉妹が体験しました。

街中や店頭で新しいランドセルを目にするようになる季節
2025年度が始まり、新一年生が真新しいランドセルを背負って通学する季節になりました。
その一方で、デパートなどでは多彩なランドセルが店頭に並び、2026年度に小学校に入学する年長児を対象としたランドセル販売が行われています。
ランドセルを製造販売する会社は大手メーカーからこじんまりとした会社までいろいろありますが、今回はその中で黒川鞄工房のランドセル展示会に参加しました。
黒川鞄工房とは

「地球にやさしく、子どもにもやさしい、上質な本物を」をスローガンに、天然素材にこだわり、日本でも有数の熟練職人が手縫い、手づくりでひとつひとつ丁寧に仕上げる富山のランドセルメーカーです。
創業130年の業界最古にして、最後のランドセル工房と呼ばれています。
手縫い、手づくり、天然素材のため、制作できる数に限りがあります。
そのため黒川鞄工房のランドセルは完全受注生産となっています。
そのため特に希少な材料を使用する最上位モデルをはじめとして、毎年、販売開始直後に受付終了となるモデルがあります。
ちなみに、ランドセルメーカーは主に「大手メーカー(量産系)ランドセル」と「工房系ランドセル」の2つに分けられます。
大手メーカーは工場で大量生産されるため、価格が比較的安く、種類も豊富です。
それに対して工房系と呼ばれるメーカーは、本革を得意とし、職人が手づくりで仕上げるため、質が良いという特徴があります。
今回の黒川鞄工房は、その名の通り工房系のランドセルを製作しています。
黒川鞄工房のランドセル展示会でランドセルをいろいろ試してみた
2026年入学向けのランドセル展示会が特設会場で行われるということで、子供2人と参加してみました。
予約制ですが参加は無料で、気軽にウェブ予約して参加できました。
ランドセル展示会場は子連れの家族や祖父母も含む家族で賑わっていました。
ランドセルはシリーズ(素材)ごとに並べられていました。

シボ牛革というのは素材の名前で、色に深みがあり、傷が目立ちにくいのが特長です。
牛革の他にも馬革で高級素材のコードバンや、人工皮革のクラリーノなどのシリーズがありました。
並べられているランドセルは自由に背負ってみることができたので、子供たちはいくつも手にとっては体感を楽しんでいました。

写真の左側が6歳、右側が4歳の子供です。
ランドセル単体の重さは1.2kg~1.5kgで、空のランドセルなら4歳児でも簡単に背負えます。
問題は実際に使用する時にどのくらいの重さなのか。
そういった観点でも体感できるようになっていました。

会場には教科書の束とファイル、そして筆箱が用意されており、ランドセルに入れて背負うことができました。
ランドセルと教科書類の合計重量は5㎏を超えている感じでした。
背負った感想を子供たちに訊いてみると、「ぜんぜん重くない!」とのことでした。
実際には長い時間歩き回ったわけではないので判断が難しいところですが、確かに背負っている様子は体にフィットしていました。

肩ベルトが立ち上がった状態で固定されているため、ランドセルの背当て部分が常に背中に密着します。
そのため手で持つよりも軽く感じられ、自然と姿勢良く背負うことができるようになっているようです。
黒川鞄工房が得意とする本革は人工皮革に比べて素材として重いため、体感を軽くする工夫が施されています。

また肩ベルトの付け根部分に「背カン」と呼ばれる金具が取り付けられており、この金具がスライドしてフィット感を補正してくれるようになっています。
小学校6年間の体格変化や個人の体格差、そして夏冬の衣類の厚みなども自然に補正される設計になっているようです。

他にもタブレット端末や水筒なども入れられる収納力やポケット内のキーチェーンにGPSを繋いで紛失防止するなど、今どきの通学事情を考慮した設計がなされていました。
手縫いにこだわるなど老舗の特徴がクローズアップされがちですが、絶え間なく機能改善に取り組んでいる部分が今回とても印象的でした。
ひとつひとつのランドセルが丹精込めて作り上げられていると感じた、職人の言葉
今回はランドセルの体験や販売予約を行う展示会でしたが、作務衣(和風の作業着)の人がいて、話してみたところ職人さんでした。
話をしてくれたのは5年目の職人見習いと、もう少し上の年代の方でした。
それによると実際に売り場に並ぶランドセルを作るのは70代の大ベテランで、50~60代でも若手とされることがある世界、とのことでした。
経験年数が長ければ必ずしも良い品物が作れるとは限りませんが、それでも半世紀もの長い期間に渡って鍛錬を積んできた職人が作るランドセルが並んでいると知って、ランドセルに対する印象が個人的に大きく変わる機会になりました。
ランドセルはカタログで決めるものにあらず。成長期に6年間も使うものは、是非とも手に取って確かめたい