さっき勉強を始めたばかりなのに!集中力が続かない子へのかかわり方

さっき勉強を始めたばかりなのに!集中力が続かない子へのかかわり方

あんふぁん読者から寄せられるお悩みで特に多いのは、「集中力が続かない」という内容です。未就学児~低学年という年代の子どもは、さまざまな物事に興味が湧く年齢ですから、すぐにほかのことが気になってしまう気持ちはよくわかります。また、わが子に、何度言っても効果がなくて困っている親の気持ちにも共感します。
今回は「集中力が続かない」ときに、親がどうかかわっていくと子どもの成長を促すことができるのかを、子ども一人ひとりに最適なレッスンと苦手のフォローをしてくれる話題のタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さんが解説します。

小さい子によくある「集中力が続かない問題」

ここで、改めて読者から寄せられたお悩みを紹介しましょう。

・今はまだ集中力が続かず、ひとつのことに集中して向き合うことが難しいです。集中力を高めるのに気をつけること、親として手伝えることはあるのかを知りたいです(保育園児の保護者)
・集中できていない時の声の掛け方に悩んでいます(保育園児/小学1年生の保護者)
・集中力が5分で切れ、すぐに手元にある消しゴムなどをいじり始めたり、ほかのことを始めてしまったりします。学習に関心を持たせるにはどうしたらいいか、もう少し長く取り組んでもらうにはどうすべきか悩んでいます(幼稚園児/小学1年生の保護者)
・集中力がなく、考え続ける事が苦手です。注意したくないが、まったく違うことをしだすのでついつい言ってしまいます(保育園児/小学1年生/小学4年生の保護者)

どのお悩みも切実で、無邪気なお子さんと困っている保護者の様子が目に浮かびます。

集中力が続かないのは「おかしいこと」ではない

最初にお伝えしたいのは、そもそも集中力が続かないことは「おかしいこと」ではなく、子どもですから「当たり前」だということです。もし「うちの子はどうして」と深刻に心配しているのであれば、大体の子どもはそんなものだと気楽に受け止めてほしいと思います。

ただ、学習すると決めた時間はちゃんと最後まで遂行してほしいというのが親の気持ちですよね。集中して勉強する習慣が身につけば、長い目で中学・高校と大きくなってからも役に立ちそうです。では、身につけたい「集中力」とは具体的にどのような力でしょうか?

「集中力」の意味を間違えない

みなさんは「集中力」にどのようなイメージをお持ちでしょうか。机に向かってじっと座っていられる時間の長さだったり、長時間に渡って問題集を解き続けられる忍耐力だったりをイメージするかもしれませんが、それは本質的ではありません。
これらの様子は集中力を発揮した結果、そういう姿を見せているだけで、逆に言えば、長時間ただ座っていても、問題集を開いていても、頭が別のことを考えていては集中しているとは言えないでしょう。

座っていなくても、問題集でなくてもいい

つまり「集中する」とは物事に没頭して取り組んでいる状態のことを指します。楽しいことなら何時間でも苦にならない、没頭できるという感覚は大人も経験がありますよね。集中している状態のときは持っている力を充分に発揮できますし、知識をインプットする力も強いです。

小さい年齢のうちは、「机に向かうこと」や「問題集を解く」といった形式にこだわるよりも、まずは集中して何かをやる心地よさを体験させる、というのも有効な手です。工作、折り紙、実験、自然観察など、机上でなくてもできる学びはたくさんあります。お子さんが何に興味を示すのかをよく観察して「没頭するぐらい楽しい学び」を体験させてあげましょう。

勉強の集中力を高める具体的な方法は?

