「できた!」の小さな一歩を大切にする音読の宿題サポート

2学期は行事が多く、さらに一番長い学期とも言われています。お子さんも日々の学校生活の疲れが出やすい時期です。親子ともに疲れがある中での宿題サポート。その大変さは計り知れません。そんな「音読の宿題」サポートについて、今回は少しでも助けになれればとコラムを書きました。
音読が大切な理由とは?
音読は「目で文字を読み取るインプット」と「声に出して表現するアウトプット」を同時に行う学習です。読むことで前頭葉が働き、記憶や言語を司る側頭葉も使われ、脳のさまざまな部分が活発になります。さらに、声を耳で聞き、自分の口で言葉を確かめるので、五感を使った学びにもつながります。だからこそ、音読は国語だけでなくさまざまな教科で大切にしたいと教師として思っています。短い文章を毎日声に出すだけで、子どもは確実に力を伸ばしていきます。「ただ読むだけ」に見えても、実はとても奥の深い学習だからです。
スモールステップのサポートを!
音読が苦手な子には「スモールステップ」が大切です。もしまだ文字が読めない場合は、大人が一緒に読んで聞かせてあげるところから始めます。学校の学習でも聞いたり、繰り返したりという学習はしていると思いますが、人間は忘れる生き物です。記憶するためには何度もアウトプットすることが大切です。特に教科書の文章は整っているので、覚える過程で正しい言葉の使い方も身に付きます。目で文字を追うのが難しい子には「眼球運動遊び(※目を動かす遊び)」がおすすめです。たとえば、ペン先を上から下にゆっくり動かして目で追わせるだけでも、読む力の土台になります。「全部できなくても大丈夫」。一歩ずつ段階を踏むことで「できた!」という達成感が積み重なり、少しずつ音読が楽しいものへと変わっていきます。
できたところを認める声掛けを
「文字は読めるのに途中で止まってしまう」「どこを読んでいるのかわからなくなる」という子もいます。そんなときは、読んでいない部分を紙で隠し、読む場所を絞ってあげると集中しやすくなります。また、文章を大人が「ここで区切ろう」と声をかけて一緒に練習するのも効果的です。読む場所が見えるようになると、子どもは安心して、スムーズに読み進められるようになります。大切なのは、短く区切ったところまででもよいので、読めたときに認める声掛けをすることです。「一人で読めたね」「すごく聞きやすかったよ」など、できた部分を見付けて大好きなおうちの人に褒められたら、それがお子さんの自信につながります。
好きな話を読んで「読むのが楽しい」という体験を
音読といえば教科書、と思いがちですが、短いお話や好きな絵本も立派な練習になります。特に苦手な子こそ、学校の教科書で「やらされている音読」は嫌な記憶として残ってしまうこともあります。読めないからとたくさんやるよりも、宿題が負担になる子には短い文や好きな本を何度も繰り返して読むのがおすすめです。今はキャラクターものなど、お子さんの好みに合う面白い本もたくさん出ています。「これなら読める」という体験が、子どもの自信を支えます。大切なのは「読む楽しさ」です。きっとこの記事にたどり着いてくださったおうちの方は、お子さんとしっかり向き合っている方です。音読の宿題をサポートし、向き合う時間そのものが、きっとお子さんの見えない根っこを育てています。いつも最後までお読みいただきありがとうございます。