年長ママ・パパ必見!自己肯定感を下げないための入学準備の進め方
小学校入学前の1年間は、ランドセルを用意したり部屋の環境を整えたりと、小学生になる準備を進める1年になります。準備となると物や環境に目を向けがちですが、お子さんの「心の準備」はできているでしょうか?今回は、小学校のスタートダッシュを気持ちの面で上手に乗り越えるために、年長さんのあいだにやっておきたい「心の準備」についてお伝えします。
小学校のスタートダッシュが気持ちの面で大切な理由
小学校の入学にあたり、心の準備が必要なのはどうしてでしょうか。今回は友達と仲良くできるか?といった生活面ではなく、学習面から心の準備について考えてみたいと思います。学習面において注目されるキーワードは「自己肯定感」です。
成績が自己肯定感に影響するという統計資料があります。
参照資料:2018年5月31日 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所 共同研究プロジェクト
「子どもの生活と学びに関する親子調査 2017」
https://web.iss.u-tokyo.ac.jp/clal/document/180531PR.pdf
資料によりますと成績が上位の子は下位の子に比べて自己肯定感がある割合が高く、また勉強が好きな子は嫌いな子に比べて自己肯定感がある割合が高い結果が出ています。
さらに調査を行った2年間で成績が上位→中・下位に下がった子、勉強が好き→嫌いに変化した子は、自己肯定感が肯定→否定に変わった割合が高く、反対に成績が下位→中・上位に上がった子、勉強が嫌い→好きに変化した子は、自己肯定感が否定→肯定に変わった割合が高い結果となりました。
このような結果から、成績や学習の意欲と自己肯定感は互いに影響し合っていることが分かります。小学校のスタートダッシュでのつまずきがきっかけとなり自己肯定感が損なわれてしまうと、学習の意欲や成績に影響を及ぼすことが考えられますし、反対に上手く乗り切れば、自己肯定感が高くなり成績にも良い影響が出るとも言えるのです。
自己肯定感を損ねやすい3つの要素
小学校に上がると、子どもの置かれる環境はこれまでと違うものになります。どんなところが変化するのでしょうか。
1:点数や通知表で比べられる
小学校に上がると、初めてテストや通知表で「評価される」という経験をします。具体的な数字で結果が出て、周りと比較できてしまう環境になるのです。周りと比べて自分はどうか?という視点を初めて持つため、結果によっては自己肯定感を損ねてしまう要素になります。
2:学校のペースで物事が進む
小学校では、授業や生活が学校のペースで進みます。これまでは自分のペースで進めても親や保育士さんが待ってくれましたが、今度は自分が周りのペース、学校のペースに合わせる必要が出てきます。初めて「置いていかれる」という経験をする子もいるでしょう。遅れをとっているという気持ちから自信を失くしてしまわないよう、心の準備をしておきたいものです。
3:親の目から離れる時間が増える
送り迎えがあった幼児期とは違い、小学校からは1人で登下校する子も多いでしょう。家庭から離れる時間が増え、親の目の届かない環境で子ども自身が考えて行動することが多くなります。子どもが成長していく過程で大切なことではありますが、親は子どものケアがしにくくなることに配慮する必要があります。子どもが悩んだ時にいつでも相談に乗れる体制を作りましょう。
入学前から準備できる3つのこと
では、子どもが小学校のスタートダッシュを上手く乗り切るために、入学準備期間である年長さんのあいだにどのような準備をすればよいでしょうか。
1:プレ競争体験をさせる
本格的な競争ではなく、「プレ」競争体験から始めるところがポイントです。例えば、これまで「楽しかったね」で終わっていた遊びやゲームに、点数や順位を付けてみます。お友達が相手でなくとも、おうちの方と競ったり、一人でも点数を付けたりすることで100点を目指すゲームになります。
かるたやオセロなどのテーブルゲームは、勝ち負けが分かりやすく、家庭でも遊びやすいゲームです。学習プリントに取り組む際も、家でやることだからとただ丸つけをするだけでなく、きちんと点数まで付けるようにすると、テストに向けたプレ体験になります。
子どもは勝負の結果や点数にうれしかったり悔しかったりすると思いますが、どちらの場面でもその気持ちが次につながるような前向きな声掛けをしてあげましょう。
