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小学生が“いちばん好きな本”ベスト10発表!「“こどもの本”総選挙」小学生が聞く、人気作家の本音トークも

「この本がいちばん好き!」「このシーンが忘れられない」。全国の小学生の“好き”が集まる『第5回 小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』の結果発表会が開催されました。会場には、投票で選ばれた人気作の作者たちと、全国から集まった本好きの子どもたちが集結。ランキングの発表だけでなく、クイズ大会や子どもたちが作家さんに直接質問できるトークコーナーもあり、会場は終始なごやかな雰囲気に包まれました。今回は、上位に選ばれた本の紹介とともに、子どもたちの素直な質問に作家さんたちが答える“特別な時間”の様子をレポートします。
小学生の「いちばん好き!」が集まる『“こどもの本”総選挙』とは?

『小学生がえらぶ!“こどもの本”総選挙』は、小学生が「いちばん好きな本」に投票し、その結果をランキングとして発表する全国規模の取り組みです。子ども自身が“好き”という気持ちで選んだ結果だからこそ、話題作だけでなく、長く読み継がれているシリーズ作品も上位に並ぶのが特徴。
結果発表会では、ベスト10作品の発表のほか、投票した子どもたちによるコメント紹介、著者からの言葉が届けられ、「本を読む側」と「本をつくる側」が出会う貴重な場となっていました。
子どもたちが選んだ“いちばん好きな本”ベスト10
今回の総選挙で選ばれたベスト10を、順位とともに紹介します。笑えるもの、想像が広がるもの、思わず共感してしまうものなど、子どもたち一人ひとりの“好き”に寄り添う作品がそろっています。
1位:『大ピンチずかん3』(作/鈴木のりたけ 小学館)

日常の中で起こる“ちょっとしたピンチ”をユーモラスに描いた人気シリーズの最新作が1位に。
会場では、投票した子どもから「大ピンチを教えてくれたことで、もしそのピンチがあってものりこえられた。それに、読んでもとてもおもしろい!」というコメントが紹介され、会場からも大きな拍手が送られました。
作者の鈴木のりたけさんは、「子育ての中で感じた日々のドジやピンチが、このシリーズの出発点。大ピンチはまだまだたくさん起こるので、続きを楽しみにしていてほしい」と語り、シリーズ継続への意欲も。失敗や困りごとを“笑い”に変えてくれるこの一冊が、子どもたちの心に寄り添っていることが伝わってくる場面でした。
2位:『りんごかもしれない』(著/ヨシタケシンスケ ブロンズ新社)

目の前にある“りんご”から、どんどん想像がふくらんでいく絵本。「決めつけずに考えてみる」ことの面白さが、子どもにも自然に伝わります。親子で「これ、なにに見える?」と話しながら読むのもおすすめ。
3位:『パンどろぼう』(作/柴田ケイコ KADOKAWA)

ちょっぴりドジで憎めない“パンどろぼう”の活躍に、思わずクスッ。ユーモアのある展開でテンポよく読めるため、物語の世界に入り込みやすい一冊です。シリーズで楽しめるのも人気の理由です。
4位:『あるかしら書店』(著/ヨシタケシンスケ ポプラ社)

「こんな本、あったらいいな」が次々と登場する、不思議な書店のお話。本の世界そのものを楽しむ仕掛けが詰まっていて、「本って自由でいいんだ」と感じさせてくれます。
5位:『ドラゴン最強王図鑑』(監修/健部伸明 イラスト/なんばきび、七海ルシア Gakken)

ドラゴン同士が戦ったらどちらが強いのか?想像力と“もしも”を楽しむバトル形式で、ファンタジー好き・バトル好きの子どもたちから高い支持を集めました。図鑑が好きな子にも刺さりやすい一冊です。
6位:『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(監修/今泉忠明 絵/下間文恵、徳永明子、かわむらふゆみ 高橋書店)

動物たちの“ちょっと残念”な特徴を切り口に、進化や生態を楽しく紹介するシリーズ。思わず笑ってしまうエピソードが多く、読み進めるうちに自然と知識が身につきます。
7位:『四つ子ぐらし① ひみつの姉妹生活、スタート!』(作/ひのひまり 絵/佐倉おりこ KADOKAWA)

離ればなれだった四つ子姉妹が力を合わせて暮らす物語。友情や家族の絆が描かれ、登場人物に感情移入しながら読み進められます。続きが気になるシリーズ構成も、夢中になるポイントです。
8位:『つかめ!理科ダマン1 「科学のキホン」が身につく編』(作/シン・テフン まんが/ナ・スンフン 訳/呉華順 マガジンハウス)

マンガ感覚で読み進められる理科の入門書。身近なテーマを切り口に、科学の“なぜ?”がわかりやすく紹介されています。楽しみながら学べる構成で、好奇心をくすぐる一冊です。
9位:『ほねほねザウルス ティラノ・ベビーのぼうけん』(原案・監修/カバヤ食品株式会社 作・絵/ぐるーぷ・アンモナイツ 岩崎書店)

恐竜の世界を舞台にした冒険物語で、長く愛されている人気シリーズの一冊。ハラハラする展開が続き、物語にぐっと引き込まれます。読みやすい構成で、低学年の読書デビューにも向いています。
10位:『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』(作/廣嶋玲子 絵/jyajya 偕成社)

