「褒め方・叱り方」でモチベーションに変化が!NGな言葉とかけたい言葉
子育てをする中で何度もあるのが「子どもを褒める場面・叱る場面」です。「正解がない」と言われる子育てですから、親として、どう褒めるべきか、どこまで叱るべきかなど、判断が難しかったり、後からあれで良かったのかと悩んだりしますよね。今回は特に学習面について、子どものモチベーションを上げるための褒め方・叱り方を具体的に紹介したいと思います。
子ども一人ひとりに最適なレッスンと苦手のフォローをしてくれる話題のタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さんにお話を聞きました。
内発的動機づけで学習できる子は成績が高い
ベネッセ教育総合研究所の「小中学生の学びに関する調査報告書(2015)」によると、内発的動機づけで勉強する子は外的動機づけで勉強する子よりも、成績が高い傾向にあることが分かっています。
参考:ベネッセ教育総合研究所「小中学生の学びに関する調査報告書(2015)」
内発的動機づけとは、次のような自分の内側から生まれる学習の動機を言います。
・新しいことを知ることができてうれしい
・問題を解くことがおもしろい
・勉強することが楽しい
一方、外的動機づけは、次のような外部の影響によって生まれる動機を言います。
・先生や親に叱られたくない
・成績が良いときのご褒美がほしい
・先生や親に褒められたい
つまり、子どもが自分から楽しんで勉強をするようになるには、「内発的動機づけ」で学習する意欲が湧くような褒め方・叱り方をすることが大切になります。
ここからは具体例を交えて、「上手な褒め方・叱り方」を紹介したいと思います。
効果抜群!褒め方のコツと具体例
まずは、効果的な褒め方についてご紹介します。褒め方のポイントは3つあります。
1.ここまで?と思うぐらい大げさに褒める
子どもを褒めるときは、「ここまで?」と思うくらい大げさに褒めると効果的です。私達の「RISU算数」では「せんせい動画」を配信していますが、こんなに褒めて大げさ過ぎない?というような動画の方が、実は好評だったりします。
子どもはやはり、褒められることが大好きです。照れて反応の薄い子もいますが、内心はきっと喜んでいます。
■具体例
【OK】えー!すごい!ほんとうに!?
【OK】もう終わったの?やるじゃん!
【OK】花丸もらえたねー!おめでとう!
小さい子には少し驚いたように言うのがポイントです。子どもは自信がもてますし、次もがんばろう!とモチベーションがアップします。
2.良いところを具体的に分かりやすく褒める
子どもを褒めるときは、“どこがどう良かったか”を具体的に言うようにすると、褒める気持ちが演技ではないこと、子どもに「ちゃんとあなたを見ているよ」というメッセージが伝わるので効果的です。
■具体例
【OK】今日のノート、すごくきれいな字で書いているね!
【OK】この漢字、難しいのによく読めたね!
【OK】明日の準備、言わなくても自分でやっていたなんてびっくり!
また、親の視点では、つい「できていないこと」が目につき小言を言いたくなってしまいますが、意識して「できていること」を探すようにすると、ポジティブなフィードバックができるようになります。
■具体例
【NG】まだ半分も残っているじゃない→【OK】もう半分も終わらせたの?
【NG】計算問題、20問のうち5問も間違えているよ→【OK】15問解けたね
【NG】え、30分もかかったの?→【OK】30分でできたね
親から見てまだまだ合格ラインではないと思っても、否定的な伝え方をせず、「今回は30分でできたね、次は20分を目指してみようよ」というように、子どもが前向きな気持ちになれる伝え方をするようにしましょう。
3.ウィンザー効果を利用する
「ウィンザー効果」とは、人間の心理的な傾向のひとつで、「第三者が発信する情報は直接相手から言われるよりも信頼されやすい」という深層心理のことです。つまり、目の前の人から直接「すごいね」と言われるよりも、「〇〇さんがあなたのことをすごいと言っていたよ」と言われるほうが信頼度が高く、うれしく感じるという心理現象です。
■具体例
【OK】幼稚園の先生が、あなたのことを最後まで頑張ってお片づけしてエライって褒めていたよ ※ママパパから子どもへ
【OK】ママがいつも食事の準備を手伝ってくれるから助かるって言っていたよ ※パパから子どもへ
【OK】習い事の先生が、あなたがいつも真剣にがんばっていてすごいって聞いたよ ※ママパパから子どもへ
など、第三者からの褒め言葉を積極的に伝えてあげると、子どもの自信につながります。ウィンザー効果をうまく利用していきましょう。
子どもを叱るときに気を付けたいポイントは?