2:先取り学習をする
小学1年生で習うことを少しだけ先に学習しておくことで、スタートから出遅れて自信を失くしてしまうことを防ぎます。本格的に机に向かう学習でなくとも、日常生活や遊びの中で会話に少し算数を取り入れるなど、興味のあることから楽しく進めるのが良いでしょう。
ひらがな、カタカナ、足し算、引き算……と、どれも入学前に完璧にマスターしておこうとすると親子で疲れてしまいますから、完璧を目指す必要はありません。授業で先生の話を聞いたときに「あっ!これ聞いたことある!」とピンとくるぐらいで良いのです。あのときのアレだ、という気付きがあれば、興味を持って先生の話を聞くことができます。
3:フォロー体制を作る
もう1つ大切な準備として「困り事を相談しやすい親子関係をしっかり築いておく」ということが挙げられます。普段から「困ったことがあったらいつでも教えてね」と伝えておくことも大切ですが、おうちの人からも「今日はどんなことがあった?」「園で何をして遊んできたの?」などと積極的に声を掛けてあげると、子どもはより話しやすくなります。
子どもは親が忙しくしているのを敏感に察知しています。声を掛けにくい雰囲気、言動をとっていないか振り返ってみましょう。「ちょっと今は無理」「後にして」と言わざるを得ないときは、後からでも「さっきの話、教えて」と親側から声を掛けてあげることも大切です。
周りの家庭ではどんな取り組みをしているの?
ここで、あんふぁん読者の皆さまから寄せられたアンケートより、周りのご家庭で入学前の準備にどのような取り組みをしているかをご紹介します。アンケートでは、日常や遊びのなかに算数の学びになる要素を上手く取り入れている例がたくさん見られました。
・お風呂に数字ポスターを貼っている(4歳保護者)
・お風呂に入るとき、1~20までを日本語、英語、ついたち~とおか、1月~12月などを唱えている(4歳保護者)
・お風呂で九九を一緒に数える(6歳保護者)
・子どもに時間を聞くようにしている。「今何時?」や「10分後に◯◯しよう」など(6歳保護者)
・一緒に料理をする。クッキーを作るときに重さや量を子どもと計り、「単位」を意識できるようにしている。りんごやオレンジを切るときには形の話もしている(5歳、6歳保護者)
・買い物のとき、お菓子はいくら以内と伝え、自分で計算してもらう(6歳保護者)
・お店屋さんごっこで計算を取り入れる(2歳5歳保護者)
・ケーキやピザなどを切るときに分数の感覚を覚えさせる(4歳保護者)
あんふぁんに掲載された過去の記事でも、身近に取り入れられる算数の学びを紹介していますので、こちらも参考にしてください。
知らないうちに算数が得意になるちょっとした工夫【家庭編】
https://enfant.living.jp/upbringing/happymath/962862/
知らないうちに算数が得意になるちょっとした工夫【おでかけ編】
https://enfant.living.jp/upbringing/happymath/968004/
周りより過去の自分と比べることも大切
今回は、小学校でのスタートダッシュで自己肯定感を下げないための入学準備についてお伝えしました。プレ競争体験や先取り学習を紹介しましたが、これは子どもに「自分は周りの子と比べて勉強ができる」と思わせることが目的なのではありません。
学校に行けば評価や点数で優劣が比較されるなかで悔しい思いをすることもありますが、「努力すれば力になり結果につながること」「比べるのは過去の自分であり、自分の努力で自分をブラッシュアップすることが大切だ」と子ども自身が気付けるよう、教えてあげたいところです。
マイクロ成功体験を積み上げていくことが、やらされる勉強から主体的に勉強をする習慣にもつながっていきます。焦らず準備ができる入学前のこの時期に、ぜひ取り組んでみてください。
教えてくれたのは
■今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
▶タブレット教材「RISU算数」
ナビゲーター
担当カテゴリー
学び・遊び・教育
算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆
RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。