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【就学相談】心理検査ってなに?発達検査と知能検査について
小学校入学を控えた子どもの発達について心配や不安があるときに考えたい「就学相談」。
今回は、「就学相談でよくある心理検査」についてお伝えします。
「心理検査ってなんのために行うの?」
「心理検査をすると子どものどんなことがわかるの?」
いざ検査を受けることになると、いろいろな疑問がわいてきますよね。そこで今日は以下のことをお伝えします。
・心理検査ってなに?
・有名な心理検査の解説
・心理検査の上手な活用方法
理検査には発達検査と知能検査がある
就学相談をするなかで「検査を受けてみましょうか」という話になることがあると思います。
就学支援(指導)委員会にかけるには、知能検査と発達検査の結果が必要な自治体が多いです。
今回は就学相談でよく使われる以下の4つの検査について、わかりやすく解説します。
・絵画語い発達検査
・新版k式発達検査
・WISC-IV
・田中ビネー知能検査V
発達検査
発達検査は知能検査とちがい、乳児を対象にすることもできます。
発達検査の方法は、3種類あります。
直接子どもに課題を与えて結果を見るもの(検査課題)
日ごろ子どもの療育にかかわる人が、日常生活の中で子どもの様子を観察して回答するもの(質問紙法)
上記両方の方法を使うもの
直接子どもに課題をさせて測定しづらいときは質問紙法で進めます。反対に、検査者とのやりとりで検査が行えそうなときは検査課題を行います。
絵画語い発達検査
検査できる年齢 | 3歳0か月~12歳3か月 |
検査する内容 | 絵と語いのマッチング |
わかること | 語いの理解力 |
かかる時間 | 15分程度 |
4コマの絵の中から、検査者の言う単語にもっともふさわしい絵を選択する方法で語いの理解力をはかります。
短時間でできること、検査の方法が指差し(ポインティング)のみで分かりやすくできることから、保育園や幼稚園などでもよく使われています。
新版K式発達検査
検査できる年齢 | 生後100日頃から満14歳頃まで |
検査する内容 | 「姿勢・運動」「認知・適応」「言語・社会」 |
わかること | 発達年齢、発達指数 |
かかる時間 | 30分程度 |
新版K式発達検査では、検査者と子どもは机の角の隣り合った部分に座ります。
集中力が落ちてきた場合などは適宜、動作性の検査を行って気分転換をすることもできます。
幼児向けの検査用具には、積み木やミニカーなどおもちゃが使われており、子どもの自然な姿が観察しやすい検査です。
知能検査
IQ(知能指数)という言葉は、みなさんもなじみがあると思います。
知能検査をすることで検査項目ごとのIQが出ます。(個人内差)
検査の目的は、その数値をもとに子どものよりよい支援につなげることです。
検査方法は、検査者が子どもに対して口頭で指示や問題を出します。計算や迷路、日常の知識などを問われます。
WISC-IV(ウィスク)
検査できる年齢 | 5歳~16歳11か月 |
検査する内容 | 「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」 |
わかること | 全検査IQ、検査内容それぞれの指標 |
かかる時間 | 60分程度 |
WISCは一番耳にするであろう有名な検査です。
児童用はWISC、幼児用はWPPSI、成人用はWAISと種類があります。
WISCでは4つの項目について、指標が出ます。
さらに各項目の数値を比較して、差を見ることで、その子どもの生きづらさを図る材料になるのです。
田中ビネー知能検査V
検査できる年齢 | 2歳から成人 |
検査する内容 | 「思考」「言語」「記憶」「数量」「知覚」 |
わかること | 比例知能指数(精神延齢と生活年齢の比) |
かかる時間 | 60~90分程度 |
田中ビネー知能検査は日本で生まれた検査です。
改定をくりかえしているので、現代の日本の子どもに適している検査と言えます。
田中ビネー知能検査には、特別な配慮の必要性を判断するための「就学児版田中ビネー知能検査V(ファイブ)」という検査もあります。
心理検査(発達検査と知能検査)についてまとめ
検査は診断をするためのものと思われがちです。
しかし検査の本当の目的は子どものデータを客観的にとり、共有しながらよりよい支援に活かすことです。
「ワーキングメモリーが低かったら、入学までに伸ばさないと!」と焦るのではなく、子どもの苦手分野を得意分野でカバーするような支援を考える手がかりにしたいですね。
就学相談シリーズ第5回では、「就学相談と親の悩みQ&A」をお伝えします。
参考記事:「アセスメントについて」国立特別支援教育総合研究所
参考文献:「発達障害指導辞典」小出進(2000)