【失敗しない入学準備】算数=計算ではない!先取り学習の進め方

【失敗しない入学準備】算数=計算ではない!先取り学習の進め方

「小学校に入学してから子どもが困らないように、算数の先取り学習をさせておきたい」と考える保護者の方は多いと思います。ですが、どんな教材を選べばよいか?どれぐらい先の学習をさせればよいか?など、先取り学習の進め方は悩ましい問題ではないでしょうか。今回は失敗しない先取り学習の進め方についてお話しします。

入学前に先取り学習をしておくと、なぜいいのか?

入学前の先取り学習は、勉強で自己肯定感を下げないための効果があります。自信を持って授業についていけることで、算数の授業により興味を持ち楽しく学ぶことができるという好循環が生まれるのです。詳しくは前回の連載記事:「年長ママ・パパ必見!自己肯定感を下げないための入学準備の進め方
でも紹介しました。

「入学前の先取り学習」と聞くと「基本的な足し算や引き算は入学前に完璧にしなければいけないのか?」と焦るかもしれませんが、その必要はありません。

「いい先取り学習」と「悪い先取り学習」

先取り学習の進め方には、色々な方法があります。せっかく先取り学習をするのですから、闇雲にやらせるよりも、しっかり効果がある方法で効率的に学習内容を身に付けさせてあげたいですよね。実は、算数の先取り学習には「良い先取り学習」と「悪い先取り学習」の2パターンがあります。その違いを見てみましょう。

先取り学習でよくある失敗パターン
闇雲に進めてしまう失敗パターンでよくあるのは、「算数を得意にさせようと計算ばかり覚えさせる」という方法です。特に、ご家庭で先取り学習をするときは、書店で手軽に買いやすい「計算ドリル」をどんどんやらせるという方法で進めがちです。

計算は言ってしまえば「同じ作業の繰り返し」なので、子どもは案外すいすい覚えられたりします。たくさんの計算問題を素早く解いていく我が子を見て、親は「うちの子はすっかり算数が得意だ!」と大喜び……しかし、この状況がいつの間にか子どもを「算数=計算」と勘違いさせてしまうのです。

子どもは「算数=計算」という意識になると、見た数字にすぐ飛びつくようになってしまいます。例えば少し応用的な思考が必要な文章問題でも、見た数字を拾い読みするだけで正しい式が組み立てられなかったりします。算数で身に付けたいのは計算力だけではないのです。

良い先取り学習の方法は?
では、良い先取り学習とはどのような方法でしょうか。それは、「計算だけに偏らず、まんべんなく思考力を養う」という方法です。思考力が大切なキーワードとなりますが、なぜ思考力が大切なのかは過去の連載記事:「先取り学習や計算力を鍛える勉強法ってどうなの?大事なのは思考力」でも詳しく説明しています。

また、大人になるまでずっと算数・数学と付き合っていくことを考えると、早いうちに「算数は楽しい、算数が好き」と思えるようになっておくほうが長い目で見ても有利です。そのためには、小さい頃に「勉強が退屈でつまらないものだ」と思わせないような工夫も必要になります。

良い先取り学習3つのポイント

ここで、具体的な良い先取り学習の進め方を3つのポイントから考えてみましょう。

1:まんべんなく思考力を養う
教材選びは計算問題ばかりに偏らないよう注意します。ご家庭で学習する場合には、インターネットから無料でダウンロードして印刷できる学習プリントを利用して文章問題に取り組むなどの方法があります。学習だからといって、問題を解く勉強スタイルにこだわる必要はありません。ときには積み木や工作、折り紙で遊んだりすることも、図形分野の問題に強くなれる先取り学習と言えます。

謎解き問題や推理クイズは、観察力・読解力・論理的な思考力をまとめて鍛えることができるのでオススメです。インターネットで検索すれば色々な問題が見つかりますし、書店で本を買っても良いでしょう。

2:楽しく学べる教材を選ぶ
ドリルに取り組むのが苦手な子は、無理にやらせると勉強時間が苦痛に感じてしまいます。入学準備としての先取り学習は「学ぶことが楽しい」と思わせることが第一の目的ですから、子どもの性格に合わせて楽しく学べる教材を選ぶと良いでしょう。

例えば字を書くことが不得意な子は、プリントやノートを使って学習するよりも、ゲーム感覚でミッションをクリアするように問題を解き進められるタブレット学習が向いているかもしれません。一人で机に向かう勉強時間が苦痛ならば、親子で料理をしながら算数を取り入れたり、お風呂で問題を出し合ったりするなど、身の回りの体験と算数を結び付けておくだけでも十分です。「これ知ってる!」というヒラメキがあれば、授業で先生が話すことに興味を持って聞けるようになります。

3:学習スピードにこだわらない
子どもに「得意=速く解けること」という意識を植えつけないように注意します。計算がどんどん速くなることは親の目から見ても分かりやすい成果ですから、子どもを褒めやすいポイントです。しかし、ここで「こんなに速く解けるなんて、すごいね!」という褒め方をしてしまうと、子どもは「もっと速く解けたら、もっとすごい」とスピードを重視し始めます。問題文の読み飛ばし、見える数字に飛びつく、という癖につながってしまいます。

もし褒めてあげるなら、速さではなく正確さや丁寧さに着目して褒めるポイントを探しましょう。特に思考力が必要になる引っ掛け問題のキーワードに気付けたときには、きちんと読解して考えられたことを大いに褒めてあげてください。子どもがじっくり考えているときに「早く」「まだ分からないの?」と隣で急かすのはNGです。

「おもしろいから学びたい!」という気持ちを大切に

今回は、先取り学習の進め方について、良い例・悪い例を紹介しました。良い先取り学習のポイントをまとめるなら「興味を先取りする」という意識で進めることだと言えるでしょう。子どもがワクワクした気持ちで算数の授業に取り組めるように、先に興味を持たせておくことが前向きな学びの姿勢につながります。
子どもに算数を教えなければ、と親のほうが難しく構える必要はありません。興味があれば、おもしろがって勝手に吸収していくのが子どもです。日常生活や遊び、会話など、親子のコミュニケーションのなかに少しだけ算数の要素を取り入れて、楽しく先取り学習をしてください。
教えてくれたのは

■今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
タブレット教材「RISU算数」

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担当カテゴリー

学び・遊び・教育

算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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