図鑑に興味を示さない…親ができることとやってはいけないこと
『4歳の子どもの親です。祖父母が図鑑のセットを子どもにプレゼントしてくれました。せっかく買ってくれたのに、子どもは興味がないのかまったく読もうとしません。どうすれば読んでくれるでしょうか?』
この相談と同じように、学びのきっかけになる「図鑑」に興味をもって読んでほしいと思う保護者は多いのではないでしょうか。この子はなぜ図鑑を読もうとしないのでしょうか? またどうしたら自ら図鑑を開くようになるのでしょうか?
子ども一人ひとりに最適なレッスンと苦手のフォローをしてくれる話題のタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さんにお話を聞きました。
どうして図鑑を読まない?考えられる理由は3つ
子どもが図鑑を読まない理由として考えられるのは、次の3つです。
まだ興味をもつ時期ではないから
子どもの成長には個人差があります。どの子も興味をもつタイミングはあるので、まだ興味を示さないのであれば少し待ってみることもひとつの方法です。同級生の子が図鑑に熱心でも「うちの子は?」と不安に思う必要はありません。
RISUの子ども達の学習データを見ても、突然、課題に取り組み始めて、結果が一気に伸びる子どもは多数見受けられます。それぐらい子どもの興味は「気まぐれ」ですし、逆に吸収するときにはすごい力を発揮するものです。
子どもが興味をもったタイミングで保護者に話しかけてくることもあるでしょう。大切なのは、そのタイミングを逃さず、しっかり聞いて答えてあげることです。
図鑑派or物語派、どっちのタイプ?
子ども向けの本は、大きく「図鑑」と「物語」に分かれます。そして、子どもの好みによって、「好きだ、おもしろい、読みやすい」と思う本の傾向も分かれるようです。ある子は、物語が好きで、絵本を読んでもらうのが好きだと言います。例えば「野菜の不思議」という話があるとすれば、図鑑のように写真と解説で示されるより、“大根ちゃん”が成長する様子を物語にした絵本の方が読みやすいようです。
反対に、物語として長い文章を読むよりも、図と単語で端的に示される方が一目で理解できておもしろいと感じる図鑑派の子もいます。お子さんはどちらのタイプでしょうか? 図鑑に興味がないのは、物語が好きだからかもしれません
興味のない分野だから
もうひとつ考えられるのは、図鑑の内容が(今のところ)興味のない分野だからという理由です。図鑑は昆虫、魚など特定のテーマについて深く知識を得られる構成になっているため、浅く広い内容ではありません。ですから、「読むことで興味をもつ」よりは「興味をもってから読みたくなる」本であり、保護者が「興味をもってほしいから読ませたい」と思うのは矢印が反対向きの行動になってしまいます。
興味のないものを無理に読ませようとするのは逆効果で、ますます図鑑がおもしろくない印象になります。まずは図鑑以外のところから、図鑑を読んでみたくなるぐらい興味をもたせるのが近道です。
わが子の好きなこと、興味を探る3つの方法
図鑑に興味がないからと諦める必要はありません。まずは子どもの「好き」や「興味をもつこと」を探ることから始めましょう。次のような方法で子どもの興味を探ることができます。
子どもの遊び方を観察する
子どもを室内や公園などの屋外で自由に遊ばせて、その様子を観察してみましょう。部屋遊びでは、ミニカーやブロック、ままごと、折り紙などどんな遊び方をするでしょうか。同じミニカーでも、車種に興味をもつ子もいれば、機械的な構造が好きな子もいます。構造が好きな子は、“ピタゴラスイッチ”のような遊び方も好きだと思います。
外遊びはどうでしょうか。走り回って体を動かすのが好きな子もいれば、虫や花に興味を示す子もいます。工作やままごとなど作る遊びが好きな子は、公園でも砂場で何かを作る様子が見られるかもしれません。
本以外の方法から入る
本以外の方法から興味を探ることもできます。たまたまついているテレビ番組やCMで、お子さんが興味深くジッと見ているものはありませんか? お手伝いはどうでしょうか。料理ならおもしろがって手伝ってくれる子、洗濯や掃除が楽しい子、花に水をあげるのが得意な子。ひと言で「お手伝い」と言っても興味の方向はさまざまです。
YouTubeは自動的に関連動画をピックアップしてくれます。好きそうな分野が見つかったら、関連性をタテヨコに拡げて興味を探ってみてはいかがでしょうか。
図書館に連れて行く
図書館におでかけするのもおすすめです。図書館の本は情報が古いと思う人もいるかもしれませんが、広く浅く興味を探るにはとてもよい施設です。本棚が分野別になっているので、まずは館内を歩いて子どもの興味を引くジャンルを探してみましょう。
複数の本が一度に借りられるのも図書館のいいところ。借りてみて、もし子どもがまったく興味を示さなくてもお財布は痛くありませんから、気軽にいろんなジャンルの本を借りてみることができますね。
子どもの興味を伸ばすために親ができることは?
