うちの子、諦めが早すぎる!根気強く考える力はどうすれば身につく?
あんふぁん読者から、下記のようなお悩みが寄せられました。
・見た目で難しそうな問題だと嫌がってやる気をなくしてしまう
(小学1年生/小学3年生の保護者)
・解ける問題でも、苦手意識が先に出てしまいます。楽しく取り組ませるにはどうしたら良いですか?
(小学1年生の保護者)
ほかにも、似たようなお悩みが複数寄せられました。難しそうな問題でも前向きにチャレンジしてみようとする姿勢は大切だと思いつつ、現実はなかなかそうはいかないママやパパの苦悩が感じられます。
今回は「子どもの諦めが早すぎる」という悩みについて、子ども一人ひとりに最適なレッスンと苦手のフォローをしてくれる話題のタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さんにお話を聞きました。
どうしてすぐに諦めてしまうの?考えられる2つの諦めパターン
子どもは、どうしてすぐに問題を解くことを諦めてしまうのでしょうか。たくさんの子ども達を見ていると、諦めには2つのパターンがあるように思います。
1.少しは解いてみようとする子
最初のパターンは、少しは解いてみようとチャレンジするタイプの子です。解いてみようとするものの、途中でうまくいかず諦めてしまいます。「以前もやってみたけどダメだったし、やっぱりまたダメだった」と過去の体験を引きずって、「自分には無理だ…ほらやっぱり」と苦手意識を自分で強化している場合があります。
きっとまた無理だろうという気持ちが、諦めを早めているパターンです。そもそも算数自体に苦手意識をもっている子に多いです。
2.少しも解こうとしないで諦める子
もう1つのパターンは、見た目だけで無理だと判断して解く前から諦めてしまうタイプの子です。量が多い計算ドリルや、問題文の長い文章問題など、取り組む前からやる気を失くしてしまいます。こういった場合は、取り組もうとしている課題のレベルがその子の理解度に合っていない可能性もあります。
学年の進捗や、保護者の期待から「ここまでは進んでいてほしい」という思いで取り組ませる問題を決めていないでしょうか。算数は知識の積み上げが必要です。土台となる内容の理解が弱ければ、安定した積み上げが難しい科目ですので、課題が難しい場合には学年を越えて戻ってでも、理解度に合った問題から進めるほうがよいでしょう。
パターン別で考える「諦め早すぎ問題」の解決方法とは?
それでは、諦めるのが早すぎる子にはどのような対策が考えられるでしょうか。先ほどの2つのパターン別に具体的な解決方法をお伝えします。
「少しは解いてみようとする子」の場合
このパターンに当てはまる子どもは、算数に苦手意識を持っていたり、自信がなかったりする子が多いです。よって、解決方法としては、小さな「できた!」を積み重ねていくことで苦手意識を克服するやり方が合っています。
具体的には、次のような方法があります。
・保護者が問題文をゆっくりと読んで聞かせる。途中で「ここまでは分かる?」などと声掛けをしながら、理解できているかを確認する
・計算をさせずに、文章問題から式だけを立てるところまでをやる
・できているところに注目して、「ここまでできたね!」と褒めながら進める
・「これって、何算かなぁ?」などと問いかけながら、小さなヒントを出す
算数の問題は、答えに辿り着くまでに小さなステップをたくさん踏む構造になっています。
例えば「1.問題文を読む→2.必要な数字を拾う→3.式を組み立てる→4.実際に計算する」というように。この小さなステップを意識して、途中までの「できた」の積み重ねを保護者が伴走しながら見届けてあげるようにすれば、諦めずに答えを導くところまで進めることができるでしょう。
最後までできた経験が、次もまたできるかも!という自信につながります。見届けるのは手間のかかる作業ですが、気持ちがのってくるまでの最初の10分だけでも、学習に付き合ってあげてはいかがでしょうか。
「少しも解こうとしないで諦める子」の場合
このパターンに当てはまる子どもは、簡単に言えば取り組むべき課題に対してまったくやる気が出ていない状態です。解決方法としては、まずは「やってみよう!」という気持ちにさせるところから始めなければなりません。
具体的には、次のような方法を試してみます。
・課題のレベルを下げてみる
・エンジンをかけるために、あえて得意な問題から取り組ませてみる
・嫌がってやらない場合には、問題文を保護者が一緒に読む
・褒めたり、励ましたりしながら、子どもの気持ちを上手くのせる
・学習後にご褒美やお楽しみを設定する
一番チェックしたいのは、課題のレベルが理解度に合っているか?という点です。大人でも、まったくお手上げ状態であるレベルの問題に向き合う時間は、とても苦痛に感じますよね。
まずはわが子の様子を見ながら、課題が合っているかを確かめてください。「こっちの問題だったらできそう?」というふうに、話し合いながら進めてみるのもよいでしょう。褒めたり励ましたり、ご褒美を設定するやり方は、まずは課題のレベルが合った上での方法になります。
学習に前向きな姿勢で取り組むようになってほしいときは
学習にイヤイヤではなく、前向きな姿勢で取り組むようになってほしいときには、子どもが「問題を解くのが楽しい」と思える体験をさせることが近道です。そのためには、算数の学びを普段の生活にリンクさせることがひとつのコツになってきます。
例えば、次のような会話を普段の生活に取り入れてみましょう。
・丸いケーキを家族みんなで食べられるように切り分けてくれる?
・〇円のジュースと〇円のお菓子を買いたいのだけど、何円持っていけばいい?
・お友達の家に3時に着きたいのだけど、何分までに準備する?
普段の生活の中で「これって算数だ」「僕(私)知ってるから、分かる!」と思えるような、ちょっとした会話を取り入れるのです。工作や料理など、算数の出番はたくさんあります。紙上の問題に限らず、普段から算数を楽しんで使う機会を増やしてみましょう。
根気強く問題に取り組むためには何が必要?
また、問題を解くことを簡単に諦めない「根気強さ」はどうすれば身につくでしょうか。根気強さは、イヤなことを我慢する「我慢強さ」を鍛える方法では身につきません。机に向かう学習時間が苦痛である子を我慢して座らせていても、苦手意識が増すばかりで逆効果になってしまいます。
根気強さのもとになるのは、「自分なら解けるはず」という自信ではないかと思います。「自分なら考えれば答えまで辿り着けるはずだ」「あと少しで分かりそうだ」と思えるから、集中して問題に向き合うことができるのです。このように集中できる時間は、苦痛よりも楽しさを感じるはずです。
よって、根気強さという面でも、根本的には「問題を解くのが楽しい」と思える体験をさせることが近道であると考えます。
すぐに諦める原因を探って、「やってみたい!」につなげよう
今回は、諦めるのが早すぎるという悩みについて、2つのパターンに分けて具体的な対処方法を考えました。子ども達がすぐに諦めてしまう原因を探って、保護者がうまく声を掛けながら応援してあげてください。
小さな「できた!」の積み重ねが、「算数って楽しい!もっとやってみたい!」という気持ちにつながるでしょう。
教えてくれたのは
今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
▶タブレット教材「RISU算数」
ナビゲーター
担当カテゴリー
学び・遊び・教育
算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆
RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。