学齢期の子どもにどう寄り添う?口数が少ない、いつもと様子が違う…親ができる対応のヒント

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は小学生のお子さんについてのお悩みです。
Question: 「帰ってくると、⼝数が少なかったり、いつもと様⼦が違うことがあり、どう声かけするか悩んでいます。学校であったことや思っていることを聞き出すにはどうしたらよいでしょうか」
お子さんは立派に成長されておられますね。すてきなことだと思います。そしてもう一つすてきなことがあります。保護者の方が「いつもと違う様子」ということに、気がついているということです。
本人も変化に気づいていない
乳幼児期を経て子どもたちは学齢期に入り、それまでの成長とはまた異なる変化を見せてくれます。幼子から少年になっていく過程で、内面が著しく成長していくことになります。大人にはまだ早いですが、大人になっていく階段の第一歩に足をかけた状態でしょうか。
この内面の変化は、赤ちゃん時代と異なり周りにはなかなかわかりにくいものです。体重や身長が急激に増えるわけでもなく、言葉が爆発的に増えるわけでもありません。遅々とした変化ではありますが、日々確実に成長しているのです。
またこの変化の面白いところは、本人がほとんどそのことに気づかないということです。同時に周りも、その変化に気づきにくいものです。日々一緒に生活を共にしているので、少しの変化や以前とのわずかな差を認識しにくいのです。
そのような視点に立てば「子どもの少しの変化」「なんとなく気になること」を、このように気づくこと自体がとても大切だと思います。「子どもの変化に気づける人」とは「普段の姿がわかっている人」です。当たり前なのですが日常の姿や行動が理解できていないと、その変化にも気づけるはずがありません。日々の生活や日常の積み重ねの大切さが、子育ての基本といえるでしょう。
どのように声をかける?
その変化を感じた上で、どのように声かけをすれば良いのでしょうか?少し冷たいようですが、基本的には積極的にそのことについて声をかける必要はないと思います。誤解のないように言いますが、だから何もしないということではありません。
先ほども言ったように本人も変化に気づいていない部分があります。それは自分の悩みやうまくいかないことについても、明確に言葉にできない感覚だと思います。以前とは何かが異なった感覚や思いがあり、それらの違和感をうまく言えなかったり、言葉にできなかったりしているのです。それがなんとなくの不安や不機嫌の一つの原因であり、口をきかなかったりイライラしたりと現れているのでしょう。
だからその理由を尋ねても、うまく答えられませんし、それを聞くこと自体に対してイライラを募らせる可能性もあります。そんな時はそーっとしておきましょう。そして極端に機嫌をとる必要はありませんが、努めて普段通りに対応しながら、少しだけ優しさや温かさを感じられるようにしてあげましょう。好きなおかずを作る、食後にケーキが出てくる、その程度で良いのではないでしょうか。
親はどっしりと構え、子どもを信じて待ちましょう
そんな日常生活や、家族から受け入れられているという感覚がある中で、本人から何か言ってくるかもしれませんし、また何も言ってこないかもしれません。本人が何か言いたくなるまで待ちましょう。
それでも明日は来ますし、子どもたちは成長していきます。いつの間にか忘れていたり、また別のことで不機嫌になるかもしれません。そんな日替わり変化が、子どもたちの成長の証です。
いちいちその態度や機嫌に振り回されることなく「まあ、そんなもの」と、子どもたちを信じて待ってあげてください。そしてその変化に気づきながら、その変化を楽しむぐらいの余裕を持ちましょう。まだまだこれから子育ては続きます。保護者の方のどっしりとした構えが大切です。

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学び・遊び・教育
大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。


























