注意がどうしても理詰めになってしまいがち…そんなパパは「理解」ではなく「行動」に着目を

注意がどうしても理詰めになってしまいがち…そんなパパは「理解」ではなく「行動」に着目を

「注意する時、どうしても理詰めになってしまいがち。子どもは分かってるのか分かっていないのか…」というパパの悩みについて、大阪教育大学教授で大阪教育大学附属天王寺小学校長の小崎恭弘さんに、アドバイスしてもらいました。

まずは先に回答しましょう。「分かっていません」。とってもシンプルです。なぜならちゃんと分かっていれば、注意されることなどしないからです。

子どもの行動のほとんどが注意すべき対象かも!?

「注意する時に…」とありますが、この注意をすること自体を少し考えてみましょう。パパが子どもたちに注意をする時は、一体どんな時でしょうか。また正しい注意の仕方はあるのでしょうか。

そもそも注意をするということは、子どもたちが何か良くないことをしていることが多いでしょう。例えば、嫌いな野菜を食べずに遊んでいる、牛乳をコッブから溢れるほど入れている、そのほかにも危ないことや周りの人の迷惑になることをしている、などなど。冷静に考えてみると、子どもたちのすることのほとんどは、何かしら注意しなくてはいけないことのように感じてしまいます。

しかしそれで良いのだと思います。なぜなら「子ども」ってそういうものだからです。子どもは、幼く、成長の過程にあります。当たり前ですが、大人とは違います。行動や理解力、予想すること、手先の器用さ、また気持ちのコントロールのあり方など、全てがパパとは違うのです。ただ家族・親子として一緒に生活をしていると、そんな当たり前のことに気づかない、また分からなくなってしまいがちです。日常生活は、目の前の出来事が全てですから。作った料理で遊ばれたらイラっとしますし、牛乳がこぼれそうになったら止めます。こぼれた時の後始末を考えると当然です。だからこそパパには、「子ども」と「注意」について、正しい理解をしてほしいです。

「分かった? 返事は? ハイは?」と詰めても、ほぼ意味はありません

パパが子どもに対して、注意をすること自体は否定しません。子どもだからって何をしてもいいわけでもありませんし、子ども自身に危険が及ぶことや、他者に大きな迷惑をかけてしまう場合もありますから。わが子が小さかった時に、お店の陶器でできた鳥の置き物を割ってしまったこともありました。弁償しようとしたのですが、お店の人が大丈夫です、と言ってくださいました。しかし必要のない別のものを買うこととなってしまい、本当に困りました。

だから子どもの気持ちや理解力を大切にして、注意をしてほしいのです。その時ついついやりがちなのが、まさに「理詰め」で説得をしようとすることです。これはだめです。特に「分かった? 返事は? ハイは?」は、ほとんど意味がないです。子どもたちは内容や意味が分からなくても、パパの圧に屈して一応「はい、ごめんなさい」と言いますが、基本分かっていません。その場しのぎでしょう。

「パパの思いをぶつける」ためではなく「子どもの成長を引き出す」注意を

注意するときのコツの一つは、子ども自身の理解ではなく行動面に着目をすれば良いと思います。形から入るイメージです。遊び食べをしているのであれば、それについて注意をして、その場でやめさせる、それで良いと思います。牛乳がこぼれそうになったのであれば、その手前で声をかけて止めてあげる、また優しく手を添えてこぼれないようにしてあげる、そのような感覚です。その上で簡単に理由やこれを続けたらどうなるのか、なぜ止めたのかなどを説明してあげれば良いでしょう。それも短くシンプルに。細かい理由、説明、パパの思いなどはいりません。子どもが理解できる内容や時間は、とても限定的なもの。子どもに嫌な思いが残らないタイミングで切り上げるのが、ポイントです。

そしてそれらを繰り返し伝えることで、行動が少しずつ変化していき、注意されていたことをやめられるようになります。時間はかかりますが、子どもたちは成長と共に、できることが増えてきますし、また注意されることが減ってきます。パパとのやりとりを通じて、子ども自身が成長し、また物事や社会のルールなどを理解していきます。「パパの思いをぶつける」ために注意をするのではなく、「子どもの成長を引き出す」注意を心掛けましょう。

教えてくれたのは

小崎恭弘
大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。
http://kasei.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/teachers/5.html

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大阪教育大学教育学部 教授 小崎恭弘

大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学) 教授。大阪教育大学附属天王寺小学校元校長。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得。それらの体験をベースに「父親の育児支援」研究を始める。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで積極的に情報を発信。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修など、全国で年間60本程度の講演などを行う。これまで2000回以上の講演実績を持つ。NPOファザーリングジャパン顧問。Yahoo!ニュース 公式コメンテーター。東京大学発達保育実践政策学センター研究員。兵庫県、大阪府、京都府などさまざまな自治体で委員を務める。

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