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“読んで聞かせる”だけではない“読みあい” とは?基本ポイントと読者のギモンに答えます
今回は、身近なコミュニケーション手段の一つである“読み聞かせ”に改めて注目。 お話を聞いた仲本美央先生は、少し見方を変えた“読みあい”という言葉を教えてくれました。 親も子も幸せになる、その秘けつとは?
絵本の“読みあい”が子どもの成長に与える影響や、年齢別“読みあい”のポイントはコチラ
読み手と聞き手、互いに楽しみあう「読みあい」
私はこれまで、“絵本は人と人がつながるツール”であると考えながら、保育現場や家庭で研究をしてきました。その中で、「“読み聞かせ”をしているとき、 読み手と聞き手が一緒に読んで楽しみあっている」と感じる瞬間が多くあり、“読んで聞かせる”だけではない“読みあい” を提案しています。
働きながらの子育てであれば、なかなかその時間が取れない日があるかもしれません。けれど、何冊読むかより、どう読むかが重要。本が持つ一番大きな力は、子どもの想像力を育む力です。親として「読んであげる」ことに固執せず、“読みあい” の時間の中で、互いの五感をフル活用して読むことを楽しみ、子どもと一緒に自分の幸せな時間も見つけてください。
絵本の“読みあい”基本ポイント
本の内容を「誇張しすぎない」読み方で
読み方に抑揚を付けるかどうかはあまり重要ではありません。何より「誇張しすぎない表現」が大事。例えば“おばけ”が出てきたとき、絵本の内容以上に怖々しい表現をすると、肝心の絵本の内容が消え去ってしまいます。
絵本の内容を崩さない程度の抑揚や表現であれば大丈夫。子どもの想像力を大事にしながら読んであげてください。
子どもが読みたいと言ったときを大切に
時間帯については、朝・昼・夜いつでも大丈夫。よりよいタイミングを言うとすれば、子どもが絵本を手に取って「読みたい」と言うときがベストです。ただ、親にとっては、毎日その時間を確保するのは簡単なことではないと思います。読みたいときに読めないということがあれば、いつどの時間なら読めるのか、必ず“約束”をしてあげてください。
寝る前の“読みあい”もとてもいいと思います。「目が冴えてしまうのでは?」 と心配なときは、「今日は1冊読んだら寝ようね」「明日また読もうね」などと決めて、読む本は子どもに選んでもらいましょう。
読む頻度、冊数はこだわらないでOK
子どもの個性やおうちの事情に合わせての頻度・冊数で十分だと思います。何冊読むかより、読む絵本を一緒に選ぶことを大切にしてください。
“読みあい”に関する読者のギモンQ&A
※ぎゅって読者を対象にしたWebアンケートから、意見が多かったものを抜粋(2020年4月17日〜23日実施)
Q:赤ちゃんのころの絵本を読んでほしいとせがまれたときは?
本人が読みたいというものであれば、赤ちゃんのころの絵本であっても読んで大丈夫。それより、どうしてその本を手に取ったのか、子どもの気持ちときちんと向き合って楽しむことの方が大事です。ママとパパの読み方の違いが好きだったり、この絵本を買ったときの思い出を言いたいときもあります。
Q:図鑑を見るだけでも 読み聞かせになるの?
例えばカブトムシが好きな子がいたとしましょう。(1)卵から生まれて成虫になるまでのこと(2)カブトムシくんにはパパとママがいてね…など、親が物語を作ってあげられますよね。子どもと一緒に楽しむことが大事だと思います。
Q:絵本を読んでいると、質問攻めが止まりません…。
1つの質問に対してきちんと受け止めて会話をしてあげる。多少話が逸れたり、その場で読み切らなかったりしても、問題ありません。それも また“読みあい”の楽しみ方の一つだとラクに考えて大丈夫。“質問攻め”は大人にとっては厄介なことかもしれませんが、子どもにとってはいろいろと考えていることの表れだと思います。
「すべてにちゃんと答えなきゃ」と構えるのではなく、 子どもと対等な立場で読みながら考えていきましょう。
Q:話を無視してどんどんめくってしまうときの対処法は?
「めくる動作が楽しい」「ページを素早くめくることで、絵や写真が動いているようで楽しい」 「めくる手触りや音が好き」など、“めくる”動作が止まらない理由があるは ずなので、よく見てその理由を探ってみましょう。途中でパッと止まる場所があれば、何かに興味関心を持っているので、すかさずそのページについて話をして、内容を楽しむきっかけ にしましょう。
Q:忙しいときや疲れてしまったときは、 読み聞かせのDVDを見せるでもいいの?
DVDやデジタル絵本など、便利なものがいろいろ出ていますよね。気持ちは分かりますが、まず第一に、光は刺激なので、時間に制限を設けるなど、ルールを持って視聴することが体のためにもいいと思います。
もう一つは、DVDを子どもだけで視聴させないようにすること。一緒に見て、会話をして気持ちや考えを交し合うことが大切です。
DVDに子守りをさせるのではなく、一緒に視聴しながらリラックスタイムをつくることが大切です。どれを選ぼうかという内容を選ぶところから、子どもとの楽しみを広げてほしいなと思います。
Q:絵本そのものに興味がない子は どうしたらいいのでしょうか?
子ども本人の好きなことが含まれる絵本を選ぶことが大事です。遊びたいおもちゃを自分で選べるようになっていれば、絵本も選ぶことができるはず。本屋さんなどで「どれが欲しい?」と自由に選ばせてみましょう。
絵本は“読まなければいけないもの”でもありません。言葉や情操を育てるには、歌やダンスなどが入口になることもあると思います。大好きなことからまずは育てて、そこに通ずる本を手に取らせてあげられるといいですね。
※この記事は、2020年6月発行の「ぎゅってsummer版」に掲載した記事を再編集したものです