愛情が伝わっていない!?持っている「コップ」の違いに気付かされたとき

愛情が伝わっていない!?持っている「コップ」の違いに気付かされたとき

小学校の先生の経験者であり、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。今回はりな先生。子どもに注ぐ愛情についてです。

同じように育てていても、わが家の姉妹は似ているタイプとは言えない2人。その差が子育てする上で、「こんなに違う?」と面白かったり楽しかったりします。そして「私が考える愛情」を注いでいたつもりでも、姉妹によって「欲しい愛情表現の仕方」が違うということにも気が付きました。

姉「○○のこともっと好きとか可愛いって言ってほしい」

姉は、「私はめいっぱいに愛されているのか」がとても気になる、少し繊細なタイプ。妹が生まれてしばらくは、特に嫉妬や「もっと見てほしい」というサインもなく、お世話の手伝いをしてくれました。

しかし数年経ち、よく話せるようになり、周囲のことが見えてくると、モヤモヤすることが増えたようでした。「私が怒られる時、ママはもっときつく色々言う!!」と、妹への怒り方や内容に不満があるようでした。また、去年生まれたいとこや小さい子を見て私や周囲が「可愛い!」と言うと、表情を曇らせたり、家に帰ってきてから「○○(自分)のことは?可愛い?」と愛情表現を欲しがったりします。「みんないとこのことは可愛い可愛いって言ってて、○○のことはもう可愛くないのかな」と言うこともあります。散歩中の犬を見て「可愛い〜」と言ったらムスッとしたこともあり驚きました。

そして色々吐き出した後、最終的にはしゅんとした顔で「○○のこともっと好きとか可愛いって言って欲しい」と言うのです。

妹「ママとぎゅーしたい、隙あらばくっついていたい」

妹は、自由奔放、細かいことは気にならず、泣いてもすぐにケロッとしてよく笑っています。話の流れで姉がたくさん褒められていても、特に「△△(自分)のことは?」と言うことも気にすることもありません。

ただ、姉よりももっとスキンシップを求めるタイプです。保育園に送る時は、何度もぎゅっとしてきます。不安を消すために、というよりは「ママととにかくくっついていたい!」という気持ちのようです。家にいて、急に「あー!今日ぎゅーしてない!!」と言うので笑ってしまいます。いざぎゅっとすると「あーママだ〜ふふふ」なんて言ってにやけています(笑)。

不安や心配、モヤモヤがある時に求めてくるわけではなく、「ぎゅっ」として安心するのが彼女なりの日常のようです。

気付いた「愛情」の伝わり方の差

私は2人に対し、言葉でも、スキンシップでも、毎日たくさん愛情を注いでいるつもりです。受け取っていた分もあると思いますが、時には注いだ先にはコップがなく、「母は愛情を注いでいる」「子どもには受け取られていない」ということが起きていたのかも知れません。

「ねえ、ママがあなたのことが大好きだ!って、どうすれば伝わるんだろう?」と聞いてみたことがあります。少し考えた後に「○○のことを大好き大好きって毎日言ってほしいなぁ。」と、姉は言います。スキンシップも大好きで求めてはいるけれど、姉には「言葉」で存在の承認や愛されている実感が欲しいようでした。それはたまに言えばいいものではなく、毎日何回でも言ってほしい、そういうタイプです。

妹は「ん?えっとね、ぎゅーしてくれたら嬉しい!」と言います。もちろん「大好き」の言葉も喜ぶけれど、5歳でまだまだ甘えたいタイプ。赤ちゃんの頃を思い出しながらママとの触れ合いを感じることが彼女なりの「ママからの愛情の伝わり方」なのかもしれません。

「愛情のコップ」に例えてみる

愛情のコップに例えてみると、彼女たちは複数のコップを持っているように思います。それぞれのコップには「スキンシップ」「言葉」とラベルが貼ってあります。わが家の姉妹については、特にこの2つを取り上げましたが、コップは「目線」「一緒にいる時間」「寄り添い」など、きっと他にもあるのだと思います。

その複数のコップは、形状がそれぞれバラバラだと思っています。例えば姉は「スキンシップ」というコップは小さく、容量もそんなに大きくない。でも、「言葉」というコップは大きく、容量がかなり大きい。だからスキンシップは少なくてもいいけれど言葉をたくさん注がないと満タンにならない。私はそんなイメージをしています。

子どもたちが持っている愛情のコップはどんなコップで、どんな形状なのかな、と考えながら、これからも姉妹の差を楽しみながら愛情を注いでいきたいと考えています。

ライター

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ママ先生 りな先生

りな先生こと平野里那(ひらのりな)。元小学校教諭。小1、年中の姉妹のママ。4年半の育休後、高学年を担任しながら家族も大切にして人生を楽しめるママ先生として過ごし、Instagram(@rina_mama_sensei)にて仕事と家庭の両立のコツを発信。現職中に「先生がママ先生になったら読む本」を共著で出版。読売新聞「♯30代の挑戦」掲載。現在は300人を超える「ママ先生の会」を運営しつつ、ママ先生、ワーママを対象にコーチングを軸においたスクールを経営。

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