「ごめんなさい」が言えない子どもの心理と親が気をつけたい5つのこと

「ごめんなさい」が言えない子どもの心理と親が気をつけたい5つのこと

子どもが悪いことをしたから叱ったのに「ごめんなさい」と言わない…どうして?と疑問に思うことはありませんか?
今回は心理カウンセラーの立場から、悪いことをしたときに「ごめんなさい」を言わない子どもの心理を解説します。また自分が悪い時には素直に謝れる子になってほしいと考えているパパママへ、気をつけることや対処法をお伝えします。

「ごめんなさい」って言いたくない!子どもの心理は複雑?

まずは、謝るべきときに「ごめんなさい」を言わない子どもの心理を紐解いてみましょう。子どもたちはどんなことを感じているのでしょうか?

3歳以下は幼いために「謝るとは何なのか」を理解していない

3歳以下は多くの場合、「悪いことって何なのか」「謝るとは何なのか」ということが理解できない年齢です。親にとっては「何が悪いかを教える時期」とも言えるでしょう。
したがって、この年齢の子どもはまだ「悪いと思ってごめんなさいと言う」ことができなくて当たり前とも言えます。

自分のしたことが、悪いことであると認識できていない

4歳~5歳は、社会のルールが理解できてくるので、徐々にではありますが、何が悪いことなのかを認識できるようになります。しかし完璧ではなく、感情のコントロールも上手にはできないため、頭で理解したルールよりも、自分の感情を優先することに正しさを感じることも多い時期です。
「自分のしたこと」と「謝るべきこと」とが結びつかなければ、スムーズに謝罪することはできません。

自分は悪くないから謝る必要はない、納得できない

親から見た状況と、現実の状況が違っている場合に起こりやすいケースです。
たとえば、わが子が友達を叩いた場合、親はわが子に「謝りなさい」と言うでしょう。ところが先に友達がからかってきた、持ち物を取ったなど親の知らない事実があれば、子どもは納得できないため謝りたくないと考えます。

謝ったら負けだと思ってしまう、プライドが傷つく、恥ずかしい

「ごめんなさい」と言うことは、子どもにとって負けを認めるということでもあります。善悪の観点から見れば自分が謝るべきだと分かっていても、プライドが負けを認めることを許さないために、謝ることができません。「謝ることは恥ずかしい」と感じているのです。

子どもが謝るべきときに…親が取るべき対処法5つ

謝らなければいけないのに、子どもが「ごめんなさい」を言わない! そんなときに親が取るべき対処法は以下のとおりです。

謝りなさい!と怒らない

まず親がやってはいけないのが、子どもが事情を説明しようとしても「言い訳をしないで謝りなさい!」と怒り始める、あるいは「ごめんなさいは?」としつこく謝罪を促すことです。
ごく妥当な対処法のように思えますが、実は完全に的外れ。これでは「なぜ謝らなければならないか理解しなくてもいいから、口先だけでも謝ればよい」と教えているようなものです。自分の話を親に聞いてもらえなかった子どもは親への信頼感をなくし、反抗心を強めてしまいます。

謝るプロセスを段階的に教える

謝るプロセスがまだしっかりと確立できていない子どもには、謝るプロセスを段階的に教えることを重視しましょう。
特に3歳以下の場合などは「これは、いけないこと」「いけないことをしたら、ごめんなさいと言う」という2つの段階を少しずつ教え始める時期です。4歳以上も引き続き、謝ることができない子には同じように教えていきます。

親が謝ってみせ、一緒に謝る

友達同士のトラブルであっても、わが子が謝らない場合、親が先に「ごめんね」と相手の子に謝りましょう。子どもに謝る姿を見せると、子どもが「こうしたらいいんだ」と理解できます。また子どもに「一緒に謝ろう」と促し、子どもの意地をはりたい気持ちや、恥ずかしい気持ちに寄り添い、一緒に頭を下げることも効果的です。

子どもによく話を聞く

相手を叩いたりしたときに、叩くのはいけない!と教えることは必要です。しかし同時に、子どもの話を聞き、それまでの事情や子どもの気持ちを把握し、寄り添うことも、同じくらい大切です。
何があって、自分の気持ちがどうなった結果、謝るような事態になったのか。それを聞いてもらうと、子どもは「自分は親から尊重されている」と安心します。すると無駄なプライドを守る必要がなくなり、「やっぱり自分が悪い部分もあった」と認めることができて、謝れるようになります。

なぜ謝るかの意義を説明する

たいてい6歳以上になると、自分が悪いことはわかっているけれど、プライドが高くて謝れない子どもが増えてきます。こんなときは、悪いことをしたらなぜ謝るのか、謝らなかったらどうなるかを説明しましょう。いずれのケースも、謝らなければ相手との関係がぎくしゃくして、今までどおりに遊べない、学校へ行きづらくなるなど、本人がつらい思いをします。あるいは立場が逆になったときに、謝ってもらえなかったら許してあげる?と聞いてみるのも良い方法です。
要するに「謝罪をする」とはお互いの気持ちを納得させ、人も自分も気持ちよく、仲良く過ごすための手段です。謝ったほうが自分も「とく」であると知ることも大切でしょう。

そもそも謝ることではないケースに注意!

最後に、注意点をひとつ紹介します。それは、本来謝ることではないケースにおいて、子どもに「謝りなさい」と言ってしまうパターンです。
よくある例では、子どもが食事中にコップを倒し、飲み物がこぼれてしまうようなことが挙げられます。この場合、わざとやったのならば「悪いことをした」と考えられますが、不注意ならば、謝らせることが対処法として正解とは言えないのではないでしょうか。
こうした失敗に対して無理に謝罪させると、子どもは「失敗は悪いことである」と認識するようになります。結果的に「失敗を恐れてチャレンジできない」「他人の目を気にして自分の基準が持てない」といった影響をもたらすこともあるため、注意したいところです。

「ここで謝っても自分が負けたということではない、否定されたということではない」ということが感覚的に認識できていてこそ、人は相手に謝ることができます。大人でも、この感覚を理解できていない人は多いのではないでしょうか。
子どもがスムーズに「ごめんなさい」と言えるようになるためにも、子どもの気持ちを尊重しつつ、謝ることの人間関係における重要性を根気よく教えましょう。

ライター

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心理カウンセラー、占い師 あん茉莉安

ふたりの女子の母。専門はスピリチュアルと発達心理学。得意分野は幼児教育、習い事、小学校お受験、中学受験など。趣味は歌とバイオリン。教員免許、図書館司書、学校図書館司書の資格をもっています。占いやパワーストーンを通してさまざまな癒しを皆さまへお届けしています。

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