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こんなとき浮き輪が付いてても溺れる!田村淳さん・横澤夏子さんと考える「海のそなえプロジェクト」

2025年5月22日(木)、TOKYO FMホールにて、うみらい環境財団主催「日本財団 海のそなえシンポジウム2025」が開催されました。(共催︓⽇本財団 ⽇本ライフセービング協会 ⽇本⽔難救済会、協⼒︓河川財団、水難学会)
このシンポジウムは「日本財団 海のそなえプロジェクト」の取り組みの一つであり、「溺れ」についての再定義やどのように溺れるのかのデータ結果、新フローティングアイテムの紹介などが行われました。登壇者は、昨年度に引き続き田村淳さん、そして新たに横澤夏子さんら。

1,000人のヒヤリハット事例そして、ありがちな溺れとは?
「日本財団 海のそなえプロジェクト」は、事故には至らなかったが危険だった場面を収集し、事故防止のポイントを見つける調査を実施。
危険だった状況の体験談を集めたり、 過去の重大事故のデータを整理したりし、新たな観点から見直ししたそう。また、収集したデータは、共感を呼ぶ形での情報発信をするにはどうしたらいいか模索した結果、正しい情報でも関心が持てなければ届かないと行きついたと話します。
そこで、 若い世代にはショート動画などの視覚的手法を活用したり、政治家や研究者ではなくインフルエンサーやタレントの活用をしたりして、影響力のある人物に発信してもらうなどの工夫が必要と認識、今後の発信の在り方を検討していくとのこと。

「これで、おぼれた。『おぼれ100』」を発表

今年新たに始めた、水難に対するヒヤリハットを伝える変化として印象深かったのは、水難事故の予防情報コンテンツとして、「これで、おぼれた。『おぼれ100』」を公式サイトならびにInstagramにて公開するという情報解禁でした。
「これで、おぼれた。『おぼれ100』」は、人々に水難事故対策の自分ごと化を促し、社会全体でおぼれ経験データの共創を目指すためのコンテンツの提案で、知っておくだけで未然に防ぐことができそうなものばかりです。
中でも、意外だったのが「浮き輪で、おぼれた。」というコンテンツ。
浮き輪での溺れとは?
浮き輪に頼りすぎて波や風で流されてしまうケースもあるそう。また、浮き輪のサイズが合わないと体から抜けたり、抜けなかったり(!)するので、子どもはすぐ大きくなっちゃうからなんて大き目のサイズの浮き輪を購入してお子さんに付けていたなんて言うママ・パパは要注意です。

「日本財団 海のそなえプロジェクト」は、「これで、おぼれた。『おぼれ100』」を通じて、以下の3つのことを達成できればと考えているとのことです。
① 溺れにいたる「入口」の可視化
→溺れる前の状況や行動を示し、溺れへの理解と共感を深める
② 「自分ごと」としての気づき促進
→「自分もやってたかも」という共感から、危険の予兆を認識・回避する発想につなげる
③ データの共創と共助の意識向上
→社会で溺れ体験の収集と共有する仕組みを作り、「そなえはみんなで作る」意識を広げるきっかけに
一方的な啓発ではなく、双方向のコミュニケーションを狙い、人々が自身の溺れ経験を発信・共有していくことで、「そなえはみんなで作る」という社会を目指すための第一歩となれば、と期待しています。
海や川、プールなど水場に遊びに行く機会が増える、夏前にぜひこの「おぼれ100」のInstagramをチェックし、自身や家族のためにこれらの知識をアップデートしておくと良いのではないでしょうか。
ライフジャケットなどのフローティングアイテムの進化と広がり
教育現場でのフローティングアイテムの活用では、香川県がライフジャケットを活用した水泳授業の推進をしていると、香川県教育委員会事務局保健体育課 指導主事 増田一仁氏は語ります。

また、ファッション性を重視したフローティングアイテムの開発も進んでいるそう。
muta(ムータ) JAPANの取組みは
おしゃれで着たくなるライフジャケットの製作をしているムータ ジャパン。若者にも受け入れられるデザインで、ストリート感覚と安全性の両立を目指しているとmuta JAPANクリエイティブディレクター内海将吾氏は話します。

タバタの取組みは
子ども向けのライフジャケットも手掛けているのはタバタ。
親子向けアイテムと子どもの安全性を確保するだけではなく、海に対する好奇心を育むアイテムの提供を目指しているとのこと。年齢や体力、好奇心に応じた多様なアイテム設計はサイズだけではなく、泳力でライフジャケットを選択できます。
そして、最大に魅力はピンチのときに助けを呼べる「ホイッスル付き」ライフジャケットもあるということ。

海での遊びは子どもにとって大切だが、安全への配慮も必要。アイテムの選択肢が広がることが、子どもたちの可能性を広げるとライフジャケットのメーカー、タバタのマリンレジャー営業本部 取締役本部⻑ ⼭⼝ 貴裕氏は語ります。
今回のシンポジウムに参加し、海や川によって囲まれている国として、自らが情報を積極的に求め、危険を理解することの重要性を知りました。
また、フローティングアイテムは単なる安全装置ではなく、子どもの好奇心を育てるためには、安全にプラス楽しさの両立が鍵であることが分かりました。