1・2・3歳のためのおうちの中での事故防止術
好奇心旺盛で活発に動き回る幼児期は、家の中でも事故が起きる危険性が高まります。わが子を事故から守るためにおうちの人ができることを、小児救急の現場で多くの子どもたちを診ている植松先生にお聞きしました。
※この記事は小学館「ベビーブック 2024年8月号」の内容を掲載しています

国立成育医療研究センター副院長、救急診療科統括部長。北里大学医学部卒業。小児科専門医・指導医、救急科専門医、麻酔科標榜医、DMAT 隊員、災害時小児周産期リエゾンなどの資格を持つ。
事故が多い理由は「体型」 「運動機能」「認知機能」にあり
幼児が事故にあいやすい原因は主に3つあります。子どもは頭が大きく身体と頭のバランスが悪いため、転びやすいという身体的特徴が1つ目。2つ目は、運動機能が未発達なこと。危険な場面でも俊敏に対処できず、事故につながってしまいがちです。
そして3つ目は、認知機能も発達段階にあること。危険を察知する能力が未熟であり、危険かどうか認知できないことがあります。そのため、子どもは本人も知らないうちに危ないところに行ったり危険な行動をとったりしてしまうのです。
事故防止の3段階を意識して、 安全な環境を整えよう
このような理由から、幼児は常に危険にさらされていると考えていたほうがいいでしょう。事故防止のためには、おうちの人が目を離さず見守るか、環境そのものを安全にすることが必要になります。
とはいえ、四六時中ずっと見守ることは難しいですよね。家の中にあるすべての危険を排除するというのも現実的ではありません。そこで、安全の度合いによって3段階に分けて考えてみると、無理のない事故防止術が見えてくるでしょう。
事故防止の3段階
おうちの人がある程度自由に動ける「第3段階」のスペースを家の中に確保しておくと家事や作業がはかどります。「第1段階」では片時も目を離さないことを心がけて!
【第1段階】安全性 ×

一瞬でも目を離すと事故にあう可能性がある場所
・ビニールプール
・ お風呂
・ ベランダ など
【第2段階】安全性 ○

完全に安全ではないが、事故が起きないよう対策がされている環境
・ゲートやガードが設置されている など
【第3段階】安全性 ◎

多少目を離しても安全が守られている環境
・手が届く範囲に危険なものが何も置かれていない など
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