友達トラブルで落ち込む子どもをさらに傷つける親の言動3つ
小学校に入ると、学校の中だけではなく、放課後の約束をしてきたり、子どもの交友関係はグンと広がります。そんな中で急増するのが、友達関係のトラブルです。
今回は私の娘が小学校2年生の頃、実際に体験した友達トラブルとその解決方法を通して、心理カウンセラーの立場から落ち込んだ子どもの心のケアについて、注意すべき点とNGワードを紹介します。
友達に約束を破られた!?「一緒に遊ぼうねって言ったのに」
今は5年生のわが家の長女が、2年生だった頃です。ある日彼女が「友達に約束を破られた!」といって、プンプン怒って帰って来ました。何があったのかを詳しく聞いてみると、「朝、友達と『休み時間、一緒に遊ぼうね』と約束したのに、休み時間になったらその子は別の友達と遊びに行ってしまった」とのこと。
それも「今回だけではなく、この前も同じことがあった」と言って怒っているのでした。
怒っているようでも傷ついている
約束を破られた!といって怒っている娘。しかし、テンションが高いように見えて、内心ではとても傷ついているのです。実際、話を聞いているうちに娘は泣き出してしまいました。
このように、見た目の様子と心の状態に大きな隔たりがあることは少なくありません。
大人でも、ショックな出来事があった時に、なんでもない顔をしたり、逆に明るく振る舞ったりすることがあると思います。子どもも同じで、ショックを受けている自分を親に見られたくない!という気持ちが働くため、わざと強がったり、相手への悪口を言うことでストレスを発散しているように見せつつ、傷ついている気持ちを隠そうとすることが多いものです。
気持ちを受け止めつつ、プラスの感情を上書きする
その日は長女を連れて、滅多に行かないアイスクリーム屋さんに出かけました。娘はアイスを食べながら、学校であったイヤなことを次々と話しました。私は頭を撫でながら「よく頑張って学校に行っているね」と褒めました。
娘は、その後「なんかムカついたけど、アイス食べられて得しちゃった!」と笑顔になりました。
人間の感情というのは、ショックな出来事の直後によいことやうれしいことがあると、プラスの方に上書きされやすい性質があります。大人が上手にその機会を与えてあげられるといいですね。
ちなみに、その日は面白い漫画も買ってあげました。私が子どもの頃からあるギャグ漫画です。5年生になった今でも、落ち込むようなことがあっても漫画のシーンを思い出すと笑えてきて、気分が浮上し、落ち込んでいる場合じゃないなと立ち直るのに役立っていると話していました。
子どもが友達トラブルにあった時のNG対応は…
子どもが友達トラブルにあった時、親がとってはいけない態度、言ってはいけない言葉があります。
これらの言動は子どもから一生涯信頼される親であるか、心を閉ざされる親であるかを決定づける分かれ道にもなるものです。普段の親子関係にもかかわってきますので注意が必要です。
「あなたにも原因があったんじゃないの?」
子どもが友達とトラブルを起こした時、親がもっともやりがちなのが、自分の子どもに原因があったのではないかと疑う行為です。
「あなたにも原因があったんじゃないの?」と疑うだけにとどまらず、「どうせあなたが、何かお友達のイヤがるようなことを言ったんでしょ」などと決めつけてしまう親もいます。
親が的外れな指摘をすることで、子どもは「自分の言うことは信用されていないんだ…」という二重のショックを受けることになるのです。
「あなたがハッキリしないから…」
これもまた、わが子の側に責任を求める発言ですね。わが子が引っ込み思案であるとか、おとなしく発言が少ないなどという理由で、親が普段から「うちの子、情けないなぁ」などという思いを抱いていると、つい子どもに対して「友達にも、いいように扱われているんじゃないの?」と思ってしまいがち。
もしそうだとしても、友達に約束を破られたというトラブルの場合、子どもは何も悪いことをしていませんよね。それなのに「あなたの性格のせいで、約束を破られたんじゃないの」などと言われてしまっては、子どもの立つ瀬がありません。
親に人格を否定された子どもは、自己肯定感が低くなり、どんな困難に対しても、「こうなったのは自分が悪いからだ」という意識を持つようになるでしょう。
「それくらいのことで…気にしなければいいじゃない!」
実際、10分か15分の休み時間に遊ぶ約束を破られるというのは、大人から見れば大したことではありません。
ほかのことをして過ごせばのよいのだし、遊び相手なら他の友達もいるでしょう。だから、親はつい言いがちなのです。「そんなくだらないことで泣いたりするんじゃないの!」「気にしないで別の子と遊んだらいいでしょ?」と。
実は約束を破られたこともショックですが、子どもはその気持ちを身近な人が共有してくれないことで、もっとショックを受けています。
友達関係に限らず子どもは親にいろいろなことを話しますが、親に「ショックだった」という気持ちを分かってもらいたいのです。それさえ分かってもらえれば重荷が半分になり、元気も出ます。
子どもが落ち込んでいる時、「そんなのはたいしたことじゃない」と言って元気づけるのは逆効果になりかねないことは覚えておくとよいでしょう。
一過性の解決よりも強い心を育むこと
友達トラブルは残念ながら、学年が上がったからといってなくなるものではありません。
学校にはいろいろなタイプの子がいます。だから「そんなこと気にしていたら、何もできないよ!」「いちいち気にするあなたが悪い」「そんなことで落ち込むなんてくだらない」と、親の言い分だけでバッサリ切ってしまいがちです。
ただ、親がそんなふうに行き当たりばったりの解決策だけを表していると、子どもの心は、「苦しんでいる自分が悪いんだ」「自分がガマンをすればいいんだ」と圧迫されていきます。そして結果的に、「親は私のことをわかってくれない」と少しずつ心を閉ざすようにもなるでしょう。
大切なのは、友達トラブルで受けた心の衝撃を共に受け止めること。そしてイヤなことがあっても頑張って学校へ通っていることを褒めてあげましょう。
気持ちを分かってくれる人がいることが子どもの心を強くします。次第に、何らかの友達トラブルが起きたときも、相手に怒ってイライラするだけではなく、諦めるものは諦めて気の合う人を友達に選ぶような賢さももてるようになります。
もしわが子にトラブルの原因がある場合でも、最初から「それはあなたが悪いから」と指摘しては反発心を煽るだけ。
子どもの気持ちに共感を示した上で、マイナスな部分を指摘するようにすると、素直に受け入れやすいものです。
まずは第一に「わが子はこう感じたのだ」ということを受け止めてください。子どもは受け止めてもらえたことで親との信頼関係を築き、自信や勇気を得て、強い心が育まれていきます。