夏休み明け「学校行きたくない…」という子どもに親ができることとは?

夏休み明け「学校行きたくない…」という子どもに親ができることとは?

小学校の先生の経験者であり、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。今回はりな先生。夏休み明けの登校しぶりや不登校についてです。

夏休み明けは登校しぶりや不登校が増える時期。でも、親として今できる準備があります。自身の不登校経験、親・教員としての経験から、その方法をお伝えします。

2学期に向けて、親ができる準備【心】編

心も身体も頭も、長い休みの後にエンジンをかけるには、思っている以上にエネルギーが必要です。特に、繊細なお子さんにとっては大きなハードルになることもあり得ます。そこでまず整えていただきたいのは「心」です。今ある不安、緊張、恐怖の原因を、落ち着いた雰囲気の中でじっくりと耳を傾けて聴いてあげてください。

途中で気になることがあっても、話し終えるまで待つことが大切です。このとき「見える化」する方法が効果的です。紙とペンを用意し、例えば低学年なら悲しそうな顔を描いて、吹き出しに気持ちを言葉で表します。色を変えて「この“怖い”という気持ちは、どうしてだろう?」と一緒に理由や解決策を書き込みます。親子で確認しながら感情を視覚化すると、次のステップが見えやすくなります。

2学期に向けて、親ができる準備【身体・頭】編

「身体の準備」として、生活リズムを整えるとよく言われますが、具体的にはまず「起床時間と就寝時間を決めて、睡眠時間を確保する」ことが大切です。睡眠不足はお子さんの心に大きく影響します。たとえば「6時に起きて21時に寝る」と決め、今の生活と異なるようであれば、少しずつ戻していきます。起床後に朝日を浴びると体内時計が整いやすくなるため、おすすめです。

次に「頭の準備」です。2学期が始まると、いきなり5~6時間の授業が続きます。ですので、家庭では「読みやすい絵本を読む」「ドリルを1ページ解く」「漢字を使って日記を書く」など、軽い学習習慣を取り戻す機会をつくりましょう。「忘れていて何もできない」という状態を防げば、お子さん自身の不安も和らぎますし、親も今の理解度を確認できます。

親としての心構え

2学期が近づき「行きたくない」と子どもが言い出したとき、つい「どうして?」「行かせなきゃ」と焦る気持ちが湧きますよね。とてもよく分かります。でも、そこで無理に行かせようとすると逆効果です。本当に大切なのは、登校できるかどうかではなく、「分かってくれる人がいる」「自分の話を落ち着いて聴いてもらえる」と思える安心感です。「そう感じるんだね」「よく話してくれたね」とお子さんの心の声に寄り添いましょう。また、親だけで抱えずに、担任や保健室の先生、スクールカウンセラーなど、早めに相談するのも効果的です。私も教員時代、不安傾向のあるお子さんがいるときは、保護者の方からの事前連絡がとても助けになりました。周囲と連携しながら、お子さんの安心を支えることが大切です。

不登校だった時、母親の対応

私自身が不登校だった時、母は「学校に行きなさい」とは一度も言わず、焦らせるようなことも言われませんでした。夜遅くまで話を聞いてくれて、私が泣いたり怒ったりしても、静かに隣にいてくれました。心が折れそうな毎日の中で、「母だけは味方でいてくれる」と思えたことが、何よりの支えでした。孤独感に押しつぶされそうな日々でしたが、そう思えることで、何とか気持ちをつなぎとめていたのです。「行けない自分なんて」と自分を責めていた私に、母は「登校よりも、あなたという存在が大切」と伝えてくれました。その言葉が、私を守ってくれました。親が「心の安全基地」であること、それが子どもにとって前を向く力になります。そして「どんな選択をしても、あなたの味方だよ」という姿勢を見せることが、2学期を一緒に歩き出す大きな準備になります。

ライター

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ママ先生 りな先生

りな先生こと平野里那(ひらのりな)。元小学校教諭。小1、年中の姉妹のママ。4年半の育休後、高学年を担任しながら家族も大切にして人生を楽しめるママ先生として過ごし、Instagram(@rina_mama_sensei)にて仕事と家庭の両立のコツを発信。現職中に「先生がママ先生になったら読む本」を共著で出版。読売新聞「♯30代の挑戦」掲載。現在は300人を超える「ママ先生の会」を運営しつつ、ママ先生、ワーママを対象にコーチングを軸においたスクールを経営。

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