とは言っても、好きなこと、やりたいことばかりをやるわけにもいかない場面がありますよね。宿題や目標を持って取り組んでいる課題などに向き合う時、集中力を高めるにはどうすればよいでしょうか?
具体的な対策方法を3つ紹介します。

1.ゴールを決めてから始める

ゴールを決めていない学習は、どこまで頑張ればいいのか不明瞭なため集中力が途切れがちです。最初に終わりを決めておくことで、「ここまでやればいい」と気持ちにメリハリが生まれます。
ゴールを決める際にやりがちですが、時間で終わりを決めるのは避けてください。「30分だけやろう」「今から16時までね」このようなゴール設定では、子どもはやり過ごすことを覚えてしまいます。つまり、ちゃんとやっているようなふりをして、実はボーっとしている状況です。これでは集中しているとは言えません。
上手なゴール設定は、「大問のここまでやったら休憩にしよう」「計算ドリルの10問目までやろう」というように、進み具合で設定することです。できることなら、ただやるだけではなく「全部マルになったら」を条件にできるとなお良いでしょう。特に小さい子は短く休憩を入れてあげると集中力が長持ちします。

2.視界に入るものを先に片づける

視界に気になるものがあると、どうしても集中力が途切れがちになります。学習を始めるときは、教材以外に物を置かないように、まわりを片づけてからスタートしましょう。片づけが切り替えの合図になるように習慣化できると良いですね。
小学校では「低学年のうちは机の上に筆箱を置かずに、鉛筆1本と消しゴムだけを出す」「鉛筆はキャラクターなどの柄がないシンプルなものを選ぶ」などのルールを決めている学校もあります。授業中にどうしても手遊びが始まってしまい、先生の話に集中できない子も多いため、そのようなルールがあるのでしょう。
低学年のうちはリビングで学習する場合も多いです。テレビは一旦切るなどして、気になるものはなるべくなくして学習を始めましょう。

3.声のかけ過ぎは逆効果

お子さんの手が止まっていると、親は気になって声をかけたくなると思います。「またボーっとしているよ」「ちゃんと集中してやって」言いたくなる気持ちはとてもよく分かりますが、残念ながら集中力は出そうと思って出せるものではないのです。叱られて一度は気持ちがシャキッとしても、数分後には元通り…こんな堂々巡りでは、親子で疲れてしまいますし、勉強自体がイヤになってしまいます。

子どもは、親に近くで見られていることが気になって集中できないという場合もあります。ママやパパは子どもの集中が途切れないように「見張っている」のではなく、少し離れたところで、分からない問題があれば相談に乗ってあげるぐらいの気持ちで見守るようにしましょう。
小さくてお子さんの近くにいた方がいい場合は、ずっと見ているのではなく、「パパ・ママも勉強しよう」と言って、隣で本や仕事の資料を読むことも有効でしょう。
ときには「集中してやっていて、偉いじゃん!」と褒めたい場面もあると思います。しかしそれも、せっかくの集中力が途切れてしまいますので、終わった後で声をかけるほうが良いでしょう。

集中力を鍛えるテーブルゲームもおすすめ

集中力を鍛えるという点では、じっくり頭を使って考えるような、テーブルゲームで遊ぶこともおすすめです。将棋は駒の動かし方を覚える難しさがありますが、じっくりさまざまな戦略を考えるのがとても面白いゲームです。UNOやトランプも勝つためには戦略が必要ですね。キラキラした石が美しいマンカラ(※)も、とても頭を使う楽しいゲームです。
※「マンカラ」とは https://recreation.or.jp/activities/genki_up/mancala/

現代はゲームといえばデジタル機器が主流ですが、たまにはゲーム機やスマホゲームから離れ、アナログなテーブルゲームを親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。

飽きっぽい短所は長所とも言える

今回は集中力が続かないという悩みについて、好奇心旺盛な子どもはそれが当たり前なことや、集中力を高める具体的な対策方法をお伝えしました。いろいろな物事に興味を持つことは、悪く言えば「集中力がない」「飽きっぽい」と短所のように思えますが、言い換えれば「好奇心旺盛」「新しいことに気付くのが得意」という長所だと捉えることもできます。
集中力の本質は没頭する力だと考えると「なぜ?」「不思議!」「知りたい!」と思う気持ちが学びの原点にあることはとても大切なことです。そして、この気持ちは好奇心旺盛な子どもが持っている強みでもあります。お子さんの態度を否定し過ぎず、勉強のやり方にメリハリをつけて、長い目で力がつく学習をしましょう。
教えてくれたのは

■今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
タブレット教材「RISU算数」

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算数教材「RISU」代表取締役今木智隆の画像

担当カテゴリー

学び・遊び・教育

算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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