公開 :
保育園・幼稚園の保護者面談で「落ち着きがない」と言われたら…問題児なの?

保育園や幼稚園の保護者面談で「落ち着きがない」といわれてしまったら、親としてはどうしたらいいか悩みますよね。「もっと家で厳しくした方がいい」と考えてしまうかもしれませんが、それではますます状況が悪化してしまうかも。そんなときは、これから紹介する視点で子どものことを見てほしいと思います。子どもも親もラクになり、子どもの成長が感じられますよ。
幼稚園や保育園の保護者面談で落ち着きがないと言われたら
活動中に教室を立ち歩いたり違うことをしてしまったり、室内や廊下を走ったり、じっとしていられず落ち着きがない…。園でこんな行動を子どもがしていると知ったら、悩んでしまいますよね。
家で厳しくするとますます落ち着きがなくなる
子どもが幼稚園や保育園で先生に迷惑をかけていたら、親としては厳しく叱らなければと思ってしまいがちです。それが親の責任という考えもあるでしょう。
でも、家で叱られたことで、子どもが幼稚園や保育園でじっとしていられるようになるでしょうか…?
実は子ども自身も、よくないことをしている、望ましい行動ではないとわかっていながら行動していることが多いです。本当は褒められる子でいたいのですが、落ち着いて過ごせない理由があるのです。その理由を考えずに頭ごなしに叱っては、本人はどうすることもできずストレスを抱え、問題行動が悪化してしまうこともあります。それが長く続くと「自分はダメな子」と認識して、自己肯定感を持てなくなることにもつながってしまいます。
子どもが「困っている」サインと家庭でできる対応
そのため、保育園や幼稚園で「落ち着きがない」と言われたとき、ただ「しつけが足りないのでは…」と悩むのではなく、「子どもが困っているサインかもしれない」と考えてみてください。
それぞれの行動の裏にある理由と、家庭でできる具体的なサポート方法をご紹介します。
じっと座っていられない
子どもの心の中では…
・体を動かすことで気持ちを落ち着かせている
・じっとすることがまだ難しい発達段階かもしれない
家庭でできるサポート
・毎日しっかり体を動かす時間をとる(とぶ、走る、ブランコに乗るなど)
・落ち着いてほしい時間の前に、先にたっぷり遊ばせてエネルギーを発散させる
・「10数えたら座ろうね」など、切り替えの声かけを工夫する
・座っていなければならない場面で、手や足の感覚グッズを用意する(スクイーズ、振動するおもちゃ、足つぼマットなど)
集中が続かない
子どもの心の中では…
・音や光など感覚に敏感で、周囲が気になりやすい
・興味のあることへの偏りがある
・気持ちの切り替えが苦手なこともある
家庭でできるサポート
・「5分だけやってみよう」と短く区切って取り組む
・周りの物を片付け、テレビや音を消し、集中しやすい静かな環境で声かけする
・子どもが好きなテーマの物を用意して声掛けする(キャラクター、色、乗り物、動物など)
指示が通らない
子どもの心の中では…
・言葉の理解が追いついていない
・一度にたくさん言われると混乱する
・今から何をするのか見通しが持てていない
家庭でできるサポート
・「○○してから△△しようね」と2ステップ以内で伝える
・絵や写真を使って流れを見せる(例:着替え → トイレ → ごはん)
・「これが終わったら公園だよ」など、先の楽しみを予告する
どの子にも「その子なりの理由」がある
子どもの行動には、必ず何かしらの理由があります。
大人から見ると「問題行動」に見えても、子ども自身も実は困っている場合がほとんどです。落ち着きがないのではなく、気持ちや感覚が追いついていないのです。
保護者ができる3つの基本
共感:「動きたくなっちゃうんだね」と受け止める。叱る前に観察:「どうしてそうしたのかな?」と一歩立ち止まる。日々の生活でサポート:「家庭でできること」から始めてみる。
子どもの状況や特性を先生に伝えよう
そうして効果があったことは、ぜひ園の先生に伝えてほしいと思います。実は園の先生も、保護者からの情報をとても大切にしています。家庭での様子や子どもの気になる行動、好きなこと・苦手なことなどを先生に伝えることで、園での対応がぐっとスムーズになります。
どうして先生に伝えることが大事なの?
子どもは園と家庭で違った姿を見せることがあります。家では元気いっぱいでも、園では緊張して固まってしまう子もいれば、逆に園では頑張っていて、家で気持ちが爆発する子もいます。先生も子どもの姿をよく見てくれていますが、園での限られた時間だけでは見えない部分もたくさんあるのです。先生は、子ども一人ひとりの違いを理解しようと日々努力されています。家庭と園がタッグを組んでサポートできれば、子どもにとっても安心できる環境になりますよ。
問題児は「困った子」ではなく「困っている子」
見方ひとつで、子どもとの関係がラクになり、親子の信頼関係も深まります。苦手なことがない大人はいないように、子どもも苦手なことがあって当然です。そのとき「自分はダメな子だ」と思ってしまうのではなく、「苦手なことはあるけど工夫したらできた」「苦手なことがあっても大丈夫」という経験を積み重ねていくことが大切です。
親はそのお手伝いができるといいですよね。親にそのように寄り添ってもらった子どもは自己肯定感が高まり、いろいろなことを前向きにとらえられるようになります。そして得意なことを武器に、グングン心も身体も育っていきますよ!