ちょっと不思議なお菓子屋さんを舞台にした物語シリーズ。ワクワクする展開の中に、考えさせられるエピソードも盛り込まれています。学年を問わず楽しめるのも人気の理由です。
子どもたちの質問に、作家さんたちが本音で回答。作り手の素顔が見えた“本づくりの裏側”
イベントでは会場に集まった子どもたちが、ステージ上の作家さんたちに直接質問できるトークコーナーが行われました。緊張しながらマイクを持つ子、事前に考えてきた質問を一生懸命読み上げる子など、子どもたちのまっすぐな姿に、作家さんたちも優しい表情で応じていました。
「子どものころ、なりたかった職業は何ですか?」

作家さんたちからは、意外性のある答えが次々と飛び出しました。
『つかめ!理科ダマン』の作者・シン・テフンさんは、「小さいころに“何になりたい?”と聞かれて、“バスになりたい”と答えたことがあります」と笑顔でエピソードを披露。会場からは思わず笑いが起こりました。また、別の作家さんからは「声優に憧れていた」「怪獣映画が好きで映画監督になりたかった」といった声もあり、“作家さん=最初から作家を目指していた”わけではないことに、子どもたちは驚いた様子でした。
「今、こうして本をつくっている作家さんも、昔は自分たちと同じ“将来に悩む子ども”だったんだ」そんな気づきが生まれるやり取りに、会場の空気もやわらぎました。
「作家になりたいと思ったのは何歳のころですか?きっかけはなんですか?」

これに対しても、作家さんたちの答えは実にさまざまです。
『りんごかもしれない』などで知られるヨシタケシンスケさんは、「子どものころから作家になりたいと思っていたわけではなく、大人になってから絵本を描くことになった」と話し、「何歳で何が起こるかは本当にわからない」と、子どもたちに優しく語りかけました。
また、『ざんねんないきもの事典』のイラストを手がける下間文恵さんは、「小学生のころから絵を描く仕事がしたいと思っていた」と振り返り、「好きなことを続けていく中で、今の仕事につながった」と話しました。
「“これになりたい”と早くから決まっていなくてもいい」「好きなことを続けていく中で、思わぬ形で道がひらけることもある」そんなメッセージが、子どもたちの心にも自然と届いているようでした。
「本を作っているとき、ドキドキしたり、悲しくなったりしますか?」
完成した本の裏側にある“作家さんの気持ち”に迫るこの問いに、登壇した作家さんたちは、それぞれの立場から率直な思いを語ってくれました。
『つかめ!理科ダマン』のイラストを手がけるナ・スンフンさんは、「ドキドキしたり、悲しくなったりはあまりしないんですが、描いている途中で自分でも思わずゲラゲラ笑ってしまうことはよくあります」とコメント。
制作の現場では、楽しみながら描いている様子が伝わってきます。
『四つ子ぐらし』の作者のひのひまりさんは、「ドキドキしたり、悲しくなったりすることはたくさんあります。作品の中でも、ドキドキしたり切なくなったりする場面が多いので、その感情を読者のみなさんにも一緒に感じてもらえたらうれしいです」と話し、物語に感情を重ねながら制作していることを明かしました。
また、『大ピンチずかん』シリーズの作者・鈴木のりたけさんは、「締め切りが近づくとやっぱりドキドキしますし、“これ、本当に面白いかな?”と不安になることもあります」と率直な気持ちを吐露。人気シリーズの裏側にも、迷いやプレッシャーがあることが伝わるひとコマでした。
完成した一冊の本の向こうには、笑いながら描く時間もあれば、悩み、考え続ける時間もある。作家さんたちの言葉から、子どもたちは“本が生まれるまでのリアル”にふれることができたようでした。
ヨシタケシンスケさんから子どもたちへ

イベントの最後には、ヨシタケシンスケさんがステージから子どもたちに向けて言葉を届けました。「ドキドキする瞬間」をテーマに、日々の中にある“ワクワク”の大切さをやさしく語りかけます。
ヨシタケさん:「サッカーでも、絵を描くことでも、なんでもいい。人によって、ドキドキしたりワクワクしたりする瞬間は違います。僕たち作家も、変な顔をしたり、変な声を出したりしながら、ドキドキしつつ本をつくっています。だからみなさんも、自分がドキドキすること、夢中になれることを見つけてほしいです」
「何をしているときがいちばん楽しいか」「どんなときに心が動くかは、人それぞれ違っていい」。
ヨシタケさんの言葉は、“好き”や“ワクワク”を大切にしてほしいという、やさしいエールとして子どもたちの心に届いているようでした。
「好きな本」から広がる、子どもたちの世界

ランキング発表や作家さんとのトークを通して、「本は、誰かの“好き”や“思い”から生まれているものなんだ」と実感できた『“こどもの本”総選挙』結果発表会。作る人と直接出会い、言葉を交わすこの体験は、子どもたちにとってきっと忘れられない時間。本がもっと好きになる、そんなきっかけになっていると感じました。
公式サイトでは1000位までのランキングも公開されていて、そこには一人ひとりの子どもの「この本が好き」という気持ちが積み重なっています。「上位に入っている本」だけでなく、「わが子が夢中になっている一冊」がどのあたりにランクインしているのかを親子で見てみるのも、読書の話題づくりのきっかけになりそうです。
公式サイトは>こちら
企画・編集/&あんふぁん編集部、取材・文/やまさきけいこ



























