モンテッソーリ教師あきえさんとSHELLYさんが、子育て対談! 子どもの「自ら育つ力」を信じ、環境を通して助けていくことが大事!
提供:日本新聞協会

小学館の子育てメディア「HugKum」では、モンテッソーリ教師あきえさんと、タレント・SHELLYさんによるオンライントークショーを2025年7月19日に開催しました。テーマは「子育ての"正解"ってなに?~迷う親に届けたい、子育てを助ける『モンテッソーリ流マインドセット』~」。子どもの好奇心を引き出す環境づくりや親の行動、自己肯定感を高める声かけのコツを紹介します。
※&あんふぁんでは、HugKumの記事を一部抜粋して紹介します
モンテッソーリ教育の理念は、子どもの育ちを環境作りで助ける
SHELLYさん:モンテッソーリ教育とは具体的にどんな教育方法で、何が他と違うのか、詳しく知らない人のためにも教えていただけますか?
あきえさん:みなさんがモンテッソーリ教育という言葉を聞いて抱くイメージは「子どもの自立を助ける」「有名人が受けた教育」などが多いかと思います。必ずしも「知育」や「早期教育」という考え方に基づく教育法ではありません。
モンテッソーリ教育では、子どもの「自ら育つ力」を尊重し、周りの大人が環境作りを通じてサポートするという考え方を大切にしています。今から110年ほど前に、イタリアの女性医師、マリア・モンテッソーリが築き上げた教育法です。彼女はたくさんの子どもたちを観察する中で「どの子も自ら育つ力を持っている」ということを発見しました。
子どもは与えられた環境からいろいろなことを自ら学び、自分を発達させていく力を持っています。歩くことも言葉を発することも、大人が教え込まなくても自然と体得しますよね。子どもは自分に必要なことを吸収し、自立の方向へ発達させていく力があるんです。
モンテッソーリ教育では、大人が子どもに一方的に教え込むのではなく、子どもの育ちを環境を通して助けていくことを重視しています。子どもがその力をいかんなく発揮できる環境を、私たち大人がどれだけ用意できるかが大事なんです。
SHELLYさん:私も3人の子どもがいます。子どもが育つ「環境を整える」ってそれ自体が大変でもあるんですが、大人の重要な役目だと毎日実感しています。
あきえさん:環境がしっかり整っていると、子どもは自立(自律)していきます。この自立(自律)には2種類あって、一つは自分のことが自分でできるという意味の「自立」。ただ、何でも子どもに一人でやらせるということではなく、時には甘えたり、助けを求めたりすることも自立に含まれます。
もう一つは、感情や行動、欲求をコントロールする「自律」です。この2つの自立(自律)を成し遂げられるように助けることが、モンテッソーリ教育の特徴です。
親のまなざしとしては、子どもを育ててあげているという上下関係ではなく、一人の人格ある人間として対等に捉えることが基本になります。主役はあくまで子どもで、私たちは黒子のように導いていくガイド役なんです。
「この教育法だ!」2人がモンテッソーリ教育に出合ったきっかけ
SHELLYさん:あきえさんは、お子さんが生まれたことがきっかけでモンテッソーリ教育に出合われたんですよね?
あきえさん:はい。もともとは公立の幼稚園で働いていたのですが、行事に追われ、大人の都合で子どもがカリキュラムに当てはめられている感覚がすごくありました。そんなときに長女が生まれ、初めて抱っこしたときに「唯一無二ってこういうことなんだ」と実感したんです。そして「子どもが尊重されない教育が当たり前なのはおかしい」「もっと子どもが尊重される社会を作りたい」と強く思い、独学で勉強する中でモンテッソーリ教育に出合いました。
SHELLYさん:私も娘を保育園に預けていたとき、先生たちは愛情たっぷりですごくありがたいんですけど、「先生たち大丈夫かな」って心配になるほど行事も連絡事項も多いと感じました。カリキュラムだからやらなきゃいけない、というところもあるのかなと感じます。
私の場合は、長女がとにかく元気で活発なチャレンジャータイプだったんです。それを見た私の姉が「あなたの子どもは多分モンテッソーリがいいよ」と教えてくれて。調べてみたら、「宿題がない、成績がない、試験がない」と出てきて、めっちゃいいじゃん! と(笑)。
あきえさん:いいですよね(笑)。

