小6次女を“ダメな子に育てる作戦”実施中。起こった変化は?

小6次女を“ダメな子に育てる作戦”実施中。起こった変化は?

あんふぁんWebをご覧のみなさん、こんにちは! 子育てポータルサイト「パパしるべ」の編集長の杉山です。

冒頭から言い訳で恐縮ですが、一応先に言っておかないといけないかなと。

そもそも我が家は親の言うことに従順だったり、成績が優秀だったりする「いい子」至上主義というわけでもなく、自分で考えて行動することが大事だと思っていますし、自立した人を育てることを目指して子育てしています。ましてや、我が子を心から「ダメな子」に育ってほしいとは思っていません。

それなのに、今は夫婦で協議した上で、思春期に突入している小学6年生のおませな次女を「ダメな子」に育てようと真剣に取り組んでいるのです。

「次女をダメな子に育てる作戦」開始の理由

もともと次女は天真爛漫を絵に描いたような女子。愛嬌が服を着ているとも言えるかもしれません。たぶん、本人は自覚がないでしょうが、保育園の頃から周りに人が集まってくるタイプで、送り迎えをしていると、園児たちはもちろん、街の人たちからも声を掛けられていました。ちなみに本人に「今の誰?」と聞くと、笑顔で「わかんないっ」と。
その一方、いわゆる生活習慣はかなりルーズで、率直に言うとだらしないところが多いのです。使ったティッシュやお菓子の袋などほったらかしにしがちですし、脱いだ服や使ったバスタオルもおおらか(雑?)に扱うので、一緒に暮らす身としては困ることが多々あります。
それでいて、返事が抜群にいい。これがまた厄介です。
大人やお姉ちゃんに「これやっておいて」と頼まれると「うんっ!」と返事。タイミングもバッチリ。でも、やらない。ずっと。もう一回頼まれると「うんっ!」と返事。でも、やらない。ずっと。いい加減頼んだ人がキレる、というループに陥ります。
さらに、特技がポジティブ。
一度、あまりにも物をほったらかしにする日が続いたので「明日片付けなかったら、児童センターに行っちゃダメね」と言ったら、どこで覚えたんだ?というくらいの謝罪ぶりを発揮。そして、翌日。まったく片付けないまま児童センターへ。結果、それまで毎日嬉々として通っていた児童センターに行くことは禁止となりました。
その翌日。さすがに今日はやるだろうと思ったら、やらない。あれほど楽しみにしていた児童センターに行けなくなって落ち込んでいるかと思いきや、その様子もない。テレビやYouTubeで見たい番組を探してゲラゲラ笑っている。さすがにそれが続くと心配になり「児童センター行きたくないの?」と聞くと「まあ、禁止になっちゃったからね」とあっさり。
要するに、与えられた環境の中で最も楽しい過ごし方を探すことにかけては天才的なのです。執着がなく、切り替えが早い。
いわゆる罰則というシステムがまったく効かないタイプ。最近では家の中での時間を謳歌している次女に、家で仕事をしている僕はちょっと困ってしまい、「もう頼むから児童センターに行ってくれ」と根負けしてしまったのです。

生活習慣に厳しい妻はいつもガミガミ言っていたのですが、最近頭の回転も大人に近づいてきた次女は妻の言葉に鋭く切り返し、妻の逆鱗をわしづかみしまくり。カオスな毎日にほとほと疲れ果てていました。

