おでかけ先でのスマホ利用、OK?NG?親子で考えるルール作りのヒント

情報を正しく読み取り、活用する力「メディアリテラシー」。さまざまなデジタルメディアが身近にある今、大人だけでなく、子どものうちから少しずつ育てていきたい力です。
このコラムでは日本メディアリテラシー協会代表理事の寺島絵里花さんが、「メディア」との上手な付き合い方について教えてくれます。今回のテーマは「おでかけ先でのデジタル利用」についてです。
おでかけ先でずっとスマホを見ていた…なんてことありませんか?
帰省、家族旅行、日帰りのおでかけ…。夏〜秋にかけては家の外で過ごす時間が増える季節です。そんなとき、子どものスマホやタブレット利用について、どうルールを決めたらいいか悩むことはありませんか?「静かにしていてほしいから」と安易に渡した結果、旅先でもずっと画面を見ていた…という経験があるご家庭も多いかもしれません。
スマホを持たせること自体は悪くありません。移動中の時間つぶしや、思い出を写真や動画で残すといった使い方はとても便利です。一方で、観光地やレストランでの使用、祖父母との時間に夢中でスマホを見ているとなると、周囲への配慮や人間関係に影響することもあります。
利用方法は出発前に家族で話し合って決めるのがおすすめ
そこでおすすめしたいのが、「いつ・どこで・どう使うか」を、出発前に家族で話し合って決めておくことです。たとえば、
● 電車や車での移動中はOK
● 食事中や会話中はNG
● 写真や動画を撮るのはOK、でもSNSへの投稿は親と相談してから
など、場面ごとに「使っていいとき/控えるとき」を明確にしておくと、子ども自身も判断しやすくなります。
ルールは子どもと一緒に作ることがポイント
ルールを決めるときは、「守らせる」のではなく「一緒に作る」ことがポイントです。親が一方的に「ダメ」と言うと反発を招きますが、「こういうときはどう思う?」「ここでは使わないほうが気持ちよく過ごせるかもね」といった対話を通じて、自分で考える力も育てることができます。
また、小学校高学年くらいの子なら、スマホを使う際に「バッテリーは自分で管理する」「モバイルWi-Fiのデータ容量(残量)を気にする」など、ちょっとした責任を持たせるのも、旅行ならではの経験です。
スマホを使わない時間も大切に

とはいえ、せっかくのおでかけですから、「スマホを使わない時間」も大切にしたいもの。家族で「スマホなしタイム」を決めておいたり、紙のしおりや旅の記録ノートを作ったりするのもおすすめです。旅行の記憶が「画面の中」ではなく「家族との体験」として残るように、ほんの少し意識してみましょう。
おでかけ先でのスマホ利用は、子どもが社会のマナーを学ぶよい機会にもなります。何がOKで、何がNGなのか。その線引きを親子で考えることで、スマホを通じた“気づかい”や“思いやり”も育っていきます。
大人も子どももスマホを持つ時代だからこそ、「持っていること」が問題ではありません。どう使うかを話し合える家庭であることが、子どもにとって何よりの安心になるのです。
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ITデジタル
日本メディアリテラシー協会代表 寺島絵里花
一般社団法人日本メディアリテラシー協会 代表理事。高校時代に留学したカナダでメディアリテラシー教育に出合い、興味を持つ。上智大学文学部新聞学科卒業、ペンシルバニア大学留学。結婚、出産を経て、一般社団法人日本メディアリテラシー協会を立ち上げる。主な業務は、メディアリテラシー教育の普及を目的とする、保護者、教員、行政、民間企業などが対象のワークショップや研修、講演、出前授業など。
当協会立ち上げ後に東京学芸大学大学院教育支援協働実践開発専攻AI教育プログラム卒業。上海師範大学、北京師範大学での関連プログラム修了。2024年現在、JASSO 日本政府中国政府奨学金生(博士課程後期)として、華東師範大学大学院国際比較教育研究所所属。
メディアリテラシーに関する幅広い知見に加え、3児の子育てや日々の生活を発信するメールマガジンやブログが好評を博している。