親子の上下関係、子どもはどう思ってる?子どもの心理と上手な接し方

親子の上下関係、子どもはどう思ってる?子どもの心理と上手な接し方

「親子の関係」について、親はつい「親が上で、子どもが下」と考えがちです。しかしそのことが、子どもとの関係をこじらせたり、意思疎通を阻害する原因になることがあります。
今回は心理カウンセラーの立場から、子どもが「親子の上下関係」をどうとらえているかを解説します。また子どもの心理を踏まえたうえで、子どもへ接し方もチェックしてみましょう。

子どもにとって親の立ち位置とは? 子どもの心理を解説

子どもは親のことを、自分より立場が上の人として認識しているのでしょうか? 子どもから見た親の立ち位置は、親から見た立ち位置とは違うかもしれません。

親と自分とは「対等」である

意外かもしれませんが、子どもにとって親は、いわゆる「目上の人」ではないのです。だからといって、通常であれば「自分より下」と見ることもありません。

子どもにとって、本来自分と親とはあくまで対等な関係です。どちらが上でもなく、下でもありません。これは子どもが成長し一人の大人になっていく過程で、自分を一人の人間として信じ、自我を確立していくために必要な感覚です。

親が一人の人間であるのと同じく、子ども自身も一人の人間ですから、子どもが「自分と親は対等」と考えるのはごく自然な認識といえます。

一人の人間として尊重してほしい

子どもが親と自分とを対等な関係ととらえる根底には、自分を一人の人間として尊重してほしい、という心理があります。これには何か特別な理由があるというよりも、自我を保ち、確立するための、本能的な欲求であると言って良いものです。

最も身近な存在である親が、子どものことを尊重していれば、子どもは子ども自身を尊重できるようになるでしょう。そしてまた、親のことも尊重できるようになります。

親と子どもの感覚がズレる原因は?

子どもの認識とは違い、親は「自分と子どもなら、自分のほうが立場が上だ」と思ってしまいがちです。このズレがどこから生じているのかを確認しておきましょう。

「親は自分より上」は成長したからこそわかる感覚

もしも、親自身が「自分(たち)よりも、両親(祖父母)のほうが立場が上」と考えていたとします。すると、自然と「子どもより、親である自分(たち)のほうが立場が上」という感覚になります。

しかしこうした上下関係は、自分の親が先祖を敬う姿を見たり、自分が成長するにしたがい「世話をしてもらった」「お金を出してもらった」といったようなことで、恩義を感じたりすることで生まれる感覚です。

とりわけ自分が子育てをするようになってから、親への感謝をあらためて感じた、というケースは多いのではないでしょうか。

自分の親から「親のほうが立場が上」と教えられてきた

なかには自分自身の親から「あなたより親のほうが立場が上だ」と教えられたパパやママもいるかもしれません。パパやママが子どもだった頃は、家父長制度の伝統が残る家庭もまだまだ多く、「男親が上」を当然の感覚として教えられてきた人も少なくないはずです。

自分がそのように教えられてきたため、子どもにも同じような関係性を求めてしまうことはよくあります。ただ、親子の間に上下関係を求めることは、子どもからの反発を招くことも多く、慎重に判断したいものです。

上下関係は感じさせないほうが良い? 子どもへの対応方法

現実をみれば、親がお金を出し、住まいを用意して子育てをしているのも事実です。それでも子育てをするにあたって、子どもに上下関係を感じさせないほうがよいのでしょうか? 子どもへの対応方法をまとめました。

子どもと尊重し合える関係を築く

対等な関係ということは、尊重し合える関係ということでもあります。どちらか片方の意見ばかりが通ることのないよう、お互いが意見を出し合い、相手の意見を尊重する関係を築くとよいでしょう。

「親のほうが上」という考えのもと、親の意見ばかりが通る関係を築いてしまうと、幼いうちは親の言うことを聞く子どももいますが、成長するにしたがって反発心が大きくなるのが特徴です。子どもとの関係は徐々に悪化する可能性もあります。

また思春期には、親を「人を尊重することのできない人間だ」と見るようになり、親の意図とは反して、親を尊重しなくなる子どもも多いのです。

子どもの話をよく聞く

子どもと尊重し合う関係を築くには、まず何よりも、子どもの話を聞くことです。どんなことについても、子どもが何を考えているのかを、まずは聞かなくては始まりません。

子どもが自分から意見を言ってきたときには、できるだけ最後まで口をはさまず、相槌をうちながら話し終わるまで聞くようにしましょう。親と意見が食い違ったとき、どちらの意見を採用するかは一緒に考えます。

よくあるのが、せっかく子どもが意見を述べても「それは○○で××だからダメ」と毎回親が「論破」してしまい、常に親の意見が採用されるという状況です。これでは結局、親が上の関係になってしまうため、子どもと親がバランスよく納得できているかどうかに注目しなければなりません。

上下関係を強制しないほうが、かえって親を尊重するようになる

「親が上で、子どもは下」を強制された場合、多くの子どもがその関係性に納得がいかず、反発しようとします。これに対して、親子で対等な関係を築いた結果、成長した子どもが自主的に親を尊重することが多いようです。

これは先ほども触れたとおり、成長するにしたがって、「大人(親)の大変さ」のようなものが理解できるようになるためと考えられます。対等だった親との関係を成長してから見直したときに、子どもは親との上下関係を考え、再認識していくことができるのでしょう。

親子関係は長い目で見ることが大切です。幼い頃から対等な関係を築くことで、将来にわたって子どもと良好な関係を維持しやすくなると思いますよ。

ライター

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心理カウンセラー、占い師 あん茉莉安

ふたりの女子の母。専門はスピリチュアルと発達心理学。得意分野は幼児教育、習い事、小学校お受験、中学受験など。趣味は歌とバイオリン。教員免許、図書館司書、学校図書館司書の資格をもっています。占いやパワーストーンを通してさまざまな癒しを皆さまへお届けしています。

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