0歳児からの「担当制保育」“ていねいな保育”を行う「トレジャーキッズきょうばし保育園」

保育園や幼稚園を取材して、園の理念や特色を紹介するコラム「園のこころ」。今回は、大阪府大阪市にある「トレジャーキッズきょうばし保育園」です。園長の吉川喜子さんと、園を運営するセリオ保育事業部の永岩理佐さんにお話を聞きました。
「一人ひとりにていねいな保育を行う」ために、手引き書で保育の基本姿勢を統一

――はじめに、セリオの理念について教えてください。
永岩さん:セリオは、認可保育園の「トレジャーキッズ」や小規模認可保育園「エンジェルキッズ」、通所支援施設の「インフィニティキッズ」など、63園の系列保育施設を展開しています(2025年11月末時点)。私たちは「一人ひとりにていねいな保育を行う」ことを大切にしており、その基本姿勢をまとめた「ていねいな保育の手引き」を全職員に渡し、入社時に園長と読み合わせるなど子どもとの関わり方を学ぶ機会を設けています。
吉川さん:手引き書には、ていねいな言葉づかいや大きな声を出さないこと、子どもたちの名前を正しく呼ぶことなど、日々の保育で大切にしていることが書かれています。絶対にぶれてはいけないことですので、繰り返し職員に伝えています。セリオには「自分らしくいてほしいから 健やかでいてほしいから 自分をもってほしいから なんにでも向かっていってほしいから 友達を大切にしてほしいから やさしく、そっと、こどもたちに寄り添います」という〝子どもの姿の目標〟があります。子どもたちにそうあってほしいと願うなら、まずは大人がその姿を見せることが大切。「こどもたち」と書かれていますが〝自分たち〟でもあることも伝えています。
永岩さん:セリオは、「いろいろなことに挑戦したい」という前向きな保育者が多く、新しい取り組みを積極的に取り入れています。そのためにも、手引き書で保育の基準を明確にしています。
職員の心にゆとりがあるから、子どもたちの生活も大切にできる
――職員が働きやすい環境が整っていると聞きました。
永岩さん:年間125日以上の休日を確保し、変形労働時間制を取り入れながら、仕事と家庭の両立を支えています。持ち帰り仕事は禁止、残業も少なく、園の行事は子どもたちを主体とし、日々の生活の延長線上で無理なく行っています。
永岩さん:産休・育休から安心して復帰できる社風があり、ライフステージに合わせた異動やキャリアアップなど、働きやすい環境を整える制度が充実していることも特徴です。
吉川さん:当園でも、現在育休中の職員が4人在籍しています。ほかの職員にも「運動会や参観日など、ご自身のお子さんの行事を優先してください」と伝えています。そう声をかけられるのは、余裕のある職員配置をしているからこそ。どの園長もですが、職員のプライベートが充実していると、子どもたちの生活を大切にしたていねいな保育につながると考えています。保育中も、困っている人がいたらすぐに声をかけ合い、サポートしていますので、職員も心にゆとりを持って穏やかな保育ができていると思います。
乳児クラスに「担当制保育」を導入。〝第二の家庭〟となるていねいな保育を
――各クラスの特色を教えてください。
永岩さん:セリオでは、国の配置基準に基づき、乳児クラスには、決まった保育者がお世話をする「担当制保育」を取り入れています。発達や体調、情緒を安定して見守り、愛着関係を育むため、食事や排せつなど一つひとつの関わりをていねいに行う体制を整えています。
吉川さん:決まった保育者がいると子どもたちの情緒が安定し、保護者も安心して送り出してくださいます。広く浅くではなく、0歳からしっかり見守れるのが担当制の良さです。

――幼児クラスでは、どのような保育をされていますか。
吉川さん: 3~5歳児が同じクラスで過ごす「異年齢保育」を行っています。活動内容は保育者と子どもたちとで意見交換をする朝夕の「サークルタイム」で決めているのですが、5歳児をメインに進行し、決定権も子どもたち自身にあります。保育者から相談を受けたときに「5歳さんに聞いてみて」と返すことも。そのことで責任感が芽生え、登園渋りがある日でも「今日〇〇する日だよね?」と保護者が伝えたら、子どもが自らさっと動いたという話を聞くことも多いです。3歳児の面倒もよく見てくれるので、担当制から異年齢への移行もとてもスムーズです。
給食は自園調理で、だしを中心とした和食が基本。月に1回「園開放」も
――園内にだしのいい香りが広がっていますね。
吉川さん:当園の給食は自園調理で、だしを中心とした和食を基本としています。器は物を大切に使ってほしいという思いから、陶器にしています。
永岩さん:認可保育園に在籍する栄養士が月1回集まり献立を考えているのですが、郷土料理を取り入れるなど、各園が自主的に食育について考えてくれています。
吉川さん:当園の乳児クラスでは、タマネギやトウモロコシの皮むき、野菜や乾物などの食材に触れる体験をしています。幼児クラスでは、ウメシロップづくりや野菜の栽培・収穫など、さまざまな活動をしています。「野菜が食べられない」という相談を受けることもありますが、保育の現場では無理に食べさせていません。周りが楽しそうに、おいしく食べていると「食べてみようかな」と興味を持もつもの。その気持ちを大切にしています。保護者には、「味覚が変われば食べられるようになりますので成長を待ちましょう」とお伝えしています。

――地域の方と関わる機会はありますか?
吉川さん:月に1回、「園開放」を実施しています。地域の方に「身長・体重を計る日ですよ」とお声がけすると、気軽に遊びに来てくださいます。
年に2回、木のおもちゃの専門店がたくさんのおもちゃを持ってこられる「おもちゃライブラリー」の日に行うこともあります。園開放は、保護者支援の場でもありますので「大人と話したい」という方には交流の時間を、「相談したい事がある」という方には職員との時間を設けるなど柔軟に対応しています。来園される方にとってほっとできる時間になっていればうれしいですね。
ママ・パパたちが笑顔でいるのが一番!いっぱい声を出して笑いましょう

――最後に、子育て中のママ、パパにメッセージをお願いします。
吉川さん:毎日忙しいと、ご飯が手抜きになったり、生活リズムが崩れたりすることもありますが、少々のことは気にせず自分を責めないでください。保護者には「私たちは一緒に子育てをする仲間だと思ってください」とお伝えしています。不安や心配があるときは、迷わず園を頼ってくださいね。
子育て真っ最中の保育者も、「無理に頑張ろうとせずに、余裕があるときに子どもと話をして、うれしい・楽しいを共有できたらいいですね。いっぱい声を出して笑いましょう」と応援しています。ママ・パパたちが笑顔でいることが子どもにとって一番! 子育てには悩みがつきものですが、親子で笑い合える時間を積み重ねていけたらすてきですね。
【トレジャーキッズきょうばし保育園】
所在地:〒534-0023 大阪府大阪市都島区都島南通2-12-4
アクセス:JR大阪環状線・JR学研都市線・京阪・大阪メトロ鶴見緑地線京橋駅徒歩10分
TEL:06-6923-8105(月曜~金曜7時30分〜19時30分、土曜7時30分~18時30分)
運営:セリオ
定員数:96名(合計)
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