ピザの切り分け方で「分数感覚」をつかむ、幼少期にできる算数準備

ピザの切り分け方で「分数感覚」をつかむ、幼少期にできる算数準備

算数が得意な子、苦手な子はどこに差があるのでしょうか。1つの要因として挙げられるのが「算数感覚」です。算数感覚は「数字とイメージを結びつける力」と言っても良いでしょう。好奇心旺盛な幼少期に算数感覚を磨いておくことは、後々の学習に大いに役立ちます。今回は「分数編」として、分数感覚を磨く方法をお伝えします。

算数の難所を攻略するために必要な「算数感覚」

算数感覚を身に付けるには、頭の中で具体的な状況をイメージする力が大切になります。算数が得意な子は、数字をただの数字として見るのではなくイメージと結びつけて、問題の意図や概念を感覚的につかむ力があるのです。

例えば「ひろしさんは、アメを10個持っています。3人の友達にアメを1個ずつあげました。残ったアメは何個ですか?」という問題があったとします。この状況をまずは具体的に思い浮かべることができる、ということが大切なのです。

例に挙げたのは簡単な問題でしたが、これは学年が上がり問題が難しくなっても同じです。引っ掛け問題としてよく出題される「長いす」の問題があります。「1クラス33人、全員が座るためには5人掛けの長いすが何台必要か?」というような問題ですが、具体的な状況をイメージできる子は、単に割り算をするだけではなく「余った3人のためにもう1台多く長いすが必要になる」と気付くことができます。

算数感覚を身に付けるカギは幼少期の経験

算数感覚が身に付いている子、つまり頭の中で数字とイメージを結び付けられる子は、幼少期の経験による「知識の引き出し」をたくさん持っています。算数の授業で初めて習うことであっても「あっ!これってあのときのことだ!」と経験の引き出しを開け、学習内容を結びつけることができるのです。

反対に言えば、幼少期のお子さんは今のうちに日常生活や遊びの中で算数に活きるたくさんの経験をしておけば、長い目で見たときに算数学習にとても役に立つということです。特に幼少期は好奇心旺盛な時期ですから、今のうちに「なぜ?」が「なるほど!」に変わる楽しい経験をたくさんできたら良いですね。

具体的な方法を紹介!分数感覚を身に付けさせる方法は?

ここからは、幼少期に具体的にどのような経験をさせれば良いのか紹介していきます。今回は【分数編】ということで、分数感覚を身に付けさせる方法をいくつかお伝えします。

分数はピザやケーキの切り分けで教える

分数感覚を磨くには、円いピザやホールケーキを切り分ける経験が最適です。ポイントは、「同じ大きさに切る」ということ。これが分数の考え方の基礎になります。例えば、次のような声掛けをします。
「家族はみんなで何人かな? 4人だね。じゃあ、ケーキを4つ同じ大きさになるように切ってくれる?」
小さいうちはなかなか上手く等分に切れないかもしれませんが、切り方がおいしいケーキをどれだけ食べられるかにもかかわるので、大きさの違いにも自然と敏感になるでしょう。
さらに、「これを4等分っていうんだよ」「この一切れを、4分の1っていうんだよ」というように声を掛ければ、子どもの中に美味しいケーキの思い出と共に4分の1のイメージができあがるのです。

折り紙で分数を教える

折り紙遊びも分数感覚に役立ちます。折り紙を半分に折れば2分の1、もう一度半分に折ると4分の1、さらに半分に折ると8分の1……ということですね。ピザやケーキで分数を教えるには、食べる機会があるときにしかチャンスがありませんが、折り紙なら遊び道具の1つとして引き出しに用意しておけば、いつでも学びに触れることができます。折り紙遊びは同時に図形や立体の感覚も磨くことができるので、算数感覚を身に付けるにはおすすめの教材です。

幼少期にどこまで教える?

幼少期にどこまで教えればいいかのポイントとして、大切なのは「イメージを教える」ことだと意識しておくと良いでしょう。例えば、ピザの切り分けで分数を教える方法をお伝えしましたが、実際にやってみると「4つに分けたピザを2つ合わせたら、半分と同じ大きさになるんだ」ということに何となく気が付く子もいるでしょう。

この感覚は「通分」のもとになるイメージですが、幼少期は「それを通分と言うんだよ」という難しい部分まで教える必要はありません。イメージができれば十分です。

おうちの方が頑張って難しいところまで教えようとしなくても、子どもは小学生になり初めて「通分」という言葉を習ったとき、「あっ!ピザのことだ!」と経験の引き出しを自ら開けていきます。幼少期はたくさんの引き出しの準備してあげるだけで良いのです。子どもの年齢より難しいことを教えなければと親が意気込む必要はありません。

生活や遊びの延長線で楽しく算数感覚を身に付けよう

今回は、算数が得意になるために幼少期からどのようにして算数感覚を磨くかというテーマについて、分数感覚を身に付けるための具体的な方法をお伝えしました。どの方法も生活や遊びの延長線で簡単に取り入れられるものだったと思います。
幼少期の学習は、親が無理強いをすると学習そのものを嫌いになってしまうことがありますから、形にこだわらず楽しく学ばせることが大切です。遊びながら算数感覚を身に付けておけば、小学校からの本格的な学習に大いに役立てることができます。ぜひ親子のコミュニケーションを楽しみながら、日々の生活に学びの要素を取り入れてみてください。
教えてくれたのは

■今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
タブレット教材「RISU算数」

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担当カテゴリー

学び・遊び・教育

算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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