「朝学習」がよいって本当!? 効率よく勉強ができる時間帯はあるの?

「朝学習」がよいって本当!? 効率よく勉強ができる時間帯はあるの?

「朝学習がよいと本で読みました。さっそく実践しようと思いましたが、わが子は朝が弱く、眠そうでとても勉強どころではありません。それでも朝に勉強する方がよいのでしょうか? 効率よく勉強ができる時間帯はありますか?」と小学3年生の保護者から質問がありました。大人も「朝活」がブームになりましたが、子どもの勉強時間についても同じことが言えるのでしょうか。
子ども一人ひとりに最適なレッスンと苦手のフォローをしてくれる話題のタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さんにお話を聞きました。ぜひ今後の学習時間の参考にしてくださいね。

朝型の方が効率がよい傾向はある

私たちRISUの子どもたちの学習データを分析すると、確かに朝型の方が効率がよいという傾向はあります。

この調査では、朝型の定義は午前10時まで、夜型は18時以降、夜更かし型は20時以降という学習時間帯で子ども達を分けて比較しています。夜型、夜更かし型と時間帯が遅くなるにつれて、朝型に比べ学習スピードも継続力も落ちています。「夜更かし型の子」は「朝型の子」を100とした場合、学習スピードは73%、継続力は48%という結果でした。
朝型の方が効率がよいのはどうしてか、考えられるのは次のような理由です。

朝型のメリット1:朝は脳が一番整理されている

人間の脳は、寝ている時に1日にあった出来事を整理する仕組みになっています。寝ている間に体の疲れも脳の疲れもリフレッシュされるため、朝の学習は内容が気持ちよく頭に入るのでしょう。

朝型のメリット2:朝は勉強の習慣がつきやすい

朝は急な予定が入らないため、毎日の勉強習慣をつけるのに丁度よい時間帯と言えます。放課後の勉強は、習い事や友人からの遊びの誘いなどで毎日同じペースを刻むというのは難しいものです。勉強を習慣化することで脳は復習し、忘れかけていた記憶を定着させますから、習慣化が効率UPの要因になっていると考えられます。

朝型のメリット3:朝は静かな環境を作りやすい

朝は、1日の中で一番静かな環境を作りやすい時間帯と言えます。夜は面白いテレビ番組をやっていたり、スマホが鳴ったり、料理やお風呂タイムがあったりと、生活が賑やかですよね。
夕方から夜にかけては子どもにとって誘惑が多い時間帯ですが、朝は誘惑に邪魔されず集中できる環境を用意しやすいため、学習がはかどるのです。

あなたは朝型?夜型? 得意な時間帯は遺伝子的に決まっている

このようにデータ上の分析では、朝型が1番効率のよい結果となっていますが、では全員が朝に勉強すればよいかというと、そうとは言い切れないところがあります。
なぜなら、相談にもあるように朝が弱い子どももいるからです。
大人でも「自分は朝早く起きるのは得意だが、夜になるとどうしても眠くてとても夜更かしできない」という人もいれば、「朝は弱くてなかなか起きられないが、夕方から頭が冴えて夜は集中できる」という人もいると思います。

国際的な学術雑誌「Nature Communications」によると、人は得意不得意ではなく遺伝子によって、朝型人間か夜型人間かが決まっているのだそうです(※「Nature Communications」関連記事)。人には1日のリズムを作る「体内時計」がありますが、その体内時計をコントロールする遺伝子の数によって、朝型か夜型かが決まります。

朝が弱い子は遺伝子が「夜型」な可能性も

もしわが子が朝が弱いタイプなら、夜型の遺伝子をもっているのかもしれません。もしそうであれば、朝にボーッとした脳で勉強するよりも、夕方の時間帯の方が頭は冴えていて効率よく勉強できるはずです。
いつもわが子のことをよく見ている保護者から見て、朝は眠そうで勉強どころではなさそうだと感じるのであれば、朝型を強要する必要はありません。いろいろな時間帯を試しながら、わが子のやる気が上がっているベストな時間帯を探すことが大切です。

夜更かしはあまり効果が上がらない

ただし、データからも、特に夜8時以降の「夜更かし型」の勉強方法は、あまり効率が上がらない結果が出ています。夜8時ともなれば起床から12時間以上経過している時間帯ですから、好奇心旺盛で刺激的な毎日を過ごしている子どもにとっては、とても疲れが溜まる時間帯なのかもしれません。わが子が夜型の体質であっても、夜遅い時間の学習はあまりおすすめできません。
また、体が大きくなる時期ですから、健康面から考えてもしっかり睡眠時間を確保することは大切です。眠たい目をこすって「何時間勉強したか」で学習成果を測るよりも、質の高い短時間のほうが学力に結果が出たりします。夕方から夜は家事で忙しい時間帯ではありますが、特に子どもが小さいうちは夜8時には学習を終えて、就寝に向け落ち着いた時間を確保したいところです。

朝でも夜でもOK! 15分の習慣作りがおすすめ

朝学習のメリットには習慣化しやすいことが挙げられましたが、夕方学習、夜学習でも上手に習慣化するコツがあります。
おすすめの方法は「15分の習慣作り」です。朝であれば起きてからの15分、夕方のご飯までの15分、お風呂の後の15分など。生活リズムに合わせて15分の時間を確保します。その15分を「○○タイム」と呼んで習慣化し、毎日の学習を積み上げていきます。

学習内容は、例えば次のようなものです。
・タブレット学習タイム
・ドリルタイム
・Englishタイム
・読書タイム など

子どもの興味や習得したい力によって、ほかにも「○○タイム」があるかもしれません。毎日の進捗を表に記録したり、取り組めた日はカレンダーにシールを貼ったりするなどの工夫をすれば、より楽しく学習を進められるはずです。内容や時間帯をお子さんと話し合って、生活の中に取り入れてみてください。

育児本で読んだ通りがうまくいくとは限らない

今回は、効率のよい学習の時間帯についてお伝えしました。朝型は効率がよいというデータ上の結果はあるものの、全員が当てはまるわけではないというのが今回の結論です。

相談例にあるように「本でよいと読んだから」という理由で試してみるのは悪いことではありませんが、試してみたけれど何か違う、わが子には合わないという結果になるのはよくあることです。朝型か夜型かに限らず、育児本の通りにうまくいかなかった場合に、それでも「本によいと書いてあるから絶対よいはず!」と子どもに無理強いをしてしまうと、子どもも家庭全体もだんだん苦しくなってしまいます。

子どもの様子と気持ちを優先してよく話し合おう

大切なことは、本の内容よりもわが子の様子がどうか、という点です。特に個人の体験談を綴った育児本は、たまたまその子の気質にうまく合った例であり、同じ方法がすべての子どもにとってうまくいくとは限りません。あくまで本は参考程度に。本の内容に子どもを当てはめようとするのではなく、目の前のわが子の様子と気持ちをよく見てあげることが大切です。
その意味では、今回のテーマである最も効率良く勉強できる時間帯とは「わが子のやる気がベストの時間帯」ということになります。まずはいろいろな時間帯での学習を試しながら、お子さんとよく話し合って、それぞれの家庭の生活リズムに合ったベストな時間帯を探してみてください。

今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
タブレット教材「RISU算数」

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担当カテゴリー

学び・遊び・教育

算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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