子どもを叱るときは、親は激励のつもりであっても、場合によっては子どものモチベーションを下げてしまうことがあります。次の2点は気を付けたいポイントです。
1.人前でけなしたり、怒ったりしない
子どもを叱るときは、人前でけなしたり、怒ったりしてはいけません。このような状況では、子どもは恥ずかしさや悲しさで気持ちがいっぱいになってしまい、なぜ叱られたか、次からどうしなければいけないのかという肝心な部分を考えられなくなってしまいます。少し場所を変えるなどして、落ち着いて1対1で話し合える状況を作りましょう。
2.人格を否定しない
お子さんを叱るときは、人格や人間性そのものを否定することがないように注意して言葉を選びましょう。何が良くなかったのか、行動を具体的に否定するようにします。
■具体例
【NG】まったく!何をやってもだめだね。あなたはバカだから!
【OK】5時までは宿題をやる約束だったのに、ゲームをしているのはおかしいよね
【NG】待てないならここにいなくていい
【OK】まだ待っててって言ったのに、聞かずにやったのは良くなかったよね
子ども自身が良くないのではなく、している行動が良くないと示してあげることで、次にどうすればいいのかを自分で考えることができます。
謙遜にも注意!子どもは近くで聞いています
もうひとつ気を付けたいのは謙遜の仕方です。保護者同士で楽しく話している場面でも、子どもは近くで話している内容を聞いていることがあります。
■具体例
【NG】うちの子は算数が苦手だから…。〇〇ちゃんはいつも100点ですごいよね
【NG】〇〇ちゃんはもうできたの?すごいね!うちの子は遅いからまだまだだよ
【NG】(褒められたことに対して)そんなことないです、全然できないんですよ
子どもは大人が話していることや、親が言っていることを、そのまま受け止めてしまうので、言い方には気を付けたいところです。
「勉強しなさい」と叱るのは逆効果
学習面のモチベーションで言えば、勉強しないことに対して「勉強しなさい」と叱るのは逆効果であることもお伝えしておきたいポイントです。この現象は、心理学では「心理的リアクタンス」と呼ばれています。
「心理的リアクタンス」とは、選択する自由が外部から脅かされた時に生じる、自由を回復しようとする反発作用のことです。人間は意見や行動を他人から強制されると反発し、かえって自分の意見に固執する心理を持っています。よって「勉強しなさい」と叱れば叱るほど、子どもは強く反発し、勉強から遠ざかろうとするのです。
こんなときは、やみくもに叱るよりも「最初だけ子どもと一緒に勉強してあげる」という方法を試してみてください。勉強に付き合ってあげることで、子どものやる気を後押しすることができますよ。
■具体例
【NG】勉強しなさい!どうしてできないの!
【OK】この問題、一緒にやってみようか
上手に褒めて力を伸ばそう
今回は、子どもの褒め方・叱り方について、具体例を交えてお話ししました。たくさん例を挙げましたが、上手な褒め方を難しく考える必要はありません。子どもの努力を応援する気持ちと、子どもの喜びに共感する気持ちの2つを忘れなければ、きっとその場でふさわしい言葉を見つけられることでしょう。
子どもが自ら学習の意欲を高められるように、上手に褒めて力を伸ばしてあげましょう。
教えてくれたのは
今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
▶タブレット教材「RISU算数」
ナビゲーター
担当カテゴリー
学び・遊び・教育
算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆
RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。