その「大丈夫」、どっちの意味?デジタルでのトラブルを防ぐために必要な「想像力」

情報を正しく読み取り、活用する力「メディアリテラシー」。さまざまなデジタルメディアが身近にある今、大人だけでなく、子どものうちから少しずつ育てていきたい力です。
このコラムでは日本メディアリテラシー協会代表理事の寺島絵里花さんが、「メディア」との上手な付き合い方について教えてくれます。今回のテーマは「デジタル上のコミュニケーション」についてです。
LINEやDMに潜む「言葉のリスク」
進級・進学を控えた2月は、新しい友だちが増えたり、クラスのグループLINEが活発になったりと、子どもたちの交流が大きく動く時期です。
LINEだけでなく、SNSのDM(ダイレクトメッセージ)やオンラインゲーム内のチャットなど、子どもが文字だけでやり取りする場面は激増しています。またDMの機能で「消えるメッセージ」なども登場しており、履歴が残りにくくなっています。
ここで改めて教えたいのが、デジタルの文字コミュニケーションには「表情や声のトーンがない」という決定的なリスクです。
その「大丈夫」はどの意味?
例えば、友だちから「今日、うちでお菓子食べる?」と誘われたときに、子どもが「大丈夫」と返信したとします。この「大丈夫」には、いくつもの意味が含まれています。
「ありがとう、食べられるよ(OK)」
「ううん、今日はいらない(No thank you)」
「アレルギーとかないから平気だよ(Safe)」
もし誘った側が「いらない」という意味だと受け取り、誘われた側が「行く」つもりでいたら、当日のトラブルは避けられません。また、相手を心配する「大丈夫?(Are you okay?)」という意味で送ったつもりが、突き放すような「大丈夫(構わないで)」と受け取られてしまうこともあります。
トラブルを防ぐには?送信ボタンを押す前の「一時停止」
文字には表情がありません。自分の意図を正しく伝えるためには、言葉を補う工夫が必要です。
絵文字や句読点の活用:「大丈夫だよ!」と「大丈夫。」では、受け取る印象がまったく違います。
「?」や言葉の付け足し:「大丈夫(いらないよ、ありがとう)」と、カッコ内の言葉を省略しない練習をしましょう。
8月の記事で触れた「周囲への配慮や思いやり」は、画面の中でも同じです。送信ボタンを押す前に「相手がこの文字を読んだらどう思うかな?」と一歩立ち止まる想像力を育むことが、18歳までの「デジタル練習期間」の大きなテーマです。
AIには代行できない「心のやり取り」
最近ではAIが丁寧な文章を代わりに作ってくれますが、その場の「空気」を読み、相手の心の微細な変化に寄り添うのは人間にしかできない力です。デジタルのマナーを単なる「操作技術」ではなく、相手を大切にする「心」として捉え直す機会にしましょう。
親子の会話の中でも、「今の『大丈夫』はどの意味?」とクイズのように楽しみながら、言葉の裏側を読み解く力を育てていきたいですね。

まとめ
「文字だけ」の限界を知る
表情や声がないDMやチャットでは、「大丈夫」の一言すら誤解の種になります。言葉の多義性を親子で意識してみましょう。
送信前の「一時停止」
そのメッセージを読んだ相手がどう感じるか。送信ボタンを押す前に一呼吸置いて読み返す「想像力」が、トラブルを防ぐ最大のポイントです。
心を通わせるのは人間の仕事
文章を整えるのはAIにもできますが、相手の心に寄り添い、行間を読むのは人間にしかできない大切な役割であることを伝え続けましょう。
ナビゲーター
担当カテゴリー
ITデジタル
日本メディアリテラシー協会代表 寺島絵里花
一般社団法人日本メディアリテラシー協会 代表理事。高校時代に留学したカナダでメディアリテラシー教育に出合い、興味を持つ。上智大学文学部新聞学科卒業、ペンシルバニア大学留学。結婚、出産を経て、一般社団法人日本メディアリテラシー協会を立ち上げる。主な業務は、メディアリテラシー教育の普及を目的とする、保護者、教員、行政、民間企業などが対象のワークショップや研修、講演、出前授業など。
当協会立ち上げ後に東京学芸大学大学院教育支援協働実践開発専攻AI教育プログラム卒業。上海師範大学、北京師範大学での関連プログラム修了。2024年現在、JASSO 日本政府中国政府奨学金生(博士課程後期)として、華東師範大学大学院国際比較教育研究所所属。
メディアリテラシーに関する幅広い知見に加え、3児の子育てや日々の生活を発信するメールマガジンやブログが好評を博している。



























