答えを間違えても平然!悔しがらない子の競争心・向上心を育てる3つの方法
子ども一人ひとりに最適なレッスンと苦手のフォローをしてくれるタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さんによるコラムです。今回は、あんふぁん読者の方から、とても興味深いお悩みが寄せられました。
「うちの子はおっちょこちょいミスをしても平気な顔をしています。全然悔しがる様子がないのですが、こんなことで大丈夫かと心配になります」(小学2年生と未就園児の保護者)
悔しい気持ちは競争心や向上心から湧き上がるものだというイメージがあるので、まったく悔しがる様子がないと「この子はこの先やっていけるのだろうか、学力が伸びるだろうか」と心配に思われますよね。今回は「間違えても悔しがらないのは大丈夫?」というお悩みについて考えます。
小さいうちは悔しがらないことに対して危機感を持つ必要はない
まず小さいうち、特に幼少期は「間違えても悔しがらない」という様子に危機感を持つ必要はありません。悔しがる様子が見受けられるかは、お子さんの性格によるものであり、たいして悔しがらない子は穏やかな性格であったり、細かいことは気にしない大らかな性格であったりという個性でしょう。もしかしたら、平気な顔をしていながら内心はとても悔しがっている「顔に出さずに燃えるタイプ」の子もいるかもしれません。悔しがる様子がないからといって、「この子は競争心・向上心が足りない」とは言い切れないのです。
時期が早いだけの場合もある
また、幼少期の学習は家庭で取り組んでいる子も多く、競争相手のいない環境で学習を進めるため悔しさを感じる場面が少ない、というのも1つの要因と考えられます。小学校などの集団生活になればクラスの友達ができ、同じテストをしたり駆けっこで競ったりなど、自然と悔しい気持ちが生まれる場面もあるでしょう。
年齢が上がれば自然と周りの子を意識するようになりますし、自分と友達を比べて悔しい思いをします。夢中になれる学習のジャンルや習い事に出会えれば、思うように上達しない自分自身に悔しさを覚えることもあるでしょう。「小さい頃はのんびり屋さんだと思っていたのに、実はうちの子、負けず嫌いだった!」というのはよく聞く話です。
小さいうちの学習は「継続」が大切
「間違えても悔しがらない」という部分について学習面のアドバイスをするならば、私は小さいうちの学習については「そもそも間違えたかどうかはあまり気にしなくていい」と考えます。
この時期はまだ「正しいか・正しくないか」よりも、「やっている」ということのほうが大切になります。小、中、高と長い目で考えたとき、幼少期に身に付けておきたいのは、まずは学習習慣です。もちろん、間違えた問題を間違えたまま放っておいてよいわけではありませんが、間違いを厳しく正したり、悔しがるように仕向けたりことで学習そのものが嫌いになってしまうなら、優先順位が違うのではないかと感じます。
よって「問題を間違えたこと」と「間違えたことを悔しがらないこと」は別々の話と考えて、焦って一度に解決しようとしない気持ちが大切です。
わざと悔しい気持ちにさせようと子どもを「煽る」のはNG
なかには子どもの競争心・向上心を育てるために、あえて煽るような言葉かけをして子どもを悔しい気持ちにさせようと考えている親御さんもいらっしゃるかもしれませんが、私はあまりオススメしません。
例えば
「こんな簡単な問題をミスしていたら、かっこ悪いよ」
「〇点なんて、悔しくないの?」
「〇〇くんなら、本当はもっと点数取れるよね!」
というような声掛けです。
親は子どもの実力を信じているからこそ、励ましの意味も込めて言っているのかもしれませんが、子どもは親の裏の気持ちは分かりませんから、言葉通りに受け止めます。
「こんな簡単な問題をミスした自分はかっこ悪いんだ」
「〇点って、悔しい(ダメな)点数なんだ」
「もっと点数が取れなかったってことは、今の自分はダメなんだ」
と捉えてしまいます。子どもは「悔しい」よりも「悲しい」気持ちになるかもしれません。
競争心・向上心を育てる3つの方法
では、悔しさを煽る形でない方法で競争心・向上心を育てるにはどのような方法があるでしょうか。
1:指摘ではなくアドバイスをする
「ここ間違ってる!」「それじゃダメ!」というように間違いを指摘するのではなく、「もうちょっとこうしたらいいかもね」とアドバイスとして伝えます。それだけでも子どもの受け止め方が変わりますよね。子どもは好きなお父さん、お母さんがそう言うなら、とアドバイスの通りにやろうとします。
その上で、アドバイスを実践したことで出来るようになったことはたくさん褒めるようにします。おうちの方が「やってみたらできたね」「前よりずっと良くなったね」などと前向きな声掛けをしてあげることで、子どもは以前の自分と比べて今の自分が成長していると感じることができ、もっと頑張ろうと向上心を育てることができます。
2:うっかりミスは理解できていることを肯定するところから始める
うっかりミスは、本来なら取れる点数を落とした事実が目につくので、おうちの方がつい厳しく指摘しがちなポイントです。頭ごなしに「なぜ間違えたの!」と言ってしまう場面ですが、うっかりでなければ内容はしっかり理解しているのですから、理解できていることに対しては肯定してあげると良いです。
「本当はしっかり理解できているのだから、素晴らしいことだね。がんばって勉強していたからね」という言葉が先にあり、「だからこそ、うっかりミスで点数を落とすのは、とてももったいないことだよね」とつなげれば、言葉の重みも伝わるのではないでしょうか。
3:負けず嫌いなら、一緒にやって競争心を掻き立てるのもあり
もしお子さんが負けず嫌いなタイプなら、おうちの方が一緒に勉強をしてあげて競争心を掻き立てる方法もおすすめです。家庭学習はどうしても一人になりがちですから、おうちの方が「今日は一緒にやろうよ」と言うだけで、子どもはきっとやる気になるはず。
計算問題をどちらが先に終わるかというように速さを競う方法もありますが、大人は脳トレのつもりでちょっと難しい問題に挑戦しながらお互いに点数を競ったり、どちらの字がよりきれいに書けているかを比べてみたりと、できることはたくさんあります。ゲーム要素があれば学習も楽しく競うことができますね。
小さいうちの学習は「悔しさ」よりも「楽しさ」を覚えよう
今回は「間違えても悔しがらないのは大丈夫?」というお悩みについて、小さいうちは悔しがらないことに危機感を持つ必要はないこと、悔しさを煽る以外の方法で向上心・競争心を育てるにはどうすればいいかをお伝えしました。
小さいうちの学習では、悔しさよりも楽しさを覚えることを優先させたいです。学ぶことが楽しいと思えば、子どもは自分から「もっと知りたい」と学び始めます。楽しい気持ちからも向上心を育てることは可能なのです。
学習は小、中、高、そして大人になっても一生かけてすることですから、本来は勝ったり負けたりを競ったり、親に褒められるためにやったりするものではなく、自分自身の教養を高めるためにすることです。よって競争心については、周りと比べるよりも過去の自分と比べるように教えることも大切です。幼少期は焦らず「悔しがらないこともこの子の個性」と捉えて、長い目で見守りましょう。
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■今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
▶タブレット教材「RISU算数」
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算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆
RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。