「かんしゃく=わがまま」ではない!叱らなくて大丈夫、理学療法士が教える運動で育つ「落ち着く力」

「かんしゃく=わがまま」ではない!叱らなくて大丈夫、理学療法士が教える運動で育つ「落ち着く力」

こんにちは!オンライン運動教室「へやすぽアシスト」で、これまで1000人以上のお子さんの運動や発達をマンツーマンでサポートしてきた理学療法士のまさやコーチです。理学療法士として身体の動きや発達段階を分析し、子ども一人ひとりに合った「上達のメソッド」をつくることを得意としています。
今回の記事では、多くの親御さんが悩んでいる「子どものかんしゃく」について、実は見落とされやすい「感覚の未熟さ」という視点から、かんしゃくが起きる背景と、落ち着ける力を育てるための関わり方・運動遊びをお伝えします。

「もう泣かないで」と言っても響かない理由「かんしゃく=わがままではない」

「またかんしゃく…」「どう声をかけても止まらない」「私の育て方が悪いのかな…」そう悩む親御さんは少なくありません。でも理学療法士の立場からお伝えすると、かんしゃくは性格やしつけだけの問題ではなく、脳が情報を処理するための「土台」がまだ育ちきっていないサインであることが多いです。

かんしゃくというと「気持ちの問題」「言えば分かるはず」と思われがちです。ですが、かんしゃくが強く出るお子さんの中には、そもそも本人が

  • 何が嫌なのか
  • 何が苦しいのか
  • 今どんな気持ちなのか

をうまく言葉にできない状態になっているケースが少なくありません。大人から見ると「怒っている」ように見えても、本人の中では「情報が多すぎてパニック」「体が落ち着かなくてどうにもできない」という状態になっていることがあるのです。

かんしゃくのとき、子どもの中で起きていること

私たちは毎日、周りの環境からたくさんの情報を受け取っています。光、音、服の感触、触れられる刺激、揺れ、体の位置感覚…。脳はそれらを処理して、「行動」を決めています。ところが、感覚の処理がまだ未熟だと、脳の中でこんなことが起きやすくなります。

  • 入ってくる情報が多すぎて、処理が追いつかない
  • 情報が早すぎて、整理できない
  • 体の不快感が積み重なって、限界を超える

すると最終的に、泣く・怒る・暴れるといった形でかんしゃくを起こしてしまうことがあります。

かんしゃくのときの子どもの頭の中

つまりかんしゃくは、努力不足というよりも「うまく情報を処理しきれなかった結果」として起きていることがある、というのが大切な見立てになります。

かんしゃくの原因は「感覚の土台」にある

感覚は5つの領域で考えると整理しやすいです。

  • 視覚(光・人混み)
  • 聴覚(大きな音・雑音)
  • 触覚(服のタグ・触られる)
  • 前庭感覚(揺れ・回転・バランス)
  • 固有覚(力加減・体の位置・道具操作)

例えば、「服のタグで機嫌が崩れる」「音が多い場所で爆発する」「乗り物酔いしやすい」「力加減が難しい」といった様子は、感覚の土台が揺らぎやすいサインかもしれません。

発達のピラミッドでは、下の土台(感覚・身体機能)が安定して、はじめて上の学習や情緒のコントロールが発揮できると考えます。

「発達の土台」の整え方については、前回の記事で詳しく紹介しています。

発達のピラミッド

かんしゃくや切り替えの苦手さは、どうしても「気持ち」「性格」「しつけ」で見られがちですが、実際はピラミッドの下層にあたる

  • 揺れに対する耐性(前庭感覚)
  • 力加減や体の位置感覚(固有覚)
  • 肌感覚の処理(触覚)
  • 音や光の刺激への処理(聴覚・視覚)

といった「感覚の土台」が不安定なことで、上の情緒コントロールが崩れているケースが多いのです。だからこそ「落ち着きなさい」「我慢しなさい」の声かけだけでは、うまくいかないことがあるのです。落ち着ける子に育てるために、今日からできる工夫を紹介します。

