子どもに「ダメ!」というより「そうくるか」

子どもに「ダメ!」というより「そうくるか」

あんふぁんWebをご覧のみなさん、こんにちは! 子育てポータルサイト「パパしるべ」の編集長の杉山です。

子どもの行動は予想がつかないもの。そんなことはきっと言うまでもなく皆さん実感されていると思います。大人からすると「なんでそんなことするの?」ということの連続です。ただただ不思議な行動の時は笑えますし、しばらく放っておいて眺めているのも楽しかったりします。

思わず出てしまう「ダメ!」の代わりに

でも、それがこちらにとって非常に困る行動だった時には思わず「ダメ!」と叫んでしまいます。これはもう反射的に出てしまう。
例えば、わが家の娘たちが二人ともやったこと。
コップを使うようになったばかりの時のこと。ごはんを食べている途中で、牛乳の入ったコップを持ち上げておもむろに傾けていくのです。
「あーーーー!」
言ったところで時すでに遅し。娘のテーブルの上はこぼれた牛乳であふれ、そのまま滝のように床に流れていきます。この時の無力感と言ったら果てしないばかり。
長女の時には、大きな声で「ダメ!」と言ってしまいました。すると、ビックリした長女はコップを持った手をさらに振り上げ、テーブルの下だけでなくダイニングが牛乳まみれに。被害を拡大してしまいました。

しかし、次女の時には少し僕の反応が変わりました。わが家は長女と次女の年の差が8歳もあるので、その間に学んだことがたくさんありました。その一つが一般社団法人日本ほめる達人協会による「ほめ達」(ほめる達人)のメソッド。
もちろん、ほめる方法についての知識が中心になるのですが、同時に教わったのが、ほめることができない時にどうするか?ということ。それがタイトルにもあります「そうくるか」という言葉なのです。

判断軸を変えてみて

そもそも考えてみれば彼女たちにとって「牛乳をこぼす」という行為の目的は、「これ傾けたらどうなるだろう?」くらいのもの。言ってみれば「液体の実験」みたいなものです。それなのに「ダメ!」って叫ばれたら、そりゃビックリするし、何がダメなのかも理解できませんよね。車道に飛び出すなどの命に関わるようなことであれば、強い言葉で制することも必要かもしれませんが、そうではないのであれば、もっと詳しく、そして穏やかに伝えないといけません(分かっていてもなかなかできませんが)。

そんな時に使える言葉が「そうくるか」なのです。

「ダメ」という言葉は、「いいか?悪いか?」という尺度での判断から出るものです。一方で「そうくるか」という言葉が出るのは「こちらの想定外の行動だったの場合」。つまり、「予想通りか?そうでないか?」という判断軸のもとに出るもの。

大人の目線で見れば、「牛乳を自らこぼす」という行為は明らかに「悪い」こと。だから「ダメ!」となります。ただ、子どもの本来の目的「液体の実験」だと捉えたら、そりゃできればやらないでほしいことですが、「悪い」ことかというとそうではありません。本人が悪いことをしている意識がないのに、激しく責められるのは子どもにとって不本意であり、何気ないことで怒られる恐怖が植えつけられてしまうことが考えられます。

ぜひ、試しに言ってみてください。「そうくるか」と。

これがまた不思議と受け入れられるのです。次女の時がそうでした。牛乳の流れる様をまじまじと見ながら、ふーっとため息をつくことができました。そして、次女は楽しそうでした。もちろん、そのあとでちゃんと飲み物はこぼすものではないことなどを伝えました。

魔法の言葉「そうくるか」は子ども以外にも

怒りのピークは6秒程度しかないという話はきいたことがあるかもしれませんが、それに似た感覚です。この間に反射的な「ダメ!」というスイッチが落ちつくようです。とはいえ、全部このように受け流せるかといえばそうもいきませんが、おそらく反射的に強い言葉が出る機会は減ったと思います。

そして、他にも思わぬ効果がありました。この「そうくるか」は子ども以外にも使えます。まず、家庭で言えば妻に対して。反射的に「おい!」と言いたくなることがあったときに「そうくるか」で一息。さらに!仕事などで理不尽なことを言う人に出会ったときも「そうくるか」と心の中で唱えると少し気分が落ち着きます(必ずではないですが)。

もしかしたら魔法の言葉かもしれない「そうくるか」。ぜひ皆さんも使ってみてください。

教えてくれたのは

杉山錠士
1976年、千葉県生まれ。
兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。
19歳と11歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、FMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。
地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「主夫の友アワード」「娘のためのパパ家事スクール」「パパ家事サイエンス」「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。子育てアイテム「パパのツナギ」企画制作販売、パパ向けスクール「スゴパパ工場」工場長。
■著書
*新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~(主婦の友インフォス情報社)
*急に「変われ」と言われても(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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兼業主夫放送作家 杉山錠士

1976年、千葉県生まれ。兼業主夫放送作家(株式会社シェおすぎ所属)。子育てポータルサイト「パパしるべ」編集長。ファザーリング・ジャパン会員。アドラー心理学勇気づけ勉強会ELMリーダー。品川区内小学校の現役PTA会長。20歳と12歳という年の離れた2人の娘を子育てする兼業主夫放送作家として、「ちょうどいいラジオ」(FMヨコハマ)「宮﨑薫のHump Night With Me」(TOKYO FM)などFMラジオを中心に情報番組、子育て番組などの構成を担当。「日経DUAL」をはじめWEBメディアでは各種コラムや記事を執筆。地域ではPTA会長やパパ会運営を歴任。FJ内プロジェクト「秘密結社 主夫の友」では広報を担当。「日大商学部」「筑波大学」や大田区両親学級、品川区男女共同参画課などで講演を実施。著書に「新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~」(主婦の友インフォス情報社)「急に『変われ』と言われても」(共著:熊野英一 小学館クリエイティブ)

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