2学期の友達関係のトラブルは「あってもいい」のです!

小学校の先生の経験者であり、自身もママとして子育てに奮闘する4人によるリレーコラム「ママ先生といっしょ」。先生目線で、ときにママの目線で。入学準備や、入学後の困りごとや悩みの解決方法の糸口を探ります。苦しいことがあっても、笑顔で突き進めるヒントが見つかるかも。今回はりな先生。夏休み明けの登校しぶりや不登校についてです。
「友達とトラブルを起こさないで」と願う保護者の方もいるかもしれません。元教員としては「30人子どもがいたら、トラブルは起きやすい」と感じています。もちろん事前に指導はしますが、「起きた時にどう対応すればいいか」を学ぶ機会でもあるのです。
トラブルがあっていい、ってどういうこと?
例えばAくんとBくんのやりとりがトラブルになったとします。AくんがBくんに「A、ばかじゃないのー?」と冗談のつもりで話しかけましたが、Bくんは怒り、Aくんを叩きました。教師が間に入り、Aくんは「冗談のつもりでも言ってはいけない言葉がある」と学び、Bくんは「怒っても叩いてはいけない」と学びます。友達との関わりがあるからこそ、こうした学びが得られるのです。学年が上がるにつれてトラブルは複雑になりますが、そのたびに解決することで、少しずつ社会性を身につけていきます。
また、トラブルが子どもの心の状態を教えてくれることもあります。急にトラブルが増えた時に家庭へ連絡すると「お父さんの単身赴任が決まった」「お兄ちゃんが受験を控えていて構ってもらえない」「習い事をいくつもしている」など、保護者の方や子ども自身も、気付いていないストレスが背景にある場合もあります。
このように、社会性を育むうえでも、心の状態を知るうえでも、トラブルには一見悪い面だけでなく、学びのきっかけになる面もあるのです。
大切なのは、「トラブルをトラブルで終えない」、「次はこうするという引き出しを増やす」こと
トラブルが起きた時、「納得できない」「スッキリしない」という終わり方では、成長の機会になりにくいものです。教員時代は、けんかの指導が終わった後に「まだもやもやしていること、あるかな?」と確認し、しっかり話を聞くようにしていました。「こういうトラブルになったけど、何が良くなかったのか」を振り返り、
学びのある終わり方にしたいところです。
また、同じようなトラブルを繰り返さないために「次はどうするといいと思う?」と子どもに考えさせることも大切です。「こうするとよかったね」と大人が教えてしまいがちですが、ここは子どもが考えるチャンス。子どもから出た意見を肯定したり、一緒に考えようと提案したりすると、次につながるヒントになることがあります。
トラブルが「なければいい」にも注意?
「とはいえ、やっぱり、ない方がいい」と考えるのは自然なことです。私もいち保護者として、平和に過ごしてほしいという気持ちはあります。もちろん、本人も周りも楽しくて、何事もない状態が理想です。
ただ、気をつけたいのは「何事もない」が本当に何事もないのかという点です。表面化していないトラブルも、実はあります。「友達に強く言われたのが嫌だったけど、ずっと我慢していた」「登校班の上級生にいたずらをされたが、内緒にするよう言われた」など、本人が我慢したり言い出せなかったりするケースです。こうした場合、発覚はより遅くなります。では、どうすればトラブルの有無が分かるのでしょうか。
「普段との比較」、会話
ポイントは「普段との違い」に気付くことです。帰宅後の表情や気分、食欲、宿題に取り組む様子、寝つき。本人が隠そうとしても、時にそうしたサインが出ることがあります。お互いが落ち着いている時に「何か困っているように見えるけど、どうしたの?どんなことでも聞くよ」と声をかけると、話しやすいでしょう。
また「普段から5分でもいいから話をすること」も大切です。私自身、スマホをいじっていて何分も経っていた…ということがあります。その時間、何も触らず通知音が鳴っても気にせず、「あなたの話だけを聞く時間」として会話を大切にしたいと思います。トラブルの有無にかかわらず、日常的に「話せる状態」にしておくことが、未然防止にもつながります。