小学校で友達ができない…子どもにどう声をかける?保護者が抱く不安と、寄り添い方のアドバイス

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は未就学児のお子さんについてのお悩みです。
Question: ⼩学校で友達ができません。親としては、どのように⼦どもに声をかけたら良いでしょうか。
幼稚園・保育園時代は、園に保護者がいろいろと関わりを持って生活していたので、園での生活や友達との関わりについて、保護者の方もある程度把握できていましたよね。しかし小学校では、保護者が学校に頻繁に行くわけでもなく、何かしらの行事や授業参観程度の関わりになってしまいます。
つまり小学校の中でどのような生活を送っているのか、そして友達関係や誰と一緒に遊んでいるのかなども、なかなか分かりにくいものとなってしまいます。今回のご相談はそのような「見えない小学校生活」に関わることだと思います。
「友達」とは?
今回まず考えておかなくてはいけないのは、保護者の方の「友達」がどのようなものかということです。また「友達ができない」ということをどう捉えるかということでしょう。
小学校の友達の感覚は、本当にさまざまです。班のメンバーを友達と考えていることもあります。また単に一緒に遊んでいるだけ仲間を友達ということもありますし、高学年になると特定の数人の強い関係性のあるメンバーを友達としている場合もあります。保護者の方はどのようにして「友達がいない」という思いを持たれたのでしょうか?
もしかすると
・子どもの口からあまり他の子どもの名前が出てきていない
・子ども自身が「友達がいない」と言っている
・担任から「友達関係が希薄である」というように伝えられた
など、いろいろなことが考えられます。
そのことにより何か不安になるのでしょうか。おそらく多くの場合は、人と人との関わり経験の少なさや、コミュニケーション力の弱さについて心配になるのだと思います。
友達がいなくても、人との関わりはたくさんあります
しかし小学校で明確に「友達」という存在がなくても、子どもたちはさまざまな場面や機会に、多くの仲間との関わりを持っています。まずは授業内の「班活動」があります。小学校の授業の多くは仲間との共同作業や、お互いの思いや意見を出し合う話し合いが基本となります。これらはほとんどの授業内で活発に行われています。
そして様々な行事など、クラスや学年の活動があります。運動会や遠足、学芸会や図工の発表会などでは、班以上に大きな集団での取り組みや協力が必要となります。
また最近では兄弟数の減少などを意識して、異年齢の交流や関わりなども活発です。1年生と6年生のペアが一緒に掃除をしたり給食を食べたりして、年齢の壁を意識的に超えた関わりなどもあります。幼稚園・保育園児と小学生の関わりなども、近年は様々に取り組まれています。これらは多様な関係性を経験することにより、他者への理解や相手を思いやる気持ちを育てることを意識しています。

このように考えると、明確に「友達」という関わりは少ないかもしれませんが、小学校生活の多くの場面で他者との関わりや、仲間と共に活動することはとても多くあります。その様々な人との経験や、時には葛藤を通じて、子どもたちは大きく成長をしていくのです。
だから今は「友達ができない」という状態であっても、この後いろいろな活動の中で気の合う仲間や、仲の良い関係性ができていくのではないでしょうか。
子どもにどう声をかける?
どのように声をかけていけば良いかということですが、子どもがその状態をとても不快に思い寂しがっているのであれば、保護者の方が一緒に話をして、子どもの思いを大切にしてあげてほしいです。
また同時に担任の先生にそのような状況や気持ちを持っているということを伝えてほしいです。いろいろな子どもとの関わりの機会やチャンスを、考えてもらいましょう。
また反対に、子ども自身が特にそのことを気にしている様子でもないのであれば、少し待ってあげてほしいと思います。自分のペースや思いをしっかりと持って、生活を送っている強い子どもなのかもしれません。それはまたとても素晴らしい子どもの個性であると思いますよ。
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担当カテゴリー
学び・遊び・教育
大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。