子どもの興味が見つかったら、「もっと知りたい!」と思う気持ちが学びの種となり育っていきます。図鑑も自分から読んでみようと思うかもしれません。もっと知りたいと思う気持ちを育てるために、保護者ができるのはどんなことでしょうか。
子どもの話をよく聞く
子どもは分かったこと、できたことを保護者に報告するのが大好きです。「聞いて聞いて!」「見て見て~!」と駆け寄ってくるのではないでしょうか。忙しいときにはつい「ちょっと待って」「あっち行って」「あとにして」と言いたくなるときもありますが、できるだけ面倒がらずに話を聞いてあげてほしいです。
保護者がおもしろがって話を聞いてくれたり、興味をもって一緒に調べてくれたりすると、子どもはうれしくて学びたい意欲を大きくします。また、他人に教えることは知識の定着にも役立ちます。子どもの説明を引き出すような質問をしてあげることも効果的です。
実物に触れに行く
図鑑がおもしろくなってきたら、実物に触れに行く経験があるとより学びが深くなります。動物や魚は、動物園や水族館といった施設へ行かないと見られないので、おでかけは大きなイベントになってしまいますが、虫や植物、鳥などは近くの公園でも観察することができます。乗り物図鑑が好きな子は、電車やバスに乗ってみたり、街の工事現場で(離れた安全なところから)重機を見たりすることもできますね。
実物が難しいときは、YouTubeなどのメディアを活用すれば動いている姿を見ることができます。図鑑は動きませんから、図鑑から発展してさらに興味を引き出せるとよりよいでしょう。
どうしても興味をもたせたい分野があるときは?
子どもにどうしても興味をもたせたい分野があるときは、どうしたらいいでしょうか。保護者が強制して「これを読みなさい」と言っても、子どもはつまらないし、図鑑をキライになってしまうでしょう。読んでいても、きっと内容が頭に入らないですよね。
そんなときは、親がおもしろがって図鑑を読む姿を子どもに見せる方法がおすすめです。「これ、すごいんだよ!」「見て!かっこいいから好きなんだよね」。厳しく読ませようとするよりも、保護者が図鑑にワクワクしている様子を見せるほうが、子どもの興味を引くことができますよ。
図鑑で知りたい気持ちを育てよう!
今回は子どもに図鑑に興味をもたせる方法についてお伝えしました。なかには図鑑が好きで暗記する子も見かけます。子どもの興味と知りたい意欲は素晴らしいものだと感心しますが、だからと言って、そうでない場合にわが子も!と「図鑑の暗記」を強いる必要はありません。
今は知りたくなったらスマホで調べられる時代です。道端で写真を撮って、その場でスマホを使って調べることもできます。図鑑はあくまできっかけに。親子でコミュニケーションを楽しみながら、子どもの知りたい気持ちを育てましょう。
■教えてくれたのは
今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
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学び・遊び・教育
算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆
RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。