「女の子は算数が苦手」ではありません!おすすめの遊びとおもちゃ選び

「女の子は算数が苦手」ではありません!おすすめの遊びとおもちゃ選び

算数が苦手だと思われがちな女の子。前回のコラム「女の子は算数が苦手」はホント?幼少期から親が意識すべきこと」では、データ上そのような傾向はないこと、環境や周囲の関わり方で子どもの意識が変わることをお伝えしました。後編となる今回は、具体的に幼少期からどのような関わり方をすれば、子どもが算数を好きになるか、遊びとおもちゃ選びにスポットを当てて解説します。
話題のタブレット教材「RISU算数」を展開する RISU Japan株式会社の代表取締役 今木智隆さんにお話を聞きました。

幼少期は「遊びながら学ぶ」をオススメする3つの理由

わが子が算数を好きになり、得意になってほしいと思ったとき、保護者はどのような働きかけをすると良いでしょうか? いきなり計算プリントを持ってきて「今日から毎日これをやりましょう」というようなやり方は、うまくいかないことが多いです。幼少期はまず机に向かって勉強させることが、ひとつのハードルと言えるでしょう。無理強いをすれば、ますます「嫌い」という印象をもってしまいます。

算数を好きで得意にするには、計算プリントを解くことに頼らずに、遊びながら学ぶ方法がたくさんあります。幼少期の子どもは遊ぶことが大好きです。遊びながら学ぶ方法は、座学では得られないメリットがあります。

1.知識と体験がリンクする

遊びながら学ぶことで、知識と体験がリンクします。手にしたブロックを回してみたり、物の数を数えたり。ひとつひとつの「やること」を実際に目で見て、触って確かめることができるのです。知識は体験を通すことで理解が深まり、記憶に残りやすくなると言われています。
また、算数の問題を解くには「想像力」が不可欠です。立体を頭の中でイメージしながら考えることなどは、普段から積み木やブロックで遊び慣れている子のほうが得意な傾向にあります。

2.「なんでだろう?」湧き出る疑問が勉強を楽しくする

遊びながら学ぶことで、勉強にイヤなイメージを持たなくなります。遊んでいる中でうまくいかなかったり、どうしてこうなったのだろう?と新しい疑問が生まれたりすることで、自分から学びたい意欲が高まります。勉強は楽しいことだと幼少期から印象づけておくことで、小学校へ進学後も興味をもって先生の話を聞けるようになります。

3.勉強が目的ではなく手段になる

これも大切なことで、「何のために」の部分がなくただ勉強のための勉強をしようとすると、子どもはすぐに飽きてしまいます。遊びながら学ぶことで、例えば「〇〇を作りたいから(目的)、定規で測って切る(手段)」というように、「定規を使って測る」という勉強を目的から手段に変えることができます。
勉強を目的ではなく手段にしてしまうことは、学びを飽きさせずに楽しく続けるためのコツなのです。

男の子はどうして図形分野に強いのか?

前回のコラムでも述べたように、算数の得意・不得意に男女差はないものの、分野別に見ると正答率にばらつきがあります。RISU算数の受講者のデータでは、図形分野の男の子の得点を100とすると、女の子の得点は85%ほどに留まり、図形分野は男の子のほうが強いことが分かりました。

男の子が図形分野に強いのは、積み木やレゴブロックなど、小さい頃から図形(立体)を扱うおもちゃで遊び慣れていることがひとつの理由であると思われます。もし、保護者の先入観で「ブロックは男の子っぽいから」と女の子に与えるのを避けているなら、男女差をつけないおもちゃ選びをすることが大切です。

強要するのは逆効果です!

ただし、子どもにも個性があり、好きな遊びはそれぞれです。ブロックや積み木で遊ぶことは算数の学びにつながる遊びではありますが、本人が興味のないものを保護者が「これで遊びなさい」と強要するのは逆効果です。自分から「おもしろいから遊びたい」という気持ちにならなければ、逆に「つまらない」という印象を与えてしまいます

ブロック以外にもたくさん!算数を得意にするおもちゃ・遊び

もちろん、算数を得意にするおもちゃは、ブロックや積み木だけではありません。たしかに男の子と女の子では興味のある遊びが違うことも多く、保護者の中には、「女の子が好きなおもちゃ・遊びにはあまり算数の得意につながる要素はない」と考えている人もいるかもしれません。

