【パパコラム】1日何分話せてますか?夫婦円満のために“時短”を適用してはいけないもの

【パパコラム】1日何分話せてますか?夫婦円満のために“時短”を適用してはいけないもの

&あんふぁんをご覧の皆さん、こんにちは!“パパって最高!”な社会を目指す子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長の杉山です。

共働き家庭が専業家庭と数で逆転してもうすぐ30年。子どもを持つほとんどのみなさんは「時間が足りない」と思っていることと思います。だからこそ、人気を集めるのは「時短」といった家事の効率化が叶えられるアイテムやサービス。

僕もネットやSNSで出てくる「時短レシピ」には本当にお世話になっています。

もちろん、仕事の面でも効率化は重要。同じ仕事量を短い時間で終わらせることができてこそ、家庭に充てる時間を確保できるわけです。もうここ数年のAIの普及やサービスの拡大のありがたいことと言ったら!スマホもそうですが、AIのない時代にはもう戻れません。

でも、時短も効率化も難しいことがいまだに残っていると思います。

僕が特に感じるのが、夫婦関係を円満にすることです。

1日に換算すると短いミーティング時間

「夫婦の関係をよくするためには、たくさん話すことが大事」なんてことは聞き飽きるほど聞いていると思います。これは僕も間違いないと感じています。

最近、PTA関係で出会うパパもかなり年下の人が増えて、各地で行う講座で出会う若いパパの中には、娘とほぼ同じ年という人まで出てきました。そんなパパたちからの質問でよくあるのが、「夫婦の話し合いは定期的にしているのだが、なかなか実のある話ができない」というもの。

あるパパは、毎週金曜日の夜に2時間確保して夫婦で向き合ってしっかり話していると言っていました。うちはそんなにちゃんと決めて話したことはありません。それだけ聞くとなんだかちゃんと話しているように感じますが、なぜそれでは話し合いが深まらないのか?

よくよく聞いていくと、違和感が出てきます。

週末の2時間の話し合いという制度を作った背景は、二人とも平日が忙しすぎて会話している暇がなく、週末は子どもと遊ぶことと夫婦それぞれの自分の時間を作ろうとしているので、2時間という長い時間ではあるけど、集中して話した方が効率いいのではないかという夫婦の考えがあったそうです。

ところが、2時間では全然決まらないし、なんだかしっくりこないと。

実際のところはきっといろいろ複雑な事情があるんだと思いますが、正直、そりゃそうだろうなーと感じました。

2時間と聞くと、わりとがっつりのように感じますが、1週間7日で割ると、17.14分。1日当たりわずか20分も話せていないことになるんです。これってかなり短いですよね。そこでいろいろなアジェンダを決めようとすると、これはなかなか厳しいと思います。

ミーティングのスタートラインを考えてみる

おそらく決めようとしているアジェンダは「習い事をどうする?」とか「年末年始の過ごし方」とか「次の保育園イベントにはどっちがどうかかわるか?」といった内容があると思いますが、その議論を始めるためには2つの準備が必要だと思います。

1つは、現時点での詳細な状況の共有。イベントであれば時間や場所、内容、関わるポイント。年末年始の過ごし方であれば、互いの休暇状況や疲れ具合、やりたいことなど。その2時間が始まる前に、こういったものを共有して考えてから臨まないと、説明で時間がとられてしまうこともよくあること。仕事の会議でもそうですが、丸腰で臨む会議ほど効率が悪いものはありませんよね。

ただ、おそらくはそのくらいはすでにしていると思います。

僕が重要だと思うのはもうひとつの準備です。

それは、話し合いができる関係性の構築です。

別にいがみあっているとかそういうことではないし、ある程度の信頼性は担保できているとは思います。ただ、普段ほとんど話せていない状況では、いきなり本題に入るのって夫婦でもなかなか難しいんじゃないかと思うのです。

僕が所属するファザーリング・ジャパンのパートナーシッププロジェクトによると、子育てをしている夫婦の会話内容トップ3は「業務連絡」「スケジュール調整」「依頼」とのこと。きっと多くの方が共感できると思います。

そのうえで、夫婦の会話に必要だと提言しているのが「日常的な雑談」です。

改めて「雑談」とは「他愛もない話」。「きょうこんなことがあった」とか「この映画がみたい」とか「ランチで食べたあれおいしかった」とか、それ自体は家族の生活に直接影響しないようなことです。ただでさえ会話する時間が短いのに雑談を入れる必要なんてあるのか?と思うかもしれませんが、僕はこの雑談こそが夫婦円満のカギを握っていると思います。

雑談は、その人の状況や考えていること、気になっていることなどを知ることができるので、関係のベースを築くためにはとても大切です。これは夫婦だけでなく。そして、雑談をすることでベースができてこそ、本題の話し合いに臨めるんだと思います。だって付き合っていた時って、本当に雑談だらけだったじゃないですか。それでどんどん中が深まって今があるんですよね。

そのベースづくりは時間がかかるものですし、おろそかにすると崩れてしまいかねないものです。

2時間の話し合いがよくないということではなく、きっと、その2時間を有用なものにするためには、毎日少しずつ積み重ねる雑談で作ったベースが必要なんです。

直接顔を合わせて話せないのであれば、LINEでもいいと思います。朝は5分早く起きてほんの少しの会話。昼休みはLINEで5分だけやりとり。夜は帰宅中のLINEでも、寝る前の5分でも会話する。これだけで1日15分。1週間で1時間半以上の雑談が増えます。

雑談が苦手、という人もいると思いますが、一緒にいる時間を作っていれば、何かの時にぽつりぽつりと話が出てくることもあると思うので、まずはそこからで十分。夫婦の性格にもよると思いますが、効率を上げることに集中しすぎて、ベースづくりとなる雑談をおろそかにしないことは、時間がかかるけど大切だと思います。

ちょっと考えてみてもらえたらいいなと思います。

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学び・遊び・教育

兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。21歳と13歳という年の離れた2人の娘、1歳の孫を育てる兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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