トラブルも成長の一歩。2〜3歳の“困った行動”との付き合い方

トラブルも成長の一歩。2〜3歳の“困った行動”との付き合い方

2〜3歳の子ども同士のトラブルは社会性が育つサイン。発達の特性を知り、行動の裏にある子どもの思いを想像できれば関わり方がぐっと楽になります。

2〜3歳ごろのお子さんについて、「お友達を叩いてしまった」「おもちゃを無理やり取ってしまう」といった行動に悩む保護者の方は少なくありません。つい「ダメ!」と叱ってしまいたくなることもあるでしょう。ですが、この時期の子どもの行動には、発達的な背景があることを知っておくと、少し見え方が変わるかもしれません。

この時期の子どもたちは、「自分」と「他人」が違う存在であることを少しずつ理解し始める頃です。それまで“世界=自分”だった感覚から、徐々に他者の存在を知り、関係性を築こうとしています。とはいえ、まだまだ自己中心的な考え方が基本で、相手の気持ちを想像したり、自分の感情を言葉で伝えたりするのは、これからゆっくり学んでいくことです。

お友達との遊びの中でトラブルが起きるのは、社会性が育ち始めているサインでもあります。とはいえ、力が強い子や表現がまだ不器用な子の場合、相手を叩いてしまう、物を奪ってしまうなど、周囲がヒヤッとするような行動につながることもあります。そんなときこそ、まずは大人が落ち着いて対応することが大切です。

1.まずは子どもの気持ちに共感する


子どもが手を出す、物を奪うなどの行動には、必ず理由があります。「自分の遊びを邪魔された」「ママを取られた気がして寂しかった」など、本人なりの“嫌だった”という気持ちがあるのです。大人が「〇〇したかったんだね」「悔しかったね」と子どもの気持ちを言葉にしてあげると、子どもは「わかってもらえた」と感じ、安心します。

2.よくない行動は具体的に伝える


気持ちに共感した後は、落ち着いたタイミングで「どうしてその行動がよくなかったのか」を伝えましょう。
「叩かれると痛いよね」「急におもちゃを取られるとびっくりしちゃうよ」など、短く・具体的に言葉にすることがポイントです。頭ごなしに「ダメ!」と否定するだけでは、何がいけなかったのかは伝わりにくいものです。

3.代わりにどうすればよかったか提案する

子どもにとっては、困った行動を止めることだけでなく、「どうすればよかったか」を知ることが次のステップです。
「嫌なときは“やめて”って言ってみよう」「貸したくないときは“あとでね”って言っていいよ」など、代わりにできる行動を具体的に提案します。

また、親を叩くなどの場合も、「痛いからやめてね」「そうされると悲しいな」と大人の気持ちを伝えることが、子どもが“相手の感情”に気づく第一歩になります。

4.謝ることより、気持ちに気づくことを大切に

トラブルの後、「ごめんね」を言わせる場面もあるかもしれませんが、形だけの謝罪になってしまうと、意味のない「お決まりの言葉」になってしまうこともあります。大切なのは、謝罪の言葉を覚えることよりも、相手がどう感じたかを知り、自分の行動を見つめ直すきっかけを持つことです。

子ども同士のトラブルは、できれば避けたいと思ってしまうかもしれません。けれども、実はそこにこそ大切な学びの機会が詰まっています。大人の共感とサポートのもと、子どもたちは少しずつ社会性を身につけていきます。今すぐ変わらなくても大丈夫。繰り返し経験することで、行動に気持ちが伴っていくものです。焦らず、根気よく見守る姿勢が、子どもたちの大きな力になりますよ。


ライター

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モンテッソーリ教育 堀田はるな

モンテッソーリ原宿子供の家・モンテッソーリすみれが丘子供の家教員、保育士。アパレル業界、eコマース、金融など様々な業種でのマーケティング業務を経験後、教育の道へ転身。日本モンテッソーリ協会承認モンテッソーリ教員免許取得。著作「子どもの才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」。

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