ここからは特に幼少期の女の子が興味をもちやすいおもちゃや遊びについて、算数の学びにつながるものを紹介したいと思います。

星座・プラネタリウム

星座やプラネタリウムは、美しくて物語性があるので女の子の興味を引きやすいジャンルです。絵本が好きな子は十二星座の逸話など物語から星の世界に触れると興味をもって学ぶことができるでしょう。星空観察は、冬の大三角形など図形的な要素があります。月や惑星の距離や大きさを考えるには「大きな数」を使います。「単位」の学習もできるでしょう。「〇倍の計算」や、「速さと距離と時間の関係」など、関わる算数の分野はたくさんあります。

本:ミステリー小説

クールに謎を解く探偵の物語などは子ども心にもカッコイイものですよね。子どもの頃に熱中して読んでいたのはミステリー小説と答える、東大・早慶の女子は多いです。プレジデントFamilyの調査でも、毎年のようにパスワードシリーズやシャーロックホームズなどがランクインしています。謎解きをしながら物語を読み進めることは、算数に必要な論理的思考を磨くことができます。また、アリバイトリックには科学的な要素を利用した話も多くあります。主人公が脱出する場面では、建物の立体構造を頭の中にイメージして読み進めていくでしょう。

幼少期に本格的なミステリー小説は難しいと思いますが、幼児向けの絵本にも謎解きを題材にしたものがあります。テレビでもアニメが放映されている「おしりたんていシリーズ」は、自分で何度も謎解きをしながら読み進めていく絵本です。小さな子にも親しみやすい絵本としておすすめです。

参考:ポプラ社公式「おしりたんてい」ホームページ|書籍情報

ごっこ遊び

ごっこ遊びは幼少期の女の子が大好きな遊びのひとつです。ままごとの延長として、お買い物を一緒に手伝ってもらったり、一緒に料理をしてみてはいかがでしょうか。買い物では「およその数」を使って予算内に収まるかを計算したり、レジでお金をやり取りして「おつりの計算」をしたりする体験ができます。

料理では、「 l(リットル)→ ml(ミリリットル) 」「 g → kg 」の換算や、レシピの分量から〇人分を作るための掛け算や割り算を考えることができます。また、ブロックや積み木に興味がなくても、豆腐や人参をいろいろな形に切ってみたり、断面図を観察してみたりすれば、立体のイメージに慣れることができます。
上記は少し難しいですが、自分が興味をもっていることなら、わからないなりにも一生懸命取り組み、理解しようとするのではないでしょうか。

キラキラがかわいいブロック

レゴブロックや積み木にはあまり興味をもてない女の子でも、「マグビルド」のような綺麗なマグネットブロックなら楽しく遊べるかもしれません。マグビルドはさまざまな形をした板をマグネットでくっつけて組み立てるおもちゃです。パーツがカラフルで透き通っていて、クリスタルのように見えるので、キラキラが大好きな子はきっと気に入ることでしょう。

参考:新感覚積み木 マグビルド【パネルシリーズ】|KitWell

算数を得意にする遊びは工夫次第でたくさんあります

今回は、女の子は算数が苦手だと言われていることから、幼少期からできる算数を得意にする関わり方について、特に女の子が興味を持つおもちゃや遊びを紹介しました。紹介した遊び以外にも、例えば工作や折り紙も図形分野の想像力を磨くことができますし、家にある文房具や洗濯バサミなどを使って「ピタゴラスイッチごっこ」をするのも楽しそうです。
このように、「おもちゃ」として買い与えなくても算数を得意にする遊びは工夫次第で身の回りにたくさんあります。親子で楽しく遊びながら、算数を好きになる気持ちを育ててください。

教えてくれたのは



今木智隆/RISU Japan株式会社代表取締役
京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ10億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。
タブレット教材「RISU算数」

ナビゲーター

算数教材「RISU」代表取締役今木智隆の画像

担当カテゴリー

学び・遊び・教育

算数教材「RISU」代表取締役 今木智隆

RISU Japan株式会社代表取締役。京都大学大学院エネルギー科学研究科修了後、ユーザー行動調査・デジタルマーケティング専門特化型コンサルティングファームの株式会社beBitに入社。金融、消費財、小売流通領域クライアント等にコンサルティングサービスを提供し、2012年より同社国内コンサルティングサービス統括責任者に就任。2014年、RISU Japan株式会社を設立。タブレットを利用した小学生の算数の学習教材で、延べ30億件のデータを収集し、より学習効果の高いカリキュラムや指導法を考案。国内はもちろん、シリコンバレーのハイレベルなアフタースクール等からも算数やAIの基礎を学びたいとオファーが殺到している。

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