段ボール工作キット「SDKids」を知っていますか? 段ボールの端材は子どもたちの宝物!

段ボール工作キット「SDKids」を知っていますか? 段ボールの端材は子どもたちの宝物!

段ボールが「リサイクルの優等生」と呼ばれているのをご存じでしたか?
段ボールは95%以上が回収されていて、リサイクルの仕組みが確立しているのだそう。
またその材料は90%以上が古紙なのです。

奈良県葛城市にある高木包装は、ダンボール製造を中心に、「包む」を軸にさまざま価値を生み出そうと事業を展開している会社。
高木包装とその企画部門を担うパックインタカギでは、子どもたちが遊びながら、創造力を延ばし、さらに循環型社会の重要性を学ぶことができる段ボール廃材を工作キット「SDKids(えすでぃーきっず)」を考案。
関西の商業施設などを中心に、「SDKids」を使ったワークショップを行っています。

共創チャレンジ/段ボール廃材を工作キットにSustainable Toy「SDKids(えすでぃーきっず)」

今回は「SDKids」をはじめ、高木包装、パックインタカギの万博に向けてのSDGsの活動について、お話をお伺いしました。

工場の設備よりも落ちている「端材」に注目?ちょっと変わった工場見学が原点に

多彩なアイデアを発案する高木包装社長の高木美香さん(写真中央)、パックインタカギの企画営業所所長の杉本智史さん(同左)、今年入社でフレッシュな提案が魅力の古川敬菜さん(同右)。

「ある日、うちの工場見学に訪れた方がいらっしゃって、私たちはいろいろな設備のご説明をしようと万全の準備をしてお出迎えしました。ただ実際ふたを開けてみると、その方は前の機械ではなく、下ばっかりみて、『あ、これは〇〇ちゃん(子どもの名前)に』『あ、これも喜びそう』と段ボール製造の際に出る三角や丸など、さまざまな形をした端材を拾い集めていたんです」と、笑って話す社長の高木さん。

その様子を見て「そうか、これらの端材が子どもたちにとっては宝物なのか!」と思いつき、段ボール廃材の工作キット「SDKids」が誕生したのだそう。
「社長、SDKids(えすでぃーきっず)にしましょう!」と命名したのは、同社のアイデアマンである杉本さんだとか。

「SDKids」の箱の中には、さまざまな段ボールの端材が詰まっているので、どれ一つとして同じものはありません。
いろいろなパーツを組み合わせて、子どもたちが自由に工夫しながら制作活動に取り組む。
それによって子どもたちの創造性が育まれれば、また併せてリサイクル・循環型社会の仕組みや大切さを学んでもらえたら…といった思いが込められています。

現在は、関西の商業施設などを中心に、子どもたちに向けて「SDKids」を使ったワークショップを行っているそうです。制作に取り組む子どもたちの真剣な表情、ステキですよね!

なんと、大人向けにも。新入社員研修の一環として取り入れた会社もあるそうです(写真は奥村組)。
大人もみんな楽しそう!

デザイン(D)、愛(A)、ナチュラル(N)=「DANボール」のポテンシャルは無限大?

高木包装・パックインタカギでは、その他にも、段ボールを「DANボール」、D=デザインのD、A=愛のA、N=ナチュラルのNと提案し、段ボールを使って、SDGsにつながる新しい価値を生み出す取り組みを展開しています。

「段ボールって、基本は運搬・包装用の箱。メインとして扱われる商品ではなく、少し暗いイメージがあるんですよね。それを払拭したくて…」と高木さんは話します。

■紙ライト

照明メーカー、大光電機とタイアップしたのが「紙ライト」。
LEDライトのセード部分の制作を同社が担っています。
300ほど試作品を作り、ようやく納得がいくデザインが仕上がったのだそう。

当日お話をおうかがいした応接間のライトも「かみライト」でした。
とってもおしゃれで、「これが段ボール?」と驚きました。

DAIKO SDGs Project/紙ライト

■防災グッズ

「ダンボールの概念が変わったのは、3.11東日本大震災のときでした。避難所でダンボールがパーテーションになったり、ベッドになったりしたんですよね」と高木さんは話します。

同社では段ボール製簡易ベッドや簡易トイレ「カワルーノ」を制作。「カワルーノ」は熊本自身のときに緊急救援物資として現地に届けたそうです。

■段DAN 相撲

同社の地元、葛城市は相撲の開祖と伝えられている「當麻蹴早」(たいまのけはや)の出身地(日本書紀による)。
そこで、相撲発祥の地として、観光PRなどを実施しています。
2023年2月には、宮城野親方(元白鵬)が葛城市の観光大使に就任しています。
地元を、また相撲文化を盛り上げるため、高木包装・パックインタカギが制作したのは、高さが1mもあるという大きな段ボール相撲「段DAN 相撲」です。各地で「段DAN 相撲」を楽しむイベントを展開しているそう。

こちらは高さ16cmのミニバージョン。
迫力×かわいさが共存していますよね。

高木包装・パックインタカギは7月にフランス・パリで実施される「JAPAN EXPO」に出展するそう。
「日本の相撲文化、ダンボールの可能性を世界にPRしてきます」と高木さんは意気込みを見せます。

「もともと教育にはとても興味があって…」と話す高木さん。
葛城市の、奈良の、日本の、世界の子どもたちのよりよい未来のために何かできることはないか、と常に模索しているそう。
今後の高木包装・パックインタカギの活動に目が離せません。

高木包装・パックインタカギ
https://takagi-hoso.com/

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