「空気を読むこと」を子どもに教えるべき?子どもの個性を大切にする見守り方

「空気を読むこと」を子どもに教えるべき?子どもの個性を大切にする見守り方

このコラムでは大阪教育大学教育学部教授の小崎先生が、「こんな時どうしたらいいの?」「子育ての“ココ”が知りたい!」という皆さんのお悩みに答えます。今回は小学生のお子さんについてのお悩みです。

Question: 「わが⼦は空気の読めない発⾔が多いので、友だちの間でもめないか⼼配しています。空気を読むように!というのも違う気がして、どう対応したらよいでしょうか」

「空気を読む」ことを教えるのは難しい

「空気を読む」…日本社会に常に存在している、得体の知れないものですね。大切なのはわかるのですが、それだけで全てが語れるわけでもありません。また読みすぎてしまうのも、何か違う気もします。絶妙のバランスが求められています。同時に、子どもたちにこれらを教えていくことは、とても難しいものです。

小学校の校長をしていたのですが、日本の教育はいろいろなダブルスタンダードがあります。異なる二つの価値観の教え込みや刷り込みですね。

例えば、1時間目の図工の時間では先生が「個性を大切にして、自由に絵を描きましょう。周りの人の描いているものは気にしなくていいですからね」と、個性を大切にした取り組みや指導がなされます。そして2時間目の国語の時間になって、みんなが静かにして黙読で教科書を読んでいるときに、お話をしている子どもに対して先生は「今は何をする時ですか?周りのお友だちを見て分かりませんか?」などと、クラス全体の空気を読むことを求めます。これらの文化が、日本独特の同調圧力という形となっていくのかもしれません。

「空気が読めない」ことに対する2つの考え方

今回の質問で心配されているのは「空気が読みにくい」ということです。しかし誰もがいきなり、それら全体の雰囲気やムードに合わせられるものではありません。ここには二つの考え方があると思います。

1.成長の中で身につけていく

1つ目は、子どもはまだまだ経験不足であり成長の途中のタイミングです。空気の読めない行動や言葉を使いながらいろいろと経験したり、周りとの摩擦などを感じながら、それらを獲得していくことができるようになると思います。成長の中でその場や相手にふさわしい、立ち振る舞いや言葉遣いなどを使いこなせるようになっていくと思います。だからあまり心配はしなくて良いと思います。

2.「空気が読めない」ことも個性

そしてもう一つは、その空気を読めない姿や発言は、その子の個性であるという考え方です。反対に周りに合わせることや空気を読みすぎることにより、その子らしさや個性が失われていくことが少しもったいない気がします。個性的な我が子の姿を大切にしてあげてほしいものです。

一見すると相反する二つの視点ですが、これら相反する視点を同じぐらい大切に子育てをしてほしいと思います。もちろん空気を読むことも大切ですが、それと同じぐらい子どもたちの個性の発揮も大切です。

個性を考える時に大切なのは、個性というものは集団の中にいて初めて発揮されるものなのです。無人島に流れ着いたロビンソン・クルーソーには個性はありません。何をしても個性になってしまいますし、反対にそれを誰も認めてくれないからです。これらは相反するものでありながら、常に同時に背中合わせで存在しているものなのです。

その子なりの素晴らしさを大切に

空気が読めない子どもさんはたくさんいます。そのこと自体は何ら問題にはなりません。ただそれが行き過ぎて周りに迷惑をかけたり、誰かを不快にさせることが問題なのです。空気を読むことも一つの個性であり、同時に読めないことも一つの個性です。またそれ以外にも、子どもたちは一人一人がたくさんの個性を持っています。

空気を読む、ということだけではないわが子のたくさんの個性に目を向けて、それぞれの良いところを伸ばしてあげましょう。空気を読むことだけでない、その子なりの素晴らしさに気づき、それらに気づかせてあげましょう。

「その考え方や言い方はとっても素敵だね」
「しっかりと我慢ができたんだね、班のお友だちもきっと喜んでいるよ」
「あんなに素敵な作品がよく作れたね。パパには作れないなぁー」

たくさんの個性のある子どもは、きっと集団の中でもうまくやっていけますよ。

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学び・遊び・教育

大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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