知らないうちに算数が得意になるちょっとした工夫【おでかけ編】
子ども一人ひとりに最適なレッスンと苦手のフォローをしてくれる話題のタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さん。小学校になるとひとつの科目として勉強が始まる算数ですが、算数を得意にするきっかけ作りはお子さんが小学校に入学する前からでも、日常生活のなかで取り組むことができます。今回は、前回に続き、日々の生活の中でも実践できる「日常生活のなかで知らないうちに算数を得意にする方法」をお伝えします。2回目は【おでかけ編】です。
■【家庭編】はこちら
子どもにとっておでかけは、ワクワクがいっぱい!
子どもにとっておでかけは、大人以上にワクワクするイベントでしょう。家の中では体験できないことが外の世界にはたくさんあります。子どもがワクワクする気持ちの正体は、好奇心ではないでしょうか。子どもは自分のまだ知らないいろいろなことに興味をもちます。その知りたい気持ちを学びに活かさない手はありません。
算数もほかの科目でも、知りたい!と思ったときが勉強を楽しいものにするチャンスです。実際に見たり触ったり、五感をフル稼働して学べることが、おでかけの醍醐味と言えるでしょう。
好奇心があれば子どもは勉強させようとしなくても自分から学ぶ
子どもが小さいうちは、保護者が勉強をさせようと思っても、「その気にさせて」「机に座らせる」だけでもひと苦労だと思います。まわりのお子さんが就学前からひらがな50音を覚えていたり、すでに足し算引き算ができたりすると、『うちの子はまだできないけど大丈夫かな、市販のドリルを買ってやらせたほうがいいのかな』と不安になるかもしれません。
ですが、特に小さいうちは好奇心が強くじっとしていられない時期ですから、机の上での勉強にこだわる必要はありません。遊びやおでかけを通して学べることはたくさんありますし、何より大切なのは『あれはなんだろう?』『もっと知りたい!』と子ども自身が自分から学びたい気持ちになる“姿勢作り”ではないでしょうか。
実際、南カリフォルニア大学では、好奇心の強い子どものほうが、数年後にIQが高くなるという研究結果も出ているのです。
https://www.katsuiku-academy.org/media/curiosity/
おでかけで算数が学べるのはどんな場面?
では、今回のテーマである「日常生活のなかで知らないうちに算数を得意にする方法」について、具体的におでかけのどんな場面で算数の学びにつなげることができるか、アイデアをご紹介しましょう。
1.買い物に連れて行き、現金で支払いを
おでかけの中でまず思いつくのは「買い物」でしょう。普段立ち寄るスーパーマーケットに、お子さんを一緒に連れて行く機会も多いのではないかと思います。
ここ数年、キャッシュレス決済の仕組みが急激に発展しました。「ピッ」とやれば会計が終わるので非常に便利な時代になりましたね。ですが、子どもと一緒の際にはできるだけ現金で買い物をすることをおすすめします。
お金を渡して品物選びから任せてみる
おすすめは会計の場面だけでなく、品物を選ぶところから子どもに任せてみることです。例えば、予算として1000円を渡し、子どもにお任せでカレーの材料を揃えてもらいます。最初に1000円という予算があることで、足し算だけでなく引き算の勉強にもなります。少し大きい子であれば消費税のありなしで値段表記が2つあることや、割引シールで値段がどう変わるかなどを計算することもできます。
大切なのは算数に触れて楽しむことですから、暗算を強要する必要はありません。小さい子には電卓を持たせてみてもいいですね。電卓を使うと頭で考えなくなるのでは?と思われるかもしれませんが、電卓に入力するために式を考えたり、桁が変わる様子を見たりするだけでも十分学びにつながりますよ。
2.公園で遊ぶ
公園も定番のおでかけスポットです。公園でできる算数の学びはどのようなものがあるでしょうか。
小さい子は、「かくれんぼ」や「だるまさんがころんだ」といった遊びで1から10まで数を数える場面があります。どんぐりや松ぼっくりを親子で拾って、どちらがいくつ多く拾えたかを数えて勝負するのも楽しいですね。
自然の中に隠れている図形を探そう
自然観察もおすすめです。自然の中には、実はいろんな図形が隠れています。似ている形を集めたり、写真を撮ったりしてみましょう。何か共通点や法則性が見つかるかもしれません。
Eテレの子ども向け番組で放送されている「ミミクリーズ」をご覧になったことはありますか? 子ども達の好奇心をくすぐる楽しいテーマが取り上げられています。公園へおでかけする前に、参考にされてはいかがでしょうか。
■NHK for School「ミミクリーズ」
3.旅行に行くとき
ときには遠くまで旅行へ行くような、大きなおでかけをする機会があるかもしれません。普段なかなかできない経験ですから、旅行前から親子でワクワク感を楽しみましょう!
体験と結びついた知識は忘れにくい
地図で距離を測ったり、目的地まで電車や自動車での所要時間を考えたり…家族でスケジュールを立てながら、距離(道のり)・時間・速さの勉強ができますね。旅行のいいところは、このように考えてみた“仮説”に対して、忘れないうちに“実際はどうか”を体験できるところです。ただ知識として覚えるだけでなく、体験と結びついた知識は忘れにくくなります。
小さい子に時速何キロといった話は難しく、その場ですべてを理解することはできないかもしれません。ですが、車より電車の方が速い、新幹線はもっと速い、1時間あればどこまで進める、という程度の理解でも、体験とともに覚えることができれば、小学生になってから授業で習ったときに『あのときの話はこういう意味だったんだ!』と記憶を辿って結びつけることができます。算数はイメージする力が大切なので、このような経験は大きく役に立ちます。
4.スポーツ観戦をする
運動が好きな子は、スポーツ観戦も楽しい学びにつながるでしょう。スポーツの勝ち負けは得点やタイムで決まります。どちらのチームが何点リードしているか?を考えるのは引き算の要素が含まれています。バスケットボールは1ゴールでも2点、3点と、得点は1ずつではない数字の増え方をします。
観戦しながら数字を意識した会話を増やす
サッカーの試合の残り時間は減っていく数字を体感することができます。陸上や水泳のタイムは、コンマ何秒の表記。小数を使った数字です。このようにスポーツ観戦は算数の学びにつながる要素がたくさんあります。テレビでもおでかけでも、「今のところ2点リードしているね」「0.02秒差で勝つなんてすごいね!」など、数字を意識した会話を増やしてみてはいかがでしょうか。
日常を学びの場にするために気をつけることは?
知らないうちに算数を得意にする方法について、【家庭編】【おでかけ編】とたくさん紹介してきましたが、パパやママに気をつけてほしい大切なポイントがひとつあります。それは「学びを強制しないこと」です。今回のテーマが、“知らないうちに”であるように、子どもはあくまでも日常生活の中にいて、暮らしや遊びの延長線上に自然と学びがあることが大切です。
保護者が「正しい答えを言うまでやる」「暗算でやる」などを強制してしまうと、お子さんは自分から知りたいと思う好奇心を失くしてしまいます。イヤイヤやるのでは本末転倒ですから、長い目で、親子で一緒に楽しむ気持ちを大切にしましょう。
お子さんが小さいうちは、まわりの子と比べず、その子のペースを信じることも必要です。焦らず、日常生活の学びにはすぐに成果を求めずに、将来に向けて「学びを楽しむ姿勢」を作るつもりで親子の時間に取り入れてみてください。
教えてくれたのは
今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
▶タブレット教材「RISU算数」
ナビゲーター
担当カテゴリー
学び・遊び・教育
算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆
RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。