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菊地亜美さん×島村華子さん対談「動画との付き合い方」と“自分で考える子”の育て方

人気タレントで、ママとしての等身大な発信も魅力の菊地亜美さん。4歳と0歳の姉妹を育児中で、子どもには「自分でやりたいことをハッキリと言える人になって欲しい」と話します。子どもとの丁寧な関わりを心がけていますが、始まったばかりの2人育児で、悩むことも多いそう。そこで、モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育の研究者である、島村華子さんとの対談が実現。菊地さんが島村さんに、“自分で考える力を育むポイント”を聞いていきます。
2人育児駆け出しの菊地さん。リアルなお悩みは?
上の子には、むしろ赤ちゃんになってもらおう
菊地さん:今年次女を出産して、4歳の長女はお姉ちゃんになりました。長女には、“お姉ちゃん”って言われたくない、とハッキリ言われたので、気をつけています。
島村さん:本人が望んで“お姉ちゃん”になったわけではないですもんね。ちゃんとその要望をリスペクトしていて素敵です。やっぱり嫉妬はしますか?
菊地さん:次女のことが可愛いという気持ちもあるようですが、やはり赤ちゃん返りをする時があって…。ママに来てほしくて、わざと水をこぼしたりします。そんな長女に対して、“ちょっと待ってね”ばかりの自分が嫌になってしまいます。
島村さん:それは亜美さんもしんどいですよね。赤ちゃん返りは、むしろどんどんやらせてあげましょう! いっそ遊びにしてしまって、“今日、赤ちゃんの役する?”なんて誘ってみるのもおすすめ。遊びとして、抱っこをしてあげたり、お着替えさせてあげたり…。
菊地さん:それ、長女喜びそうです!私の罪悪感もちょっと収まる気がします。
島村さん:遊びでいうと、インタビューごっこもおすすめ。例えば“●●ちゃんも赤ちゃんだった頃泣いていたけれど、あの時どう思ってたんですか?”なんて、マイクを向ける仕草で聞いてみるのも面白いですよ。
菊地さん:わぁ、それ絶対聞いてみたいです!
島村さん:ママと子どもで楽しい時間を共有できるのが大事なので、正しい記憶である必要はありません。遊び心を持って時間を過ごせると、少し気持ちが楽になるかなと思います。
成長段階が違うきょうだい。どう過ごせば良い?
菊地さん:私自身にも5歳下のきょうだいがいるのですが、結構赤ちゃんな印象だったんです。子どもたちも4歳差ということで、発達段階が全然違うので、一緒に過ごすのが難しいなと思うことがあります。
島村さん:今だったら、上のお子さんとは遊びの一貫で、下のお子さんのお世話係をするというのはどうですか?4歳以上の子どもは、ごっこ遊びは“本物”が好きという研究結果があるんです。他にも家の中でできることだったら、家事を遊びにしてしまうのもおすすめです。
菊地さん:確かに!長女は以前は、おもちゃの洗濯機にお人形の靴下を入れて遊んだりしていましたが、今は本物の洗濯機が好きです(笑)私が畳んだ洗濯物をわざと崩して、たたみ直したりしています。
島村さん:それはもう、お洗濯係になってもらいましょう!私が働いていた園でも、洗濯物を畳む仕事は子どもたちに人気でしたよ。

“自分で考える人”になってほしい
工作遊びをする時の声かけ法
菊地さん:遊びでいうと、最近長女は幼稚園で工作にハマっています。すごく良いなと思っているのですが、何か親がサポートできることはありますか?
島村さん:工作が好きなら、工作ボックスを作るのがおすすめ。ペットボトルのキャップや、道に落ちている葉っぱなど、材料となるものを溜めておくんです。その中のもので何を作るのかは、指示しないのもポイントです。“何を作りたい?”と自由に考えてもらいましょう。
菊地さん:なるほど、自分で考える力を育めそうですね。私自身、子どもには将来、自分のやりたいことをハッキリと言えて、そのために自分でリサーチもできる人になって欲しいと思っています。他には子どもにどう関わっていったらよいでしょうか?
島村さん:ぜひ、親子で対話を楽しんでほしいですね。日常のなかで、お子さんに色々な問いかけをしてみてください。“なんでだと思う?”と直接聞くとプレッシャーに感じてしまう子もいるので、呟くんです。英語だと“I wonder…”と言うのですが、“それ、ママもなんでかなって思ってたんだよね〜”なんて、ボソリと呟くんです。そういった会話の積み重ねが、“自分で考える”経験を積み上げていくことになります。それが自分の気持ちを表現できる、幸せを感じることができる、ということにつながっていくと思います。
菊地さん:すぐできそうなアドバイスですね。実行してみます!

どんどん切り替わる尺の短い動画は控えて
菊地:以前から気になっているのですが、動画の視聴についてはどう思われますか?我が家でも時間を決めつつ見ているのですが…。
島村さん:節度を持っていれば、動画を見ても良いと思いますよ。6歳以下なら、1日2時間以内におさめたいですね。というのも、2時間以上見ている子と、見ていない子が書いた絵を比べる実験があって。見ている子の書く“手”はぼんやりしているのですが、見ていない子の書く“手”にはしっかり爪などが描写してある、という結果が出たんです。また、もし見るのだったら、どんどんと動画が切り替わっていく短い動画はあまりおすすめしません。これも研究があって、同じ時間見ていたとしても、ファストペースの動画を見た子どもは、実行能力(※自己コントロールする力)が落ちるという結果がでています。
菊地さん:わぁ、そうなんですね!長女もファストペースの動画をたまに見ることがあるのですが、集中力が落ちてきたかなと感じていたんです…。今日伺ったこと、すぐに夫に共有したいと思います(笑)。
島村さん:亜美さんの話を伺っていると、すごく子どもに寄り添っているのが分かりますし、会話はきっと得意分野ですよね。日常のなかで、ほんの小さなことで構わないので、これからもお子さんとの対話を楽しんでくださいね。
菊地さん:子どものために、と思いすぎて、親がストレスを抱えるのは避けたいです。“親の自分も楽しんで、子どもにも楽しんでもらう”というのを大切に、これからも育児を頑張っていきたいです。
企画/&あんふぁん編集部 取材/岡田絵理