SHELLYさん:もちろん、そこからちゃんと勉強して、好奇心を大事にするとか、問題があったときに自分たちで解決させるとか、人間として大事なことを教えるという考え方がすごくいいなと思ったんです。長女に合っていると思って選んだんですけど、結果的に、どんな子にも合う教育なんだなと実感しています。この年齢になったらこれをする、がないのが良いですね。得意な子はどんどん進めるし、ちょっと苦手な子は自分のペースでできる。
あきえさん:おっしゃる通りです。その子のペース、その子のらしさが保証されているので、どの子にも合うと思います。
モンテッソーリ教育で実感! 親もラクになる「環境作り」
SHELLYさん:子どもにモンテッソーリ教育を受けさせて、もう本当にわかりやすく「自立」しているなと実感します。自分でできるようになる方の自立ですね。うちは次女が4歳になってから、子どもたちの朝ごはんはノータッチです。全部自分たちで作って、勝手に食べています。
あきえさん: お子さんが自分で? すごい!
SHELLYさん:これはまさにあきえさんがおっしゃっていた「環境作り」の賜物です。環境作りが大事だと知って、子どもたちの食器や朝食の材料を子どもが自分で取れる場所に置くようにしたんです。冷蔵庫の低いところに入れたり、踏み台を置いたり、子ども用の食器を可動式のワゴンにまとめたり。
自分でできるシステムをこっちが準備したら、本当に勝手にやってくれる。朝ごはんを作りなさいなんて言わなくても、たぶん園や学校でいろいろやるのが楽しいから、家でもやりたいんでしょうね。教育としてもいいですけど、親としてもすごく楽です。
あきえさん:本当におっしゃる通りで、環境さえ整っていればできることはたくさんあるんです。「自分でできた!」という成功体験が、自信につながります。マリア・モンテッソーリの言葉にも「子どもが自分でできることを大人がやってあげることは、子どもの成長を邪魔している」というものがあります。
私も、子どもが持つ「自ら育つ力」をどうすれば発揮できる環境を作れるか、ということを日々大切にしています。

子どもの世界を広げる、新聞の意外な活用法
SHELLYさん:家庭でできることで、あきえさんが意識していることがあれば教えてください。
あきえさん:長女が今9歳で、活字が大好きな子なんです。1日10~20冊くらい読んでしまうので、本の用意が追いつかない。図書館も毎日は行けないですし。そこで子ども新聞を愛読しています。私も、なるべく本や大人向けの新聞は紙で読むようにしています。
SHELLYさん:親が本や新聞を読んでいる姿を見せることって大事ですよね。生活の一部として当たり前にやっている姿を見せることが重要だと思います。
あきえさん:そうなんです。スマホだと親が何をしているのかわかりませんが、新聞を読んでいたら「お母さんは新聞を読んでるな」と、何も言わなくても子どもはわかります。
私が「へぇ、そうなんだ~」って声に出して読んでいると、長女が「なになに?」って寄ってきて、そこから会話が深まることもあります。その場で何かにつながらなくても、子どもの中に「あのとき、お母さんがなんか言ってたな」と残ることが、いつか学習の中で結びつくかもしれない。社会問題に自然と興味を持つきっかけにもなります。
それに、新聞は自分が興味のない情報にも向こうからプッシュしてくれます。自分の好みの情報ばかりが寄ってくるネットとは違って、偶然の出合いがあるのがいいですよね。新聞記事はファクトチェックされているし、公平性が担保されている媒体だと思います。
あきえさん:さらに、新聞は子どもの知的好奇心を引き出すツールにもなります。例えば、ひらがなを覚え始めた子と「あ」の字を探して丸をつける遊びをしたり、興味のある記事を切り抜いてスクラップしたり。新聞紙でテントを作ることもできます。暑くて外に出られない日など、家でできる遊び道具としても活用できます。子どもの「やってみたい」という意欲、つまり「内発的動機付け」を引き出すための環境作りの一つになりますね。
SHELLYさんとあきえさんの対談について、さらに詳しく読みたい方は下記をチェック
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