言うなれば、夫婦揃って完全に次女の手の上で転がされている状態。これを脱するために編み出したのが「次女をダメな子に育てる作戦」なのです。

自立を目指すうえで最低限の生活習慣を身に着けるために

我が家にとって「ダメな子」とはどんな子か?
しつこいようですが、我々は次女に本当に「ダメな子に育ってほしい」と思っている訳ではありません。次女が自立を目指すうえで最低限の生活習慣を身に着ける一番いい方法を探しているだけです。
我が家には「18歳で高校を卒業したら家から出て自立していただく」というルールがあります。これは、「子育ては高校を卒業したくらいの年までに最低限の常識や生活力やマナーを身に着け、社会に解き放つことが目標」という我が家独自の指標があるために設定されたもの。子育てに終わりがなくて先が見えないという状態から脱するための指標でもあります。我々夫婦は目標がないと動けないタイプなので、こんな設定をさせていただき、娘たちには小学生に上がった頃からこのルールを伝えて了承してもらっています。
ただ、何もない状態で家から出て行けという訳ではありません。それまでに社会に出るための常識や生活力、マナーをしっかりと教えるのが我々親の責務。なので、高校卒業後も子どもが家で暮らすという選択になった場合、しっかり教えることができなかったという我々親の敗北宣言となるのです。もちろん、これも娘たちに伝えています。
つまり、教える方も「18歳までの期間内に教え込むミッション」に真剣に向き合わないといけないのです。

ちなみに、すでに19歳を迎えている長女はというと、高校入学時に「ヤバい、あと3年しかない」と言い始め、それなりに意識していたようでしたが、家を出る期限の18歳を待たずに17歳の途中でポルトガルに留学。家から出るどころか日本から出て行ってしまいました。現地ではいろいろな国から来た留学生と一緒にシェアハウスで過ごしていますが、周りの同世代に対して「なんであんなに何もできないの?次女の方がまだできる」とキレまくっていました(それはそれでどうかと思いますが)。よく、「海外の若い子たちは自立していて、日本の子は自立していない」と言われますが、長女の話を聞いて、そんなの人によるんだと実感させられました。

作戦内容とは?作戦開始後、次女に起こった変化は?

さて、話は戻って次女の「ダメな子作戦」。

その前提で次女に対して提案したのが「君ができない苦手なこと(生活習慣)は僕らが全部先回りして変わってやるから、できるようにならなくてOK。ダメな子のままでいればいいんだよ。ただし、基本的な生活習慣ができない状態では自分で選択をさせることが難しいから、習い事、行く学校、高校以降の過ごし方については我々で決めさせていただくね」というもので、これを通称「ダメな子作戦」と呼んでいる訳です。

まず、この提案を聞いた次女のファーストリアクションは「マジで!いいの??」とニコニコ。何もやらなくても責められなくなるという解放感にあふれていました。がしかし、しばらくして顔色が変わり「それってマズくない?」と言い出したのです。

自由至上主義の次女にとって、今、だらしなく自由に過ごすことは優先事項ではあるものの、そのままで行くと、大きくなってからの自由が無くなってしまうということに気付いたようです。さすが、理解力はバッチリ。

というわけで、作戦開始から2週間ほど経ちました。

人間そう簡単には変わらないもので、相変わらずいろいろな物をほったらかしのままにするので、それをせっせと夫婦で片付けています。ただ、今までだとそのやってもらうことに対してあまり反応がなかった次女は「あ!ヤバい」と言って近づいてきて「やるやるやるやる!」と自分でやるようになってきました。「全ては未来の自由のため」と言えば聞こえはいいですが、本音は「ダメな子にさせられる」という得体の知れない危機と戦っているようです。

また、この作戦の副産物は、我々がいちいちイライラしなくなったこと。ほったらかしのティッシュを見ても、「これ捨ててよ!」と言う前にすぐさまこちらで回収してゴミ箱へ。そして、「しめしめ、これでまたダメな子に近づいた」とほくそ笑むことができます。本音ではありませんが。とにかく精神衛生上はとてもいいのです。

この先、次女がどうなっていくかは神のみぞ知るところ、いや実は神もよく分かっていないのかもしれません。

少なくとも親としては、次女の性格や大事にしているポイントを観察した上で、自立に向けてどう促していくことが効果的なのかを考えていこうと思います。おそらくこの作戦もそのうち慣れてしまうと思うので、いたちごっこにはなるでしょうが。

きっと今はまったく予想していない未来が待っているでしょう。
出来れば「いい方向での予想外」であることを願うばかりです。

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。
兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。
19歳と11歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。
地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「主夫の友アワード」「娘のためのパパ家事スクール」「パパ家事サイエンス」「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向けスクール「スゴパパ工場」工場長。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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