「感覚の土台」を育てる3つの運動遊び

かんしゃくの対応を「我慢の練習」にすると、親子ともに疲れてしまいます。おすすめは、運動遊びの中で感覚の土台を育ててしまうことです。楽しみながら続けることで、自然と「落ち着く力」が育っていきます。

1つ目は、「タオルブランコ」

タオルを使用したり、脇抱っこで前後左右にゆっくり揺れることで前庭覚刺激を与えます。
最初はゆっくり実施し、徐々にスピードアップするのがおすすめです。

「タオルのブランコ」の紹介はこちら

2つ目は、「ぬけだせ!」

普段の生活だけではイメージしにくい体の後ろ側のイメージを鍛えるのにおすすめです。
慣れてきたら徐々に大人がかける体重を増やしながらチャレンジしてみてください。

「ぬけだせ!」の紹介はこちら

3つ目は、「おなかでボールはさみ運び」

力加減をコントロールする感覚をつかめると同時に相手に合わせて体を動かすという協調性を鍛えることができます。
運ぶことになれてきたら徐々回転などの他の動きにもチャレンジしてみましょう。

「おなかでボールはさみ運び」の紹介はこちら

ポイントは「上手にやる」よりも、短時間でも「毎日少しずつチャレンジする」ことです。

運動とあわせてできる、環境の見直しポイント

かんしゃくは、情報が多すぎる状態で起きやすいため、まずは入力(刺激)を減らす工夫も取り入れてみましょう。

  • 音刺激が苦手:テレビを消す/静かな場所で準備する
  • 光刺激が苦手:照明を少し落とす/眩しい場所を避ける
  • 触覚刺激が苦手:洋服のタグを切る/素材を変える
  • 指示で崩れる:言葉だけでなく「見せる」「一緒にやる」を増やす

特に「言葉だけの指示」で崩れやすい子には、絵・メモ・手順などの視覚情報を足すだけでも、落ち着きやすくなることもあります。

親御さんへ伝えたいこと

かんしゃくは、やる気や性格の問題だけで起きているわけではありません。
むしろ、感覚の土台が育っている途中に出てくる、発達の過程でよく見られる姿でもあります。

大切なのは、

  • 刺激を減らす環境調整
  • 遊びの中で感覚の土台を育てる
  • かんしゃく中は無理せず、落ち着いてから振り返る

この積み重ねが、将来的に「自分で落ち着ける」「切り替えられる」力につながっていきます。まずは「この子は何の刺激で崩れやすいんだろう?」と観察しながら、家庭でできる小さな工夫から始めてみてください。
親御さんが責めるのではなく、整えて育てる視点に変えられたとき、親子の毎日は少しずつ楽になり、家庭での家族の笑顔が増えていくかと思います。

ライター

「へやすぽアシスト」代表コーチ/理学療法士まさやコーチの画像

「へやすぽアシスト」代表コーチ/理学療法士 まさやコーチ

これまで1000人以上の子どもを対象に、延べ3000回以上の運動・発達支援を実施。特に、発達が気になる子どもや運動が苦手な子どもへのサポートに力を入れ、「できた!」という成功体験を積み重ねる指導を大切にしている。
東京パラリンピックではドイツ・ベラルーシ代表選手のトレーナーを務めるなど国際的な経験も持つ一方、現在はオンライン運動・発達支援サービス「へやすぽアシスト」の代表コーチとして、レッスンを通じて、全国の親子に「遊びながら育つ運動の楽しさ」を届けている。 株式会社フレーベル館の月刊保育絵本『キンダーブック2』(3・4歳児向け)で運動あそびコーナーを監修。さらに2025年4月号からは、明治図書出版『特別支援教育の実践情報』にて、「学びの土台を育む運動あそび」の1年間の連載を担当。

&あんふぁんのおすすめ記事がLINEに届く! LINEアカウントを友だち追加!

子どもの健康・発達:新着記事

電子書籍

幼稚園児とママ・パパの情報誌

親子の保育園生活